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蘇った ”福野さんの” 365BB

2024年4月16日

「フェラーリを通販で買う方法」と題して、モータージャーナリストの福野礼一郎さんがイギリスから個人輸入したフェラーリ365GT/4 BBの記事を発表したのは、もう20年近く前の2005年のこと。

イギリスでの現車確認を行わず、販売店のウェブサイトに掲載された低解像度の写真だけを見て30年落ちの12気筒フェラーリを購入するという暴挙をまとめた原稿をハラハラしながら読んだことを今でも覚えているが、輸入した365BBのその後がずっと気掛かりだった。

輸入直後に行われたエンジンのオーバーホールは順調に終わり、エンジンの写真集が発売されたものの、ボディのレストアに苦戦。しばらくして、レストアが未完了のまま福野さんが車を手放されたという話が漏れ伝わってきていたのだ。

あの右ハンドルの365BBはどうなってしまったのか?

この20年の間、そのことがずっと頭の片隅で気になっていた。だからオートモビルカウンシルの会場で、レストアが完了した元福野さん所有の365BBの姿を見つけた時には、行方不明だった旧友とやっと再会できたような気持ちになった。

生きていてくれて本当にありがとう!

真っ赤な365BBを前にしばし立ち尽くし、福野さんの原稿を何度も何度も読み返した2005年の当時から今に至るまでの自分の人生を振り返ったりしながら、このBBが辿った苦難の道のりに想いを馳せた。整備工場にとって決して割の良い仕事ではないレストアは、完成すること自体が一種の奇跡である。そして、奇跡を起こすのはお金だけでは足りず、オーナーの情熱をもってしてもまだ足りない。エンジンやボディ、内装など多岐に渡る作業を行う関係者全員の執念と高いプロ意識こそが一台のフルレストア車を作り上げるのだ。

この365BBは、内装色こそオリジナルの黒からベージュに変更されていたものの、その他はオリジナルを復元すべくレストアされているように見えた。中期型までの365BBの特徴であるスウェード張りのダッシュボードが再現されているのが特に印象的である。ワイドフェンダーの512BBやテスタロッサとは異なる細身かつシャープなプロポーションは、ライバルのカウンタックLP400とはまた別の魅力に溢れているが、この辺りの雰囲気も新車当時を思わせる仕上がりだった。

福野さんとこの365BBが再会する日が訪れますように。

Text&Photo:アウトビルトジャパン