1. ホーム
  2. スポーツカー
  3. 英国製スポーツカー一騎打ち アストンマーティン ヴァンテージ対ジャガーFタイプ

英国製スポーツカー一騎打ち アストンマーティン ヴァンテージ対ジャガーFタイプ

2021年1月18日

クールでカッコいいV8英国製スポーツカー対決 その性能はどちらがどのように優れているのかを実際にテスト&比較

V8エンジンを搭載したアストンマーティン ヴァンテージとジャガーFタイプの比較テスト。サーキットでは、アストンマーティンは明らかにジャガーを打ち負かす。
世界にはいくつかの高速V8スポーツカーが存在する。しかしこの2台のようにファンシー(高級でしゃれた)なモデルはレア(稀)な存在だ。

輝かしい歴史と由緒正しいDNAを備えたカッコいいスポーツカーの代表格である、ゴージャスなスポーツクーペ「ジャガーFタイプ」と、息を呑むようなスタイルのマシン「アストンマーティン ヴァンテージ」。
この英国ラグジュアリーブランドの高級スポーツカーは滑らかな走りからレーストラックでの過激な走りまでこなせるクールでエレガントな2台だ。
その2台の実力をテスト、比較してみた。

サーキットは明らかにアストンマーティンの領域だ

Fタイプとヴァンテージは祖国を共にしているだけでなく、遺伝子的にも近い関係にある。
後輪駆動、フロントにはパワフルなV型8気筒エンジンを縦置きに搭載し、オートマチックは極限まで調整されているため、適切なスピードを実現するための最高の前提条件を備えている。
コンチドローム(Continental AG Contidrom=コンチネンタルタイヤの所有するサーキット)のハンドリングコースで2台に競ってもらった。
2台合わせてほぼ1,000馬力という豪華な対決だ。
むろん、そのためにはそれなりの代償を必要とする。
少なくとも136,276ユーロ(約1744万円)がヴァンテージのためには必要で、FタイプP450はそれよりも4万6千ユーロ(約588万円)ほど安いが、それでも90,168ユーロ(約1154万円)が必要となる。
それぞれのラップタイム?
ヴァンテージは、ラップあたりFタイプよりも4秒速い。
アストン独自の「サーキットカー」の世界を形成している。
ジャガーはむしろパワフルなGTと解釈されるべきだろう。
しかしFタイプも速いことに間違いはない。
その走りはとても俊敏に感じ、操縦性も優れていて、その強力なエンジンは、アルミ製の猫(ジャガー)の1.8トンというウェイトを感じさせない。

サーキットでは明らかにアストンマーティン ヴァンテージがジャガーFタイプを凌駕している。

サーキットにおいて、Fタイプは奔放な動きを見せることがある。
それでもそのボディの傾き、リンケージのストレッチ、コーナー出口でのホイールスリップ、長い高速コーナーでのアンダーステア…、これらはすべてそのドライビングプレジャーとラップタイムにつながる。
また、車をきれいにオンラインに保つにもややテクニックが必要となる。
アクセルを踏みすぎると、リアがスライドして、ジャガーは驚くほど自由奔放な走りをしたがることがあるからだ。
その一方でエンジンは、スロットルを介して十分なパワーを発揮し、素晴らしくエッジの効いたものになっている。
Fタイプは万能だが、アストンマーティンと比較すればより穏やかな車だ。
その代わり、基本的に道路上では静かで、タイトなシートとそれに見合ったスプリングのサポートに恵まれ、長距離走行はヴァンテージよりも快適である。

この比較ではF-Typeの方が総合的に穏やか車だ。一般的に道路上では静かで、タイトなシートとはるかに快適なサスペンションに恵まれ、ヴァンテージよりも長い旅には向いている。

一方でアストンはこのクラスのリーディングドライビングマシンの1台だ。
「アストンマーティン」と「ジェームズ ボンド」を同じ文章で書くのは少し陳腐かもしれないが、ここでは言わずにはいられない。
なぜなら、このアストンはまさしく「ボンド」だからだ。
それは、勇敢なショーン コネリーでもなく、ジョークのうまいロジャー ムーアでもなく、堅苦しいティモシー ダルトンでもない。
妥協を許さずに疾走し、粘り強く戦い、猛スピードで突進し、パワーを炸裂させるダニエル クレイグだ。
カジノのテーブルで片手をズボンのポケットに入れた高価なオーダーメイドのスーツを着て、美しく着飾って際立っている一方で、次の瞬間には汗で濡れた髪の毛と額に出血の跡の傷と破れたシャツで対戦相手を追いかけている男のイメージだ。

