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永遠のライバル一騎打ち第2弾 ビーエムかベンツか BMW 7シリーズ対メルセデスSクラス ディーゼル対決 勝者は?

2021年9月16日

ディーゼル搭載の高級サルーン比較テスト。

先のメルセデスC300 4MATIC対BMW 330i xDriveに続く「永遠のライバル一騎打ち」第2弾は、フラッグシップセダン対決の第2弾でもある。今回はディーゼルエンジン搭載車。メルセデスS400d対BMW 740d、果たして勝利を手にするのはどちらのモデルだろうか。

覚えておいでだろうか?最初の比較テスト、ガソリンエンジンモデル対決では、新型「Sクラス」が勝利した。「S 500」が「BMW 750i」と対戦し、勝利したのだ。そして、今回の比較テストは、ディーゼルエンジンが搭載された、どちらも直列6気筒のモデル同士の比較テストだ。果たして、2015年から製造されている「7シリーズ」に、勝つチャンスがあるだろうか?とても興味深い対決だ。

外観はこれ以上ないほどの違いがある。直接比較してみると、メルセデスは最新型でありながら伸びやかで、流れるようで、エレガントで、すべてが調和して見える敢えて「新しさ」を強調しないデザイン。BMWは、別の時代のデザインのようで、重厚でかさばり、大きなキドニーグリルを備え持っている。

メルセデスSクラスのインテリアとインフォテイメントは、すべてが調和している

そしてこの両者は、インテリアのスタイルについても異なる道を歩んでいる。メルセデスは、新しい「Sクラス」のために全く新しい内装と装備を準備した。インテリアは完全に新しくなり、インフォテイメントを重視したピュアラグジュアリーなものになった。上質な素材、贅沢な仕上げ。センターには美しいデジタルメーターと、12.8インチの巨大な有機ELスクリーンが備わっている。手にすっぽりと収まり、素早く反応し、豊富なメニューも論理的に構成されている。そして、重要なことといえば、ベンツはBMWよりも単純にスペースが広く、すべてのシートで自由な動きが可能だ。これは特に、風通しの良い後部座席で顕著だ。もちろん、「7シリーズ」もゆったりとしたプロポーションを持っているが、特にリアでは「Sクラス」ほどの広さはない。また、エレガントな内装だが、コックピットはより複雑でエレガントではないように見える。

ソリッド: Sクラスでは、純粋なラグジュアリーと、MBUXと呼ばれる非常に優れたインフォテイメントシステムを楽しむことができる。
今や10.25インチのタッチスクリーンは何となく小さく感じる。

BMW 7シリーズに搭載されている直6ディーゼルは、滑らかな走りが印象的だ

BMWの持つ、三日月型の奇妙で読みにくい計器は、逆回転するタコメーターもふくめいずれにしてもやや時代遅れだ。なぜプログラムし直せないのか?不思議でならない。「S400d」には、今や、4種類のレイアウトと3つのモードが備わっているのだから。しかし、それはさておき、iDriveシステムは今でもベンチマークであり、長年にわたって機能を増やしてきたし、使いやすさも失っていない。「740d」は、340馬力の3.0リッター直列6気筒を搭載している。最新モデルでは、マイルドハイブリッド技術と、48ボルトのスタータージェネレーターを搭載している。これにより、発進時などに11馬力の追加電動出力が得られるようになっている。この3.0リッター直列6気筒エンジンは、これまでも素晴らしい技術を持っていたが、今回、さらにその性能が向上していることを実感した。スタータージェネレーターのおかげで、力強くスムーズに始動し、圧縮着火式エンジンとしては非常にスムーズに走る。ディーゼルらしい音がするだけで、常に心地よく暖かい、やや暗い音で鳴っている。パワーも十分で、瞬時に走り出すことができる。

極めてスムーズ: 7シリーズのフロントにディーゼルエンジンがあることは、ほとんど気づかない。

BMWのフラッグシップモデルのドライビングパフォーマンスは印象的だ

「740d」は、0から100km/hまで5.0秒という非常に優れた速度で走り抜ける。いつものように、目覚めたZF製の8速スポーツオートマチックが、迅速かつスムーズに反応して、見事に動作する。「7シリーズ」の燃費はリッターあたり14.2kmで、ベンツのほうは、リッターあたり12.9kmとやや劣っている。V8同様、やはり2.1トンの高級セダンであるBMWの走行性能と快適さには驚かされる。エアサスペンションと全輪駆動が標準装備されており、今回試乗した「740d」には、ロールスタビライザー付きのエグゼクティブドライブプロパッケージ(2,950ユーロ=約39万円)が装着されていた。このように、「740d」は、道路上では巨大な存在だが、ドライバーに驚くほど忠実で、生き生きとしており、カーブで不安になることは皆無だ。戦艦のようでありながら、俊敏なのだ。これは、驚くほどしっかりしていて、現行のBMWにしてはまったく神経質ではない、ダイレクトな反応を示す4輪ステアリング(標準装備)のおかげでもある。

