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新型Sクラスについて知っておくべきことの全て

2021年5月24日

メルセデスSクラス(W223):マイバッハモデル、MBUX、自律運転、そして技術的ハイライト

新型メルセデスSクラスのすべてがわかる! メルセデスSクラスは、新しいインフォテイメントと、アクティブクルーズコントロールを発展させた自律運転のための必要条件を備えている。我々はすべての情報と価格をお伝えする。

➤価格
➤ エンジンラインナップ
➤ サイズとデザイン
➤ インテリア
➤ マイバッハモデル
➤ MBUX
➤ 自律運転
➤ 技術的ハイライト

価格: V8搭載のSクラスは最低でも126,366ユーロ(約1,690万円)
メルセデスは、コンストラクションコード「W223」を持つSクラスの7代目を発表した。
このモデルは、技術的な面で特に優れている。
例えば、新しいMBUXインフォテイメントシステムでは、中央のディスプレイが運転席と助手席の間に縦に配置されるようになった。
確かに、それはテスラに似ている。
さらに、この高級セダンには、リアアクスルステアリング、ワイヤレスアップデート、そして2021年半ばから、法律で認められれば、特定のルートでの自律走行が可能になるという前提条件がこの度加わった。
ダイムラーAGのCEOであるオラ ケレニウスは、この高級セダンの何が特別なのかを語っている。
新型Sクラスは現在、注文を受け付けていてすでにデリバリーも開始されているが、その価格は先代に比べて若干アップしている。
新しいフラッグシップサルーンは、ショートホイールベースで97,806ユーロ(約1,300万円)からとなっている。

エントリーレベル価格詳細:
ディーゼル
● S 350 d(4MATICはオプション): ショートホイールベース: 97,806ユーロ(約1,300万円)より / ロングホイールベース: 101,019ユーロ(約1,350万円)より
● S 400 d 4MATIC: ショートホイールベース: 108,635ユーロ(約1,450万円。日本市場価格=1,293万円)より / ロングホイールベース: 112,205ユーロ(約1,500万円。日本市場価格=1,678万円)より
ガソリン
● S 450 4MATIC: ショートホイールベース: 108,159ユーロ(約1,450万円)より / ロングホイールベース: 111,848ユーロ(約1,500万円)より
● S 500 4MATIC: ショートホイールベース: 120,059ユーロ(約1,600万円。日本市場価格=1,375万円)より / ロングホイールベース: 123,272ユーロ(約1,650万円。日本市場価格=1,724万円)より
● S 580 4MATIC: ショートホイールベース: 126,366ユーロ(約1,690万円)より / ロングホイールベース: 130,055ユーロ(約1,740万円)より
● S 680 4MATIC(マイバッハモデルのみ): ロングホイールベースのみ: 217,324ユーロ(約2,900万円)より

エンジン: 直6、V8、V12エンジンを搭載、後にプラグインハイブリッド

新型Sクラスのリアエンドには、細くて2分割されたテールライトが採用されている。

新型Sクラスのベースモデルには、改良された3リッター直列6気筒エンジンと9速オートマチックトランスミッションが搭載されている。
その上には、電動化されたV8と、マイバッハバージョンではV12気筒が採用されている。
また、メルセデスは2つの出力定格のディーゼルエンジンを用意している。
弱い方のディーゼル(S 350 d)は286馬力、600Nmを継続しているが、強い方のディーゼル(S 400 d)はニューバージョンでは10馬力減となり、330馬力、700Nmとなった。
6気筒ガソリンエンジンの出力は変わらない。
「S 450」は367馬力を発揮し、EQブーストにより一時的に22馬力の出力を呼び出せる。
最大トルクは500Nm。
よりパワフルな「S 500」のガソリンエンジンは、435馬力、520Nmを発生し、ここでも22馬力の電動出力を短時間で呼び出すことができるようになっている。
最弱のディーゼル(オプション)を除いて、すべてのエンジンは常に全輪駆動と組み合わされている。
6気筒が苦手な人は、V8を電動化して503馬力を発揮する「S 580」を選ぶことができる。
トップモデルは、V12エンジンを搭載した「S 680マイバッハ」で、2021年には、航続距離100kmのプラグインハイブリッド車も発売される予定だ。
日本には現在ディーゼルエンジンとガソリンエンジンの6気筒モデルだけが導入されているが、追って様々なエンジンのSクラスが追加投入されるだろう。

