【このクルマなんぼ?】ほぼ新車 28年を経て走行距離1,985kmのBMW M5(E34)の値段は?

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現在販売中の今年28歳のこのBMW M5 E34(1992)はなんとほぼ新車状態だ。BMW M5 E34は人気のクラシックモデルだが、このM5は非常にユニークな個体だ。なぜなら距離計には1983kmとしか刻まれていないからだ。全情報!

BMW M5は、レジェンド、文字通り伝説のモデルだ。
1985年に登場したM5 E28から始まり、1987年まで製造され、現在ではほとんど見かけることはない。
ミュンヘンのパワーセダン、M5 F90はすでに6代目だ。
BMWファンやコレクターの間では、E34世代とE39世代が特に人気が高く、そのフリルのないデザインが人気を集めている。
そして現在、おそらく極めてユニークで珍しいと思われるM5 E34が売りに出されている。
その価格は?
とてつもなく高い!

28年後わずか1983km

信じられない。
このBMW M5のスピードメーターには走行距離が1983kmとしか表示されていない。
厳密に言えば、この315馬力のヤングタイマーはほぼ新車だ。
しかし、なぜこのBMWは実質的に一度も運転されたことがないのだろうか?
現在このM5 E34を販売している「ヤンセン クラシケ オートモービル」によれば、この個体は1992年7月にBMWのジュネーブ支店からさる外交官のもとに納車されたという。
この紳士はM5をほとんど動かしていないにもかかわらず、熱心かつ集中的にメンテナンスしていたという。
年間平均71kmしか走っていないにもかかわらず、M5は毎年、納車されたディーラーで整備を受けていたという。
広告によれば、サービスブックレット(整備手帳)は完備されており、関連する請求書や原本もすべて揃っているとのこと。

何も捻じ曲げられていない。売り手によれば、走行距離はオリジナルなもので、それは証明可能だとのこと。

さすがに走行距離が少ないだけあって、写真に写っているM5は完璧な状態だ。
「ダイヤモンドブラックメタリック」の塗装は完璧で、17インチバケットホイール(スタイリング21)も完璧な状態、「モータースポーツファブリック / アルカンターラアマレッタシルバーグレーライト」のインテリアも汚れはなく、インストルメントクラスターにもピクセルエラー(距離系の数字などの表示不良)は存在しない。
もちろん、車載工具も未使用のものが揃っている。
定期的にメンテナンスを行っているのでダメージもない。
要するに、28年落ちのM5は、(ほぼ)納車された当時のままだということだ。

M5 E34はツーリングとしても登場していた

BMW E34は、E28に次ぐ2代目のM5で、1988年から1995年にかけて製造された。
そして2種類のバージョンが存在した。
1988年から1992年までは、315馬力と360Nmのトルクを持つ3.6リッター直列6気筒(S38B36)のセダンとしてのみ生産販売された。
1992年春からは、排気量3.8リッター(S38B38)、最高出力340馬力、最大トルク400Nmのフェイスリフトバージョンが投入された。
また、M5はエステートカーとしても初めて販売された。
しかし、M5ツーリングは大きな需要を巻き起こすことができなかったため、891台が作られただけだった。
生産期間が終了する少し前に、M5のための別のリフトアップバージョンである「コンペティション」が作られた。
それはトランスミッションの6速化(それまでは5速のみ)、ブレーキの大型化、18インチホイールの採用、アクティブサスペンションの標準装備化などが行われた、さらなる高性能M5だった。

3.6リッター直列6気筒エンジンは315馬力を発生。0から100km/hまで6.3秒でダッシュする。

信頼性の高い希少な直6エンジン

1992年当時のBMW M5 E34の新車価格は12万マルク(約780万円)だった。
しかし、アラームシステム、電動サンルーフ、オートマチッククライメートコントロール、6枚組CDチェンジャーを含むBMWビジネスラジオ、ハイファイスピーカーシステム、電動シート・アジャストメントなどのオプションエクストラアイテムが追加されたことで、納車当時のこのM5 E34の購入価格は135,000マルク(約880万円)以上に上昇した。
今日では、最も安い個体なら、約20,000ユーロ(約256万円)から市場で見つかる。
しかし、それらの多くは走行距離がゆうに20万kmを超えており、中には30万kmを超えている個体も少なからずある。
これは、直列6気筒が適切にメンテナンスされていれば、信頼性の高いエンジンであることを示している。
E34 M5の機構的に大きな問題はあまりなく、むしろ少ない総走行距離の状態の良い個体が残っていないということが問題といえる。

最初期のM5 E34生産モデルはすでにHプレート申請対象モデル(クラシックカー登録=ドイツで30年を経たクルマに与えられるプレート)だ。

新品のM5コンペティションよりも高価

この走行距離1983kmというほぼ新品のM5 E34は、もはや世界のどこを探しても見つからないだろう。
コレクターにとってのこのユニークな個体には、それなりの価格が設定されている。
「ヤンセン クラシケ オートモービルズ」は、このM5を154,900ユーロ(約1,980万円)で販売したいと考えている。
ちなみに、これは新車の625馬力現行BMW M5コンペティション(F90)の価格よりも25,000ユーロ(約320万円)も高い価格なのである…。

このE34、サイズも良いしBMW5シリーズらしい、ということはBMWの中のBMWらしいスタイルと内容で、ちょうど当時に好敵手として存在していたメルセデスベンツ500E(もちろんW124の)と並び、私は当時好きな一台だった。なかでもこのM5は自動車好きには必ず刺さる一台で、実際にこの車を購入していた人を何人も知っている。
とはいってもそのすべての人は新車ではなく中古車で購入しており、たいていは300~400万円程度で購入しており、中には100万円台でエンブレムバッチの色が「はげちょろ」になってしまったような程度のM5を大切そうに乗っていた人も私は知っている。私の周囲にいたE34 M5は、そんな感じの「出がらし」みたいなのばかりなのだった。
今回のM5はそれと比べちゃ失礼千万にあたる、ほぼ新車で、ずっと整備を受け続けてきたタイムカプセルから出土したような個体ではあるが、それでも現行M5の新車価格を大きく超える2,000万円のプライスタグをぶらさげて売られているのには、かなり驚く。
まあ今までのコストや維持への努力などを考えれば必然的な価格なのかもしれないが、さすがにこの価格では右から左という風には行きそうにない金額設定だ。
でも、興味はあるし面白い話ではあるけれど、自分では絶対に買えない話題、そういう話題こそ、繰り返し、繰り返し、我々自動車好きが同好の士と楽しくおしゃべりする、まさに格好の楽しいネタなのである。

Text: Jan Götze
加筆:大林晃平
Photo: AUTO BILD MONTAGE
BMW M5 E34 / JANSEN Classic Cars