【動画付き】プロジェクト308M で フェラーリ308 が現代版となって蘇る

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レストモッドプロジェクト: 300馬力フェラーリ308 GTSi

このレストモッドプロジェクト「308M」から生まれた308 GTSiは、果たして最も美しいフェラーリ308だろうか? このセンセーショナルなフェラーリ308 GTSiのシートメタルの下には、現代のテクノロジーが隠されている。このレストモッドプロジェクト「308M」は、アウトモビリ マッジョーレによって300馬力という出力を備え、価格は1台50万ユーロ(約6,250万円)のプライスタグで登場する。

70年代のテレビシリーズ「マグナム」で知らない人はいない「フェラーリ308」は、自動車の文化財だ。
美しいフェラーリをピニンファリーナ時代にデザインしたのは、レジェンドデザイナー、レオナルド フィオラヴァンティである。
そんなレジェンドフェラーリを現代風に再生することは果たして許されるのだろうか。
だがイタリア人のジャン ルカ マッジオーレはそれを実行した。
もちろん、マラネロからの祝福を受けずに。
しかし、彼の現代的な解釈は、確かに純粋主義者のエンツォを喜ばせたことだろう。

V8のパワーは300馬力に増加

フェラーリ308 GTSi クアトロヴァルヴォーレは、最後のネジまで剥ぎ取り、完全にリビルドしたものだ。
しかし、車の心臓部であるV8エンジンの遺伝子は残されている。
308の後継モデルである328に搭載されたように、完全にオーバーホールされ、3.2リッターにドリル加工、新たに追加された鍛造ピストンで、パワーは240馬力から300馬力までにアップされた。
ジャン ルカ・マッジオーレのアイデアとしては、エンジンにもう少しパワーを与え、日常での使用、特に低速域での適合性を維持し、より完全でスムーズな走行を実現することだった。
シャシーはオリジナルのままだ。
レストアされたシャシーは、トレッド幅が、フロントが50mm、リアが100mm、ワイドになっている。
この改造と、調整可能な同軸スプリングを備えたコニ製レーシングショックアブソーバーによって、より柔軟性のあるロードホールディングを実現している(はずだ)。
ブレーキシステムは、280mmディスクを搭載した、ブレンボ製4ピストンシステムに変更されている。

ボディはカーボンパーツで完全にリビルト

最大の変更を受けたのはボディワークだが、クラシックなラインは失われていない。
ウィンドウとドア、ベンチレーショングリルはオリジナルのフェラーリ308のものが残された。
ボンネットはカーボンファイバー製で、 フロントは完全に近代化され、現在の基準では認可されていないであろう折りたたみ式のヘッドライトは、狭いLEDライトに置き換えられている。
フェンダーは17インチ分のスペースを確保するために幅を広げられ、新しいカーボンファイバー製のフロントスカートが装着されている。
これにより、フロントはよりアグレッシブになり、伝説のフェラーリ288 GTOを彷彿とさせるものとなっている。
リアにもカーボンファイバーが多用されている。
新型ディフューザーから新型LEDリアライトのエッジングに至るまで、すべてがカーボンファイバー製の軽量ハイテク素材が使用されている。
リアエンドには、80年代スタイルのリアスポイラーが採用、装着されている。

内装は重厚なレザー、大理石のシフトノブとデルタ シグマのサウンドシステムで構成されている。

ヴィンテージスタイルのインテリア

ドアパネルもカーボンファイバー製だが、軽量化はインテリアの仕様には適用されなかった。
ギアノブにはイタリア産の大理石を使用し、フェラーリ308GTSiを生み出した「オートモビル マッジオーレ(Automobili Maggiore)」社の在る地方へのオマージュを表現している。
エンターテインメント性を高めるために、デルタ シグマ(Delta Sigma)のサウンドシステムが採用されている。
ステアリングホイールの後ろに備わっているヘッドアップディスプレイシステムも、シリーズ生産化までには使用可能になるはずだ。
また、重量的にはヘビーだが、雰囲気の良いマハラム社の中古レザーを使用している。
インテリア全体は、オーダー時に顧客の希望に合わせてカスタマイズされる。
デザインと素材の選定を担当するのは、ドイツ人のステファン・ショルテン(Stefan Scholten)だ。

限定モデルの価格は500.000ユーロ(約6,250万円)

ジャン ルカ・マッジオーレは、同時にレストモッドプロジェクトとして開発の進むプジョー308M限定モデルの金額については、まだ沈黙を守っている。
しかし彼はすでにフェラーリ308GTSiの価格は明らかにしている。
それは約50万ユーロ(約6,250万円)だ。
その上のフェラーリ308 QV(クアトロヴァルヴォーレ=1気筒当たり4バルブ)バージョンも用意される。
価格とともに悩ましいのが待ち時間だ。
フェラーリ308GTSiの入手には忍耐力が必要となる。
レストモッドの待ち時間は少なくとも半年かかるからだ。

フェラーリ308といえば、フェラーリの中でも美しさや存在感などで、フェラーリ愛好家にも人気の高い一台である。それをレストモッドで仕上げたらこうなりました、というのがこの308だ。全体的なスタイリングのバランスや、モデファイした部分の内容などを見ると、個人的にはギリギリなんとか「良かった」と思える感じの仕上がりとなっている。
眠たいまなざしのヘッドライトや、リアのLEDランプ、大理石で作られたシフトノブなどなど、生粋のフェラーリ愛好家や、308を溺愛するファンにとっては噴飯ものかもしれないが、世の中に存在する「やりすぎレストモッド」の中では許容範囲のようなレベルだろう。
価格も6,000万円というのは、これだけの内容と仕上がりを考えれば妥当な気もするが、それは世の中のスーパースポーツカー高騰現象になれてしまっていて、感覚がマヒしているからかもしれない。
おそらく真のフェラーリ愛好家にはそっぽを向かれてしまうかもしれないが、こういうのもあってもいいんじゃない、と許してあげて欲しい。きっとこのモデファイを行った人も、308を愛するが故の行為には違いないのだから。

※レストモッド(Restomod)とは、「Restore」と「Modify」あるいは「Modernize」を組み合わせた造語で、「レストアと共に、改造&現代風にアレンジした車両」のことだ。

Text: Bernd Schweickard
加筆:大林晃平
Photo: Automobili Maggiore