1. ホーム
  2. テスト
  3. 【初テスト】ルノー ルーテシアのハイブリッドモデル E-テック その性能と実力を試してみた

【初テスト】ルノー ルーテシアのハイブリッドモデル E-テック その性能と実力を試してみた

2021年3月12日

ルーテシア(欧州名クリオ)E-テックにはプラグインハイブリッドが備わる。今回、我々はルーテシアE-テックをテストした。そのレポートをお届けする。

今や電子自動車はほぼ世界各地に存在しているが、プラグインハイブリッドも同様にほぼあらゆる場所で目にする。ここで充電、あそこで充電。国や自治体からの補助金やリベート、メーカーによる価格値引きなどは、どこでもおこなわれている。プラグもなく、航続距離の不安もない、もはやプラグインではないクラシックなハイブリッドは、ほとんど忘れ去られた存在のように映る。フランスのメーカーは、「メガーヌ」と「キャプチャー」からのプラグインパワートレインを使用しているものの、大型バッテリーを省き、この「ルーテシア」をあえてフルハイブリッドをとして市場に投入した。

数字で表すと、91馬力の1.6リッター4気筒エンジンと49馬力の電動モーターと20馬力の高電圧スタータージェネレーターを意味し、全部で140馬力のハイブリッドシステムを搭載していることになる。だが日常の運転ではルーテシアはあまりその真価を発揮しない。ルノーの「インテンス(Intens)」装備ラインで、部分的に革で覆われたシートは快適に過ごせる。唯一足りないのは足の長い人でも余裕で座れる調節可能な太もものサポートだ。
リア?
広々というわけではないが、許容範囲だ。
トランク?
それはE-テックの唯一の小さな弱点と言える。
ハイブリッド技術は、より多くのスペースを必要とするため、トランクの容積は86リットル減少し、340リットルではなく254リットルとなっている。

近年のルノーモデルに欠けていたものは?

クオリティ、ワークマンシップ、そしてインフォテイメントだ。幸いなことに、新型「ルーテシア」はその点では文句を言う理由はほとんどない。「インテンスライン(1,750ユーロ=約22万円)」を選択すれば、少しの贅沢が味わえるとともに、かつては混乱していたインフォテイメントは、ほとんど疑問符のない構造化されたシステムに取って代わられている。

1.2kWhバッテリーは急速に充電される

移動中はフルハイブリッドが予想以上に機能する。比較的強力なスタータージェネレーターが理想的な速度を実現している。さらに、トランスミッションの摩擦が大幅に低減され、エネルギー回収に役立ち、燃料消費量も低減している。最終的な燃料消費量はリッターあたり20.8kmで、我々は1,313kgのコンパクトカーに対して素直に脱帽した。「E-アシスト」のおかげで、特に都市部では、「ルーテシア」の1.2kWhのバッテリーは急速に充電されるため、「E-テック」が、通常は都市部での走行の80%を純電動で走行することができるというルノーの発表は非常に説得力のあるものとなっている。シャシーもしっかりしていて、日常的な使用に適していると言っても過言ではない。ステアリングは完全に都市部の用途に合わせて調整されているものの、非常に軽く作動するため、やや不正確だ。

良くチューニングされている。ハイブリッドルーテシアは駆動部品がうまく機能している。

ルノーは購入時に寛大な割引を提供している

購入に際しては、残念ながら(欧州では)、このモデルは政府の補助金の対象になっていないのが寂しいところだ。しかし、ルノーはそれを補うために、寛大な価格設定を提供している。「ルーテシアE-テック140」は22,650ユーロ(約290万円)からで、「ヤリス ハイブリッド」よりも3,000ユーロ(約38万円)ほど安く価格設定されている。追加として、1750ユーロ(約22万円)の「インテンスライン」を選択することを我々は絶対にお勧めする。その対価として、ルノーはデジタル機器だけでなく、自動温度調節、ナビ、スマートフォン接続、キーレスエントリー、部分的な革張りのシートを提供するからだ。さらに、ウィンターパッケージ(ヒーター付きシートとステアリングホイールが450ユーロ=約5万5千円)とセーフティパッケージプラス(アダプティブクルーズコントロール、渋滞アシスタントとブラインドスポット警告で850ユーロ=約11万円)もお薦めだ。

プラグのないハイブリッドには補助金はない。それでも、クリオE-テックは22,650ユーロ(約290万円)からというリーズナブルな値段だ。

結論:
「ルーテシアE-テック」は、EVを欲しない人や、プラグインを充電するためのインフラストラクチャーがない人にとっての、環境に優しい自動車の魅力的な選択肢の1つだ。
AUTO BILDテストスコア: 2-

日本では様々な事情で普及に結び付いていないが、プラグインハイブリッドのモデルというのは、内燃機関の自動車から完全EVに向かう時には、(特にメーカーにとって)必須なモデルであるといえよう。充電設備の整備やコストなど、まだまだ乗り越えなくてはいけない部分が多々あるにせよ、完全なEVになる前の段階で、普通のハイブリッドシステムも、プラグインハイブリッドモデルもまだまだ改良されながら効率を上げていく、そんな渦中にある。
先日、世界で売られているプラグインハイブリッドモデル上位20台の中に、日本のクルマは2台しか入っていなかったが、まだまだこれから様々なモデルが登場する予定だし、そのシュアも高まる一方だろう。
このルーテシアもそんな中においては完成度も高く、価格もそこそこ買いやすいモデルではあるが、普通の内燃機関のモデルも、決して燃費が悪いわけではないし、シンプルなエンジンの小型車を望む人には、そちらのモデルのほうが良いとも思う。
そう、プラグインハイブリッドモデルになるということは、複雑で重く、そして高価にならざるを得ない。だから小型車との相性はなかなか難しいのではないか。プラグインハイブリッドモデルを選ぶのであれば、より大きく、高価なジャンルのクルマのほうが良いのではないか、というのが個人的な気持ちである。

Text: Christoph Richter
加筆: 大林晃平
Photo: Renault AG