アストンは、レーストラックをジャガーよりもより細かく正確にこなすことができる。
とにかくヴァンテージは長い左カーブを、この重量級のスポーツカーでは滅多に見られないような力強さと正確なコーナリングでクリアしていく。
このクルマは驚異的な存在だ。
グリップ力があり、バランスが取れており、トラクションが強く、トルクがあり、パワフルで、予測可能な2シーターは非常に印象的なラップを重ねていく。
ブレーキ?
正確な圧力ポイント、第一級の熱安定性、ジャガーのそれよりも明らかに優れている。
より正確には言うなら、ヴァンテージが100km/h走行時からのブレーキングで33.9メートル後に完全停止する一方、Fタイプは34.8メートル後に完全停止する。
アストンのステアリングも微妙にバランスをとるのに十分ダイレクトなレスポンスで、特にステアリングホイールの巨大な固定シフトパドルは手が届きやすく、触覚的にも楽しいものに仕上がっている。
エンジンもジャガーの5.0よりもストレートかつトルクフルな性格をもつ。
また、全体的に音がよりアグレッシブで、レーシーだ。
したがって、結論は次のとおりだ。
ヴァンテージの方がより美しく走ることができる!

ということで、今回の勝者はアストンマーティンとなった。これは本文中にもあるように、よりピュアでハードなスポーツカーとしてアストンマーティンが優れている、ということだが、ここで無視できないのが価格差の600万円である。
もちろんこのクラスになってしまえば、安いほうが良いとか、コストパフォーマンスに優れる、という考え方など正直どうでもいいことだし、安いとはいえジャガーだってなんだかんだで1200万円はするのだから、それなりのパフォーマンスを持っていなければいけないだろう。
だがそれでも、この600万円という価格差はなかなか大きいものだし、その分を考慮するのであればジャガーの快適さも、十分以上に優れた動力性能も評価されてしかるべきである。
スタイルはさすがに好みの問題になってしまうが、個人的には今回のFタイプは決してアストンマーティンに劣っていないばかりか、かえってスタイリッシュで上品と思うポイントも多く、この点でもあえてジャガーを選ぶ人がいても決して不思議ではない。
あとはこの2台をどう使うか、どう乗りこなすかの問題となってしまうが、長距離を走る機会やビジネスマンズエクスプレス的な使い方が多いのであればジャガーを、よりアグレッシブに乗りこなし、さあにスタイリッシュにジェームズボンドを演じたいのであればアストンマーティンを、とそういう結論になるのだと思う。

非常に繊細だ。ヴァンテージのステアリングは非常に良いフィードバックを提供してくれる。

テクニカルデータ: アストンマーティン ヴァンテージ
● エンジン: V8ツインターボ ● 排気量: 3982cc ● 最高出力: 510PS@6000pm ● 最大トルク: 685Nm@2000rpm ● 駆動方式: 後輪駆動、8速AT ● 全長×全幅×全高: 4465×1942×1273mm • 乾燥重量: 1695kg • ラゲッジコンパートメント容量: 270リットル ● 0-100km/h加速: 4.1秒 ● 0-200km/h加速: 12.8秒 ● 最高速度: 314km/h ● テスト時平均燃費: 7.5km/ℓ ● CO2排出量: 315g/km ● 価格: 136,276ユーロ(約1744万円)より

テクニカルデータ: ジャガーFタイプ P450 RWD
● エンジン: V8スーパーチャージャー ● 排気量: 5000cc ● 最高出力: 450PS@6000pm ● 最大トルク: 580Nm@2500rpm ● 駆動方式: 後輪駆動、8速AT ● 全長×全幅×全高: 4470×1923~2040×1311mm • 乾燥重量: 1800kg • ラゲッジコンパートメント容量: 299リットル ● 0-100km/h加速: 4.5秒 ● 0-200km/h加速: 15.2秒 ● 最高速度: 285km/h ● テスト時平均燃費: 7.6km/ℓ ● CO2排出量: 310g/km ● 価格: 90,168ユーロ(約1154万円)より

Text: Jan Horn
加筆:大林晃平
Photo: Sven Krieger / AUTO BILD