ワオ! ついに出た! キメラ エヴォ37 ランチア ラリー037のレストモッドモデル
2021年5月1日
Kimera Evo37 ランチア ラリー 037のレストモッド 550馬力+950kg
キメラ アウトモビリ エヴォ37(Kimera Automobili EVO37)は驚異的なパフォーマンスを発揮するランチア037のレストモッドモデルだ。イタリアのキメラ アウトモビリ社は、ランチア ラリー037へのオマージュを手がけている。エヴォ37は重量950キロ、550馬力だ。そして、わずか37台しか製造されない。
レストモッド市場がブームとなっている!
繰り返しになるが、レストモッドワールドがどんどんと加速、拡大して、世界的なトレンド、大ブームになりつつある。
最近では、旧いポルシェに現代の技術やハイテク素材を搭載するだけでなく、電気自動車の「アルファ ジュリア」や数々のメルセデス車、700馬力の「レンジローバー クラシック」など、多種多様なモデルが登場している。
そして今、そんな白熱するレストモッドゲームに、また新たなプレーヤーが登場した。
その名も「キメラ アウトモビリ(Kimera Automobili)」だ。
● ランチア ラリー037へのオマージュを込めたレストモッド
● 製作はキメラ アウトモビリ
● スーパーチャージャーとターボチャージャーを装備した2リッター4気筒エンジン
● 550馬力
● 950kgの乾燥重量
● オリジナルと同じ後輪駆動
● エヴォ37は37台のみの限定生産
● 後日、四輪駆動の少量限定生産シリーズも発売予定
● ベース価格は約50万ユーロ(約6,600万円)から
イタリアのクーネオにあるキメラ アウトモビリ社は、歴史的なラリーカーのレストアを専門に行っている会社だ。
ランチアといえば、「ストラトス」や「デルタ」といったモデルをすぐに思い浮かべるのは当然だが、キメラ社は伝説の「ラリー037」のレストモッドに力を入れている。
1982年から1983年にかけて製造されたこのミッドエンジンスポーツカーは、ランチア、アバルト、ピニンファリーナのコラボレーションによって生まれたレジェンドモデルだが、より有名な前述の兄弟車の存在によって忘れられがちだ。
1983年、「ランチア ラリー037」は、全輪駆動ではない最後のマシンとして、世界ラリーコンストラクターズチャンピオンシップで優勝を果たした。
この時、ハンドルを握っていたのは、同年のドライバーズ世界選手権で2位を獲得したヴァルター ロールであった。
「ラリー037」は、2リッター4気筒エンジン(ランプレディ4気筒)を搭載し、コンプレッサーにより310馬力を発揮した。
しかし、パワーだけではなく、優れた重量配分に加えて、何よりもメンテナンスのしやすさが「037」の成功の鍵だった。
メンテナンス重視のために当時、重要な部品はすべて2種類の異なるサイズのネジで固定されていたという。
「037」にはホモロゲーションのために作られたロードバージョンもあった。
それは「ラリー037ストラダーレ」と呼ばれるもので、同じ4気筒エンジンを搭載し、205馬力/7000rpmの出力を発揮した。
「037」は257台が生産され、そのうち約200台がロードバージョンだった。
ランチア ラリー037へのオマージュとしてのレストモッド
ブームが続く中、キメラ アウトモビリの創業者ルカ ベッティは、レストモッドビジネスに乗り出すことを決意した。
そして、アモス(Amos)社の「デルタ フューチャリスタ(Delta Futurista)」やトリノのマニュファッチュラ アウトモビリ社の「ニューストラトス(New Stratos)」など、「ランチア デルタ」と「ランチア ストラトス」の新しいエディションがすでに存在していることから、キメラ アウトモビリは「ラリー037」にフォーカスすることにした。
ラリーの伝説へのオマージュを成功させるために、キメラ社は1980年代にオリジナルに携わったエンジニアを起用した。
この伝説的なデザインを巧みに現代に導入することは、同社にとって特に重要なことだからだ。
残念ながら、現時点では、キメラ アウトモビリ社は「エヴォ37(EVO37)」プロジェクトのティザー画像しか公開していないものの、すでに期待以上の仕上がりとなっている様子がうかがえる。
フレア状のフェンダーや、ボディと一体化したリアスポイラーなど、特徴的なデザインがすでに見て取れるからだ。
また、キメラは「037」のステータスに合わせて、ヒンジ式のボンネットを採用する予定だ。
550馬力とわずか950kgの車重
特に興味深いのはパワートレインである。
オリジナルに限りなく近づけるために、「エヴォ37」にも2リッター4気筒を搭載する。
スーパーチャージャーとターボチャージャーの組み合わせにより、550馬力を発揮すると言われている。
これにより、カーボンを多用したわずか950kgのスポーツカーを、猛烈に加速させることができる。
購入客は、クラシックなマニュアルトランスミッションとシーケンシャルギアボックスのどちらかを選択することができる。
37台の限定製作のキメラ アウトモビリの「エヴォ37」は、すべて後輪駆動仕様となっているという。
加えて、近い将来、キメラ社は、「インテグラーレ」と呼ばれる全輪駆動システムを搭載した、10台のみの小規模なシリーズも発売する予定だ。
通常モデルの価格は約50万ユーロ(約6,600万円)からだが、それでもオリジナルの取引相場よりもやや安い。
というのも、「ランチア ラリー037」は近年、その価値が非常に高まっているからだ。
2010年代初頭には20万ユーロ(約2,640万円)前後で販売されていたものが、今では50万ユーロ(約6,600万円)を超える価格になっている。
「エヴォ37」は、2021年5月22日に正式に発表される。
公式発表時の画像と追加情報をお楽しみに。
ヨーロッパで始まったレストモッドブーム、今後、世界中に広がる気がする。日本でも今後レストモッドモデル(もちろん日本車の)が次々と生まれてくる予感がするのは私だけだろうか(期待を込めて)。日本にはレストモッドモデルにふさわしいモデル、レストモッドとして復活してほしいモデルが山のように存在することだけは間違いない。
代表的かつ典型的なカルトモデルとしては、「トヨタ2000GT」、「マツダ コスモ」、「日産スカイラインGT-R」、「いすゞベレット」、「ホンダS600」などが挙げられるが、その他にも無数にあるし、記憶の中に残る名車というのは誰にでもあるはずだ。そういった記憶に残っている自動車というのはもちろん高価なスポーツカーや憧れた高性能モデルだけではなく、なんということのない「日常生活の友」のような場合も多いだろう。
昔所有して、たくさんの思い出を生んでくれた自動車、憧れていたけれど当時は購入できなかったモデル、などなど本当にそんな「自分だけの思い出の自動車」はその人の数だけ存在しているはずだ。そんな自動車がレストモッドとして、高価になりすぎることなく復活してくれたら、と願うのは私だけではないだろうし、その場合、現代の技術を使い、たとえそれがEVであったとしても許せるような気もするのである。
Text: Jan Götze
加筆: 大林晃平
Photo: Kimera Automobili
【レストモッドカー色々】