【初テスト】 これまたドイツでも人気の1台 トヨタ ヤリス クロスに初試乗 そのインプレッションは?

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トヨタ ヤリス クロスで冒険の地へ。

ドイツでいよいよ発売されるトヨタ ヤリス クロスの走りはこうだ。小型車は堅実だが、かっこいい車は少ない。この問題をトヨタが解決したのが、トヨタ ヤリス クロスという車だ。これは小型車をSUVに仕立てたものだ。そして、街の冒険家だ。初試乗レポート。

冒険の遊び場としての大都会を、トヨタは今、発掘している。
その冒険の場へは、「ヤリス クロス」ですぐに出発できる。
ドイツでは2021年9月に発売予定で、価格は22,690ユーロ(約295万円)から、駆動方式は(当面は)前輪駆動だ。
ドイツでは、しばらくの間は、ハイブリッドのみの展開となる「ヤリス クロス」は、高床式の普通の小型車ではなく、本格的なSUVだ。

ヤリス クロスのオフロードルックは本気で取り組める

ボディのデザインを一新し、技術も意欲的に開発した。
「ヤリス クロス」は、きちんとした地上高を確保しており、このクラスでは数少ない全輪駆動システムをも採用している。
最新の電動リアアクスルを搭載し、ドライビングプロファイルを「トレイル」に設定することで、単なる遊びではなく、本当の意味での冒険ができるようになっている。
室内にはほとんど何の不足もない。
車間距離制御や、車線制御などのアシスタンス装備は高水準で、テールゲートは電動で開き、本物のヘッドアップディスプレイが重要な情報を提供してくれる。
また、ホイールベースが2.56メートルもあるので、どの席に座っても比較的に余裕がある。

明確: ヤリス クロスは、十分な地上高と全輪駆動を備えていて、かなり意欲的だ。

ハイブリッドドライブで、ヤリスを経済的に走らせることができる
トヨタは、都市をホームグラウンドとしているため、ステアリングは軽快に、シャシーは妥協を許さないように設計されている。
「ヤリス クロス」は、曲がりくねった道でも、石畳でも、きれいに走る。
また、ハイブリッド用バッテリーは、一度に数百メートルしか持たないが、怪しいほど静かで、街中では驚くほど頻繁にパワーを発揮する。
これでは、車を降りる前から買い物が楽しくなってしまう。
しかし、街の先にあるカントリーロードでは、残念ながらすぐに楽しみが終わってしまう。
116馬力という、ただでさえ貧弱なシステム性能のため、いつものように無段変速機でもそのパワーは少しずつ失われていくからだ。
そのため、追い越しには少々の我慢が必要だ。
アクセルを踏み込めば、1.5リッター3気筒エンジンが、耳障りなほど大きな音を立てる。
それでも、「ヤリス クロス」は紙面上だけでなく、実際にも経済的で、燃料消費量もメーカー公表数値のリッターあたり21.2kmに近い性能を発揮する。

質実: ヤリス クロスの実際の燃料消費量は、リッターあたり21.2kmというメーカー公表値に近いものだ。

しかし、ヤリス クロスを買うためにはポケットを深く掘り下げなければならない。
標準モデルの「ヤリス」と比較して、約4,000ユーロ(約52万円)の追加料金は、SUVモデルを獲得するために必要な、大きな対価といえよう。
しかも、プラグインハイブリッドや電気自動車でなければ、ベルリン(ドイツ政府)からは、補助金も出ない。

テクニカルデータ: トヨタ ヤリス クロス1.5ハイブリッドAWD-i
● エンジン: 3気筒+電動モーター×2基 ● 排気量: 1490cc ● システム出力: 116P ● 最大トルク: 120Nm ● 駆動方式: 全輪駆動、電気式無段変速機 ● 全長×全幅×全高: 4180×1765×1595mm • 乾燥重量: 1170kg ● 最高速度: 170km/h ● 0-100km/h加速: 11.8秒 ● テスト時平均燃費: 21.2km/ℓ ● 価格: 29,060ユーロ(約377万円)より

結論:
トヨタは、「ヤリス クロス」で、他のライバルたちを激しく追い上げなければならない。
「フォルクスワーゲンT-Roc」を始めとするライバル車たちは数年先行しているからだ。そのため、「ヤリス クロス」は特徴的なデザインと装備を備えた小型SUVだが、パワートレインに関しては文字通り息切れしてしまう。
ハイブリッドモデルは高速遠路やワインディングロードではアンダーパワーである。
AUTO BILDテストスコア: 2-

ドイツの同僚たちの評価では、やや辛口になってしまった「ヤリス クロス」は、(特に今はパーツの供給が遅れていることもあって)日本では絶賛発売中、バックオーダー数か月、という状況となっている人気モデルだ。そんな人気者の「ヤリス クロス」ではあるが、ヨーロッパで乗るとどうかというと…。けっこう厳しい評価となってしまっている。
現在日本では、ハイブリッドモデル、ハイブリッドではないガソリンモデル、そしてそれぞれに2輪駆動と全輪駆動が設定されている、というように、フルラインナップ体制であるが、ヨーロッパ市場では、現在のところこのうち2輪駆動のハイブリッドモデルだけが設定されている。
このラインナップに反対はしないし、それでは他のラインナップ、例えば全輪駆動のガソリンモデルを入れたら、AUTO BILDでの評価が格段に向上するかというと、そういうこともないだろう、と思う。
というのも、「ヤリス クロス」は、もともと力んで乗るタイプの車ではないし、あくまでも「ヤリス」ではイマイチ格好良くないな、という「普通の人」が「普通に街で」乗ったり、「普通にちょっと休日にお出かけしたりするような」、そういった類の自動車だからである。
そしてそういう使い方をした場合、「ヤリス クロス」は自然体で大変好ましい実用自動車といえるだろう。日本国内で気兼ねなく使える一台、そういう部分にスポットをあててピントを合わせた自動車、「ヤリス クロス」を街でみかけるとそんな気持ちを抱くのである。

Text: Thomas Geiger
加筆: 大林晃平
Photo: Toyota Motor Corporation