エンジンラインナップ:
ディーゼル
● S 350 d (4MATICはオプション): 直6ディーゼル; 排気量: 2925cc; 最高出力: 286PS; 最大トルク: 600Nm; 最高速度: 250km/h
● S 400 d 4MATIC: 直6ディーゼル; 排気量: 2925cc; 最高出力: 330PS; 最大トルク: 700Nm; 最高速度: 250km/h
ガソリン
● S 450 4MATIC: 直6ガソリンエンジン; 排気量: 2999cc; 最高出力: 367PS+22電動PS; 最大トルク: 500Nm; 最高速度: 250km/h.
● S 500 4MATIC: 直6ガソリンエンジン; 排気量: 2999cc; 最高出力: 435PS+22電動PS; 最大トルク: 520Nm; 最高速度: 250km/h.
● S 580 4MATIC(エントリーレベルマイバッハ用エンジン): V8ガソリンエンジン; 排気量: 3982cc; 最高出力: 503PS+22電動PS; 最大トルク: 700Nm; 最高速度: 250km/h.
● S 680 4MATIC(マイバッハモデルのみ): V12ガソリンエンジン; 排気量: 5980cc; 最高出力: 612PS; 最大トルク: 900Nm; 最高速度: 250km/h.

サイズとデザイン: Sクラスはあらゆる方向に成長
Sクラスのサイズは、ほぼすべての方向に拡大している。
ホイールベースの短いベーシックバージョンでは、全長が5.18メートルと5センチ以上伸び、全高もちょうど1センチ伸びて1.50メートルのセダンになっている。
車幅は1.95メートルと6センチ近く広がり、ホイールベースも7センチ以上追加されている。
合計3.11メートルのホイールベースは、主にインテリアに恩恵をもたらしている。

一目でわかるサイズ:
ショートホイールベースバージョン(3.11メートル)
● 全長: 5.18メートル
● 全幅: 1.95メートル(ミラー全開時: 2.11メートル)
● 全高: 1.50メートル
● トランク容量: 540~550リットル
ロングホイールベースバージョン(3.22メートル)
● 全長: 5.29メートル
● 全幅: 1.95メートル(ミラー全開時: 2.11メートル)
● 全高: 1.50メートル
● トランク容量: 540~550リットル

新型車のフロントは、力強いラジエーターグリルが特徴的で、クロームのトリムとフレームは先代よりもややスリムになっている。
アーモンド型のヘッドライトは先代に比べて縮小され、インテリアも一新されている。
また、3つのアイリッドラインを持つライトシグネチャーに別れを告げ、新型では1つに統合されている。
大きな面と彫刻的なドームがサイドラインを特徴づけ、リアセクションは2つのパーツで構成され、大幅にフラットになったライトと大型のクロームセンターバーが特徴となっている。

インテリア: Sクラスのフロントシートに最大19個のモーター

新しいインフォテイメントシステムのおかげで、27個のスイッチとボタンが除去された。

新型メルセデスSクラスのシートに座ってみると、まず室内では、第2世代のMBUXの一部として、縦長でスムーズに統合された12.8インチのスクリーンが目を引く。
今となっては大したことではないが、ダッシュボードの後ろにある12.3インチのデジタルスピードメーターと比較すると、センターディスプレイの面積は約60%も大きくなっている。
これは、有機ELディスプレイがほぼ正方形であるためだ。
新型Sクラスでは、合計で最大5つのディスプレイを装備することができるようになっている。
デジタルタコメーター、センターディスプレイ、フロントシートのバックレストに設置された2つの11.6インチディスプレイ、そしてデジタルリモコンのように機能する後席用タブレットだ。

