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【この車のタイヤなんぼ?】ブルネイのスルタン用に作られたワンオフ「ランボルギーニ LM002」のタイヤの価格?腰ぬかしますぜマジで

2024年4月29日

ランボルギーニ LM002 シューティングブレーク:ブルネイのスルタンのために作られたワンオフのランボルギーニ LM002のタイヤはVWゴルフGTIの新車より高い!

現代のパフォーマンスSUVの祖先「ランボルギーニ LM002」。オフロード用のランボルギーニという基本的なアイデアは1977年に遡る。軍用にオフロード走行を可能にするモデルを開発する計画で、最初のプロトタイプは「チーター」と名付けられた。しかし、そのプロジェクトは中止された。

イタリア軍は米軍の入札に敗れ、オフロード車プロジェクトは、少なくとも当分の間はお蔵入りとなった。新たな経営陣のもと、1980年にプロジェクトは再び動き出し、1981年には民間用の最初のプロトタイプ、「LM001」が製造された。そして「カウンタック」からV12を借用した生産モデル「LM002」は、ランボルギーニのベストセラーSUV「ウルス」の祖先のようなものだ。

5.2リッター自然吸気V12エンジン(455馬力)のおかげで、角張った「LM002」は3トン弱の車重で、最高時速223kmという1980年代のオフロード車としては非常識な数値を記録した。

301台しか製造されなかったLM002

1993年までに、この完全にクレイジーな「LM002」は301台しか製造されず、そのオーナーはとても裕福な人たちだったに違いない。220,000ドイツマルク(約1,850万円)という新車価格に加えて、「LM002」のドライバーは100km走行あたり40リッターを超える燃費(2.5km/ℓ)を計算しなければならなかった。このオフローダーは巨大な燃料タンクを備えているが、実際の大きさはさまざまだという。169リットルから290リットルの燃料タンクが備え付けられた。

2009年、ランボルギーニLM002シューティングブレークは、ドイツでまだ売られていた。当時の価格は118,500ユーロ(約1,960万円)だった。今日、この価格はおそらく数倍になっているだろう。

しかし、高回転V12を搭載したこのオフローダーが、あなたにとってはまだ普通すぎるとしたら?ブルネイのスルタンはこの疑問に直面した。ハッサン アル ボルキア(本名)は、最盛期には3,000台とも7,000台ともいわれるクルマやバイクのコレクションを誇るカーマニアであることは有名だ。

1980年代から1990年代にかけて、スルタンはさまざまなメーカーの数え切れないほどの車を自分仕様にカスタマイズしていた。その中には、非常に特別な「ランボルギーニ LM002 シューティングブレーク」もあった。

ランボルギーニ公認のワンオフカー

YoutuberのShmee150は、スウェーデンの高級車ディーラー、”Motikon”で、この「ランボルギーニLM002シューティングブレーク(エステートカー)」を、発見した。

このシルバーの巨体は、ランボルギーニが承認し、ディアマンテ社が製造したワンオフモデルである。この「LM002」の特徴は、荷室がオープンではなく、完全にクローズドなボディであること。トランクがない代わりに、「LM002」には10人分のスペースが用意されている。

「ノーマル」のLM002でさえ、最近では50万ユーロ(約8,260万円)の値がつくこともある。このワンオフの価値はさらに高いだろう。

厳密には、3台の「LM002」がシューティングブレークに改造されたが、ランボルギーニが公認したのはこの1台だけである。新しいボディは、オフローダーが長くなっただけでなく、500kg以上重くなったことを意味し、乾燥重量は3.5トンを超える。

最大10人乗り

ちなみに、これはボディだけでなく、豪華な装備によるものでもある。3つのベンチシートと2つのリアシートに加えて、「LM002」にはブラウン管テレビが搭載されており、1980年代には絶対的な贅沢であった。

しかし、スルタンはその特別な「LM002」を長く保持することはなかった。わずか1,800kmしか走行していなかったこのランボルギーニは、BMW、VW、スカニアの元ボス、ベルント ピシェッツリーダーに売却され、彼は「LM002」にドイツ車登録を与え、車両総重量の増加も登録したと言われている。

その後、ピシェッツリーダーは「ランボ」をスウェーデンに売却し、3人目のオーナーが子どもたちを学校に送るために使ったとされている。

“Motikon”の創設者であるフィリップ ラーションは、数年前にようやく購入することができるようになるまで、何年もこの特別な「LM002」を追跡していた。

タイヤはゴルフGTIより高い

シルバーの「LM002」は、レストアされる予定だが、もともとの魅力を失うことはない。年式は古いが、ブラックレザーのインテリアは驚くほど状態が良い。

これが問題のタイヤだ:5万ユーロ(約830万円)という法外な値段で、世界中で1セットしか提供されていないと言われている。

タイヤなど他の部品も交換する必要があるだろう。しかし、その値段は法外に高価だ。フィリップが説明するように、17インチの巨大な345幅のピレリスコーピオンゼロタイヤはもう手に入らない。このタイヤは現在、世界中で1セットしか入手できず、その価格はなんと5万ユーロ(約830万円)だという。フィリップは、交渉の余地はあまりないと諦め顔だ。

近年、「LM002」の価格は高騰しており、30万ユーロ(約5,000万円)を下回るものはないとはいえ、タイヤ1セットに5万ユーロ(約830万円)もするのは馬鹿げている。とはいえ、”Motikon”チームがこのユニークな「LM002」を最高の状態にレストアするのを止めることはないだろう。このクルマは自動車の歴史の一部であり、現代のすべてのパフォーマンスSUVの祖先なのだから。

楽しいYouTube動画はこちら。
https://youtu.be/TqEvOAyzQSA

Text: Jan Götze
Photo: Aleksander Perkovic