ラグジュアリーにプレジャーを: 大型の7シリーズは、ブランド特有のドライビングプレジャーでも、たっぷりと私たちを楽しませてくれる。

メルセデスは、 グライダーのように静かに深くリラックスした乗り心地

メルセデスは、2.9リッター直列6気筒で330馬力を発揮する。マイルドハイブリッド技術はまだこのモデルには搭載されていないので、BMWよりもやや荒いスタートとなるが、同じように振動の少ない走りをする。サウンドも非常に心地よく、BMWよりも少し明るく、2台とも抜群の静粛性を保っている。ベンツもまた、力強く始動し、非常に頑丈に引っ張っていくが、全体的なレスポンスは控えめで、BMWのようなパワフルで活発なものではない。ベンツの100km/hまでの加速は5.6秒だ。9速オートマチックの調子は良好だが、操舵時などに時々ギクシャクするなど、BMWに比べてシフトの切れ味が悪い。全輪駆動とエアサスペンションが標準装備された「Sクラス」は、凛とした重厚な乗り心地が魅力だ。エアサスペンションは、「7シリーズ」よりもさらに穏やかに反応し、特に短い揺れに対しては、ベンツは不整地でも滑らかに走る。それは曇でもなく、綿のように柔らかいものでもなく、ただ深くリラックスしたものだ。ステアリングは正確に反応し、心温まるフィードバックを与えてくれる。特に、10度のリアアクスルステアリング(1,547ユーロ=約20万円)を装着した「S400d」は、驚くほど扱いやすくなっている。

大きな喜び: Sクラスは、7シリーズよりも少しリラックスして悪路を乗り越えることができる。

第2位 800満点中583点: メルセデスS400d 4MATIC
ここでは、本当に価格だけが決め手となった。エレガントなセダンでありながら、優れた快適性と上質なディーゼル。

第1位 800満点中588点: BMW 740d xDrive
良い意味でのオールドスクール、と最後に書いておく。本当だ。バロック調のセダンで、気質もあり、走りも素晴らしい。

結局、ベンツとBMWは、機能ランキングで同列に並び、コストで決めなければならないのだ。740d xDriveは103,000ユーロ(約1200万円)から、S400d 4MATICは108,635ユーロ(約1280万円)からとなっている。装備が充実しているBMWの方が価格は安いが、下取りなどのリセールバリューも実はかなり低い。

今回のテストで登場してからかなりの年月が経過した「7シリーズ」が、登場したばかりの「Sクラス」に勝ったことを不思議に思った方もいらっしゃるかと思うが、私は不思議には感じなかった。「7シリーズ」が熟成を重ね、モデル末期であるが故の完成度の高さを持っているから、という理由はもちろんあるのだが、それでは「Sクラス」が数年経過したころの熟成を重ねて、「7シリーズ」を圧倒するほどの完成度をそのころ持っているのだろうかというと、それはなんともいえない。
その理由は、「EQS」など、一連の「EQ」シリーズの存在と、メルセデス・ベンツのEV戦略で、ひょっとするとメルセデス・ベンツとして今後開発のエネルギーを注ぐのはそちらのシリーズなのではないだろうか、という推測ができるからである。もちろん内燃機関のモデルをやすやすと失くしたり、開発をいきなりやめたりすることはあり得ないことは承知の上ではあるが、これだけのモデルを開発するためのエネルギーと熟成するためのマンパワーは昔のようには存在していないだろう。
今度の「Sクラス」は圧倒的に良いかというと、そこまでのものではなく、前のモデルのビッグマイナーチェンジという見方もできるが、もはや今の「イチオシ」は、「EQS」なのかもしれない…。そして数年後の展望は、現時点では、誰にも見通せないほど複雑で難しい状況ともいえる。
そろそろ次期モデルの姿が見えてきている「7シリーズ」、それがどのような姿で登場し、どんなパワーユニットを持ち、ドライバーズカーとしてどんな魅力を持っているのか、大変興味深い。一方の「Sクラス」は、数年後、熟成されて今のモデルよりも数段完成度があがっているのだろうか、その点も気になる部分である。

Text: Dirk Branke, Berend Sanders
加筆: 大林晃平
Photo: Tom Salt / AUTO BILD

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