また、快適な乗り心地を実現するために、フロントシートには最大19個のモーターが搭載されている。
このモーターは、シートを最適な位置に調整するだけでなく、振動や温熱を含む10種類のマッサージプログラムを提供する。
さらに、SクラスのシートはAGRシール(Aktion Gesunder Rücken – Campaign for Healthy Backs)を取得している。
リアシートは、新世代のメルセデスには5つのバリエーションが用意されている。
もちろん、これらにも豪華な個別シートが含まれており、今回はヘッドレストに加熱可能な追加クッションも用意されている。

マイバッハ: Sクラスのさらなるラグジュアリー
新型Sクラスの贅沢な快適性に飽き足らない方は、マイバッハバージョンをお選びください。
「マイバッハ」では、贅沢な時間を過ごすことができるようになっている。
追加料金のリストは馬の尻のように長く、騒音を低減するタイヤや、室内のノイズキャンセリングシステムといったものが用意されている。
リアでは、ふくらはぎのマッサージにより、さらにリラックスすることができる。
またマイバッハのオプションリストには様々な装備が数えきれないほど用意されており、上限や限界はないと思われるほどだ。

MBUX: W223用ポートレートディプレイ付き新型MBUX

Sクラスには第2世代のMBUXインフォテイメントシステムが採用されている。

新型Sクラスには、第2世代のインフォテイメントシステム「MBUX」が採用されている。
メルセデスは、ほとんどすべてのボタンとコントローラーを除去している。
トップバージョンでは、テスラのように最先端の有機EL技術を採用した12.8インチの中央ディスプレイですべてを制御できるようになっている。
ユーザーインターフェースは、さまざまなエリアに分かれている。
上部ではさまざまなプロファイルを選択でき、中央部には音楽、スマートフォンアプリへのアクセス、設定などの定番のインフォテインメントエリアがある。
下部4分の1にはクライメートコントロールが常設されている。
もちろん、新しいシステムには、改良されたデジタルスピードメーターも含まれている。
また、3D表示にも対応している。
アイトラッキングを利用して、ドライバーの見る角度を認識し、常に立体的に見えるようにディスプレイを調整している。

音声アシスタントもさらに進化している。
電話への応答など、一部の機能では「ヘイ、メルセデス」で起動する必要がなくなった。
また、車両機能の説明や救急箱の探し方、一般的な知識に関する質問にも答えてくれるようになっている。
後部座席からの操作も可能になり、学習機能も備えている。
同乗者を声で識別し、好みの設定をしたプロファイルを呼び出すことができるようになっている。
最大で7つのプロファイル、約800の設定が可能だ。
さらに、MBUXは、ドライバーのジェスチャーや動作に反応するようになり、例えば、ドライバーが降りようとしているときに、センサーシステムが後方から接近してくる自転車を検知すると、室内照明が赤く点滅するようになっている。

自律運転: 2021年の中頃から路上でレベル3

法的にはまだ認められていない: 理論的には、Sクラスが自律走行できるのは時速60kmまでとされている。

技術的には自律走行の話題が出てくるが、それは2021年半ばになってからのことになる。
というのも、法律上のハードルをすべてクリアして、運転に関する判断を車が引き継ぐことができるようになってからだからだ。
感覚的に必要な精度を実現するために、メルセデスはカメラ、レーダー、ライダーセンサーの3つのシステムを採用している。
さらに、センチメートル単位の精度を持つポジショニングシステムと新しいHDマップも搭載している。
これらのシステムにより、Sクラスはわずか1cmの許容範囲内で、自分の位置を正確に把握することができるようになっている。
ただし、当初は交通量の多い場所や渋滞の中で、時速60kmまでしか自律走行できない。
ドライバーがハンドルから手を離すこともできるが、その場合、常に10秒以内にハンドルを握る準備をしなければならない。
したがって、寝たり、運転席を離れたりすることはできない。
将来的には、Sクラスは自動運転だけでなく、駐車もできるようになる。
しかし、そのためには駐車場側にも適切な技術が備わっていなければならない(ドイツの空港などでは現在無人駐車システムの実験を行っている)。
乗客は全員、駐車場の前で降りると、クルマが勝手に駐車場に入っていき、勝手に駐車するというものだ。

※こちらの記事で、無人駐車システムの動画をチェック。

技術的ハイライト: