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【新車テスト】ワンペダルドライブの楽しさ ボルボ C40 Recharge

2022年3月18日

その完成度の高さに触れ、一気に電気自動車との距離感を縮めてくれた。

ヨーロッパではすでに高評価を得ているボルボ C40 Rechargeだが、我々は日本向けC40 Recharge Twin(2022モデル)を試乗する機会を得た。

ボルボ C40 Rechargeはボルボが初めて日本国内で販売するフル電動BEVだ。2021年11月にサブスクリプション販売開始、今年1月からオンラインストアで販売中。ぱっと見は従来のクーペSUVだが、フロントグリルはカバーされ、なだらかに流れるルーフエンドには2つのスポイラーが装備されなど、随所に走行距離を伸ばすための工夫がされている。

ボディカラーグリルフレーム。ラジエーターはもちろん無い。

スタートボタンがない

電気モーター故に、スタートボタンが存在しない。スマートキーを持ったドライバーが車に近づき、ドアを開け、運転席に座り、ブレーキペダルを踏み、セレクターを操作すると動き出す。

なるほど、静か

走り出しての第一印象は「静か」だった。内燃機ユニットから発するノイズが皆無で、聞こえるのはロードノイズだけだ。そしてソフトな乗り心地。235/45/R20という太く大きなタイヤが装着されているにも関わらず、上手くチューニングされている。シートの座り心地も抜群に良い。

2つのスポイラーが空力を高める。

500キロに及ぶバッテリを床下に配置して、重心を低くしているため、SUVに特有の腰高感は無い。前後にモーターを配置するレイアウトにより、ほぼ50:50の重量配分が乗り心地、ハンドリングに大きく寄与しているのがよく分かる。フルタイム4WDによる駆動も実に滑らかでRのきついコーナー、ハイスピードコーナリングが楽しいクルマになっている。

電動モーターで408㎰、660Nmという出力を味わう

204㎰のモーターを前後に配置するC40 Rechargeは、0-100kmが4.7秒という俊足。実はこの数字、フェラーリF40とほぼ同じなのだ。右足でアクセルを踏むだけで、安全性も高く、経済的に、F40と同じ数字を得られることになってしまった。しかも、電気モーターは内燃機よりも早く立ち上がるので、トルクカーブがまるで違うのだ。内燃機のクルマから乗り換えるならそれは理解しておいた方がいい。

ワンペダルドライブ

回生ブレーキにより、特に街中ではブレーキペダルを使わずにドライブできるのは正直感動的だった。2時間の試乗でようやく慣れつつあるところまできたが、回生ブレーキを効かすモードだと リアルにブレーキペダルを使うことなくドライブできるのだ。但し、極端にアクセルのオン、オフをするとギッタンバッコンと前後にゆすられ、同乗者は不快な思いを強いられる。回生ブレーキが効いて止まるまでの距離の把握、その距離を調節するスロットルワークが上手くいくと運転が上手になった気がしてくる。自然と運転に集中できるのだ。

質感は高くないが、豊富な物入スペースとクリーンな北欧デザインのインテリアは好感が持てる。
ドライビングポジションを身長170センチのドライバーに合わせた際の後席スペース。十分な広さだ。
なだらかに傾斜するルーフによって後方視界は狭い。
トランクスルー付きの荷室は狭くはない。
FRONT LOAD COMPARTMENT “ F R U N K ” 内燃機よりも小型になったモーターのおかげでフロントにもスペースが生まれた。充電ケーブルなどを入れるための”フランク”。

完成度は高い

C40Rechargeは満充電から485キロ走れることになっており、これだけの航続距離があると安心するし、本気で乗り換えたくなってしまった。クルマとしての完成度の高さは特筆ものだ。「走る、曲がる、止まる」の基本性能に加えて居住性、安全性を高いレベルで実現しているのだから。一方で、電動モーターの特性から来る加速性能があまりに凄かったのが忘れられない。408psの出力は、私のようなアベレージドライバーには無用の長物と思えたのだ。「ドライバーにより優しい」という意味で2023年モデルでは、FFレイアウトを取るシングルモーター仕様も選べるので、どちらにするか悩みどころだ。

通常充電用コネクター
後ろに急速充電コネクターがある。

ボディカラーはイメージカラーのフィヨルドブルーの他7色、全8色。充実の安全装備、ドライバーアシスト、100%レザー不使用のインテリア、Googleアシスタントなど最先端のクルマを探している人にピッタリなクルマである。

2023年モデルについて、ボルボ・カー・ジャパンは4月21日よりオンラインストアで販売を開始すると発表。納車は本年秋の予定。

ボルボ C40 Recharge(2023年モデル)

モデル名電動機(モーター)駆動用バッテリー容量メーカー希望小売価格 (消費税込み)
C40 Recharge Ultimate Twin Motor最高出力300kW(408ps) 最大トルク 660Nm(67.3kgm)78kW6,990,000 円
C40 Recharge Plus Single Motor最高出力170kW(231ps) 最大トルク 330Nm(33.7kgm) 69kW5,990,000 円

※駆動用バッテリーは急速充電:150kW(CHAdeMO)まで対応、普通充電: 9.6kW(AC200V の場合)まで対応。
※C40 Recharge Plus Single Motor の電動機出力値は参考情報。

ボルボ・カーズは、2030年までに新車販売の100%を電気自動車にすることを目標としており、日本においても2025年に新車販売の40%、台数にして10,000台の電気自動車を販売する計画としている。

Text、Photo:アウトビルトジャパン