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【このクルマなんぼ?】唯一無二のアルファのコンセプト「B.A.T.」トリオ オークションで落札 その驚愕の価格は?

2020年11月16日

アルファロメオ コンセプトモデル B.A.T. 5、7 & 9: サザビーズオークション

2020年10月28日、ニューヨークでおこなわれたサザビーズのオークションに、伝説的なアルファロメオのコンセプトカー、B.A.T.の3台、B.A.T. 5、7、そして9が出品され、超高額で落札された。以下にその詳細をレポートする。

アルファロメオ ベルリネッタ エアロダイナミカ テクニカ(Berlinetta Aerodinamica Tecnica)のグループショット。
Photo: Ron Kimball © 2020 Courtesy of RM Sotheby’s

アルファロメオ B.A.T. 5, 7, 9のコンセプトカーが、トリオで、1480万ドル(約16億円)で落札され、今回ニューヨークでおこなわれた「SOTHEBY’S CONTEMPORARY ART EVENING AUCTION」での最高額落札アイテムとなった。

そもそも、アルファロメオのコンセプトモデル、「B.A.T.」とは、どういうものか、まずはおさらいしてみよう。

アルファロメオB.A.T. 5
アルファロメオは、1950年代に「B.A.T.」という頭字語の付いた、いくつかのデザインスタディを発表した。
「B.A.T.」は、ベルリネッタ エアロダイナミカ テクニカ(Berlinetta Aerodinamica Tecnica)の略だったが、ベルトーネのレジェンドデザイナー、フランコ スカリオーネのデザインは、バットモービル(B.A.T.-Mobile)のように見えたし、事実多くの人がそう受け止めた。
それらのスタディモデルは、アルファロメオのスポーツクーペ、1900スーパースプリントをベースにしていたものの、視覚的には、別の惑星から来た乗り物のようだった。
この1953年製アルファB.A.T. 5は、約0.2という素晴らしいCd値(空気抵抗係数)を持つ宇宙船だ。
Photo: Werk

アルファロメオB.A.T. 7(1954)
翌年に発表された、さらなる改良を施されたB.A.T. 7(1954)は、より滑らかなラインと、よりフラットなフロントとより大きなテールフィンを備えていた。
Photo: Werk

アルファロメオB.A.T. 9(1955)
アルファロメオの未来的バットモービルは全部で3台。この最終モデル、B.A.T. 9(1955)は、より落ち着いて上品に見える。
それにもかかわらず、この「B.A.T.」のデザインは、ヨーロッパ発のコンセプトカーとしては、これまでで、もっともロケットのような未来的なデザインだった。
Photo: Werk

2020年10月28日、RMサザビーズは、総額約2億3,000万ドル(約253億円)を売り上げた。そのニューヨークでおこなわれた「現代美術イブニングオークション」において、有名なアルファロメオ ベルリネッタ エアロダイナミカ テクニカ(B.A.T.)のコンセプトカー3台を1ロット(つまり3台のセット販売)として出品し、1,480万ドル(約16億円)で落札された。
オークションに出品された最も貴重なアルファロメオの中でも、B.A.T.5、7、9がトップセールスを達成し、戦後のアルファロメオの中で最も価値のある1ロットとして、オークションに出品されたアルファロメオの世界記録を更新した。

サザビーズの「現代美術、印象派&モダンアート」のライブ配信ならびに販売では、sothebys.com、ソーシャルメディア、放送テレビを通じて、約100万人が視聴しており、1ロットとして提供されたこの3台の自動車の作品には、出品前から強い関心が寄せられ、オークション期間中も入札が行われていた。
サザビーズのオークショネアであるオリバー バーカーは、ニューヨーク、ロンドン、香港を中心に、世界中の専門家からの入札を受けたが、彼らの熱意は非常に高く、入札価格はうなぎ上りだった。
印象的なデジタルプレゼンテーションは、アルファロメオ「B.A.T.」トリオを含むこのオークションのトップロットに焦点を当てた30分間のプレゼンテーションから始まった。
この完全デジタル化への取り組みは、従来の紙媒体でのプロモーションとは一線を画し、完全デジタル化されたフォーマットを利用して、クラス最高のオークションプレゼンテーションを反映させたものとなった。
20世紀を代表する車のデザインとして多くの人に知られるB.A.T. 5、B.A.T. 7、そしてB.A.T. 9の3台のコンセプトモデルは、ベルトーネによってデザインされ、1953年、1954年、1955年に3年連続でトリノの「オートサロン」で一般公開されたものだ。
今回のサザビーズのセールでは、個人が長期にわたって所有していたものが、初めてトリオとして出品され、この3台は、芸術性と創意工夫の力が、どのような媒体であっても、市場では常に魅力的であることを示した。

サザビーズのオークショネア、オリバー バーカー(ロンドン)
Photo: Michael Bowles, Getty © 2020 Courtesy of Sotheby’s

真にユニークな自動車がサザビーズのアートセール、「コンテンポラリーイブニングオークション」に出品されたのは、アルファロメオのコンセプトモデル「B.A.T.」トリオで2回目となる。
2017年11月、RMサザビーズは、サザビーズ現代美術の「イブニングオークション」でミハエル シューマッハのモナコグランプリ優勝マシンである2001年型フェラーリF2001(シャシー211)を出品し、この車が初めて一般販売に供されただけでなく、サザビーズの「アートオークション」に出品された初めての自動車となった。
フェラーリ2001は熱狂的な聴衆の前でオークションにかけられ、会場内でもサザビーズコンテンポラリーアートとRMサザビーズのスペシャリストが電話で各コレクターの顧客を代理し、熱心な入札が行われた。
この栄光のF1マシンは、電話でオークションに参加した個人のコレクターに売却され、最終的に750万4,000ドル(約8億円)で落札された。

ミハエル シューマッハの駆るフェラーリF2001 F1マシン。
Photo: autobild.de
サザビーズのニューヨークの売り場で顧客からの入札を受けるスペシャリストたち。 © 2020 Courtesy of Sotheby’s
アルファロメオ ベルリネッタ エアロダイナミカ テクニカ(Berlinetta Aerodinamica Tecnica)のグループショット。
Photo: Darin Schnabel © 2020 Courtesy of RM Sotheby’s

いったいぜんたい、こんな貴重なクルマがどういう理由でオークションに出品されることになったのかは皆目見当もつかいないが、とにかく世に中に「これだけしかない」クルマであることには間違いない。
ベルト―ネの流れともいえる未来的なラインはなんとも魅力的で、もうこのB.A.T.のような形の自動車が世の中に生み出されることはないだろう。
そう考えるとセット価格で16億円、一台あたりざっと5億円ちょっとの価格も納得がいくし、美術品として評価するのであればこのくらいの価格は驚くにはあたらない金額でるともいえる。

さすがにこの3台をガンガン乗ろうという人物は世の中にはいないだろうし、どこかの博物館か美術館の所蔵というのが一番似合うだろう。もし一台だけもらえるとしたら個人的にはまとまりのよい「B.A.T. 9」かな?と思うが、あなたなら何番を選ぶのだろうか?
それとも3台セットじゃないとイヤだろうか??

今回のアルファロメオ「B.A.T.」コンセプトモデルの3台も採り上げた、「もっともクールなコンセプトカー×62台」も併せてお楽しみください。

Text & photo: RM Sotheby’s
加筆:大林晃平