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ワーゲンビートルのスペシャルモデル VW1303S GSR 販売中!

2020年3月24日

VWビートルが6万ユーロ(約750万円)?

おそらくこれまでで最もクールなVWビートルは、1973年の「イエローブラックレーサー」である1303S GSRだ。
そのスペシャルモデルが現在販売されている。

VWビートル1303S “Yellow-Black Racer”(略してGSR)はかつてドイツ連邦議会でも議題となったことがあった。国会議員たちは、1973年のスペシャルモデルの大変目立つルックスが、目立ちすぎることで道路上の不当な行為を招いたと考えたのだった。まあその告発は完全に根拠のないものでもなかったが、それでも理解しがたいとは思う。
実際にはGSRは見た目よりもはるかに無害で、おそらくそれまでのどのビートルよりも安全なモデルだった。この「イエローブラックレーサー」は現在、イェーナ(ライプツィヒ南西の小都市)の近くで売りに出されている。

オリジナルコンディションの素敵な車

このクルマがレストアされたものかどうかは定かではないが、ディーラーはオリジナルのままだと説明している。
一見すると、スペシャルビートルはきちんと手入れされて、程度が良い印象である。60,000ユーロ(約750万円!)もの価格であれば、もちろんそうあるべきだろう。なぜ1973年のVWビートルがこれほどの値段なのだろう?

その理由は「イエローブラックレーサー」はとても希少なモデルだからだ。1973年春に生産開始されたこのスペシャルなモデルは、作られた3500台中、現存しているのは60〜100台のみだと言われている。「イエローブラックレーサー」の最も顕著な特徴は、「サターンイエロー(土星の黄色)」と「マットブラック」による塗装だ。
VWは、黒のボンネットとトランク、ドアハンドル、トリムストリップ、バンパーと印象的な黄色をうまくアレンジして、絶妙なコントラストに仕立て上げている。また、スポーツステアリングホイールとスポーツシート、スチールリムを備えた黒いインテリアもクールだ。
当時、VWがスポーティなモデルを期待する潜在的な顧客に、大変うまく対応していたことが見て取れる。

ディーラーによれば、1303Sの状態はオリジナルのままだとのこと。なるほど写真で見る限りは、その通りで、状態もなかなか良さそうだ。まあ50年近い年月を感じることは確かであるし、それなりの手入れは必要かもしれないが…。

GSRはVWビートルとしては最先端のものだった

しかし実際にはVW 1303 S GSRは見た目よりもおとなしいモデルだった。50馬力の1600ccボクサーエンジンはボンネットの下に納まっていたし、すべてのビートルの中でももこのビートルはコーナーリングもなかなかうまくこなすが、決して爆発的なスピードを有しているわけではない。最高時速はたったの145kmだったのだから。
このVW1303は当時最新のシャシーが与えられているし、技術的には、ポルシェ911とほぼ同じように設定されているので、安心して運転できるはずだ。最新のレポートによれば、信頼性と品質も良好だという。
ただし燃費性能だけはさすがに最新のレベルというわけにはいかず、旧いクルマらしくガソリンをそれなりに消費する。

その野生的な外観にもかかわらず、GSRは比較的使いやすい。標準モデルには50馬力1600ccエンジンが搭載されていた。昔懐かしいエンジンルーム。やや雑然としているが、これがオリジナル。

Text: Lars Hänsch-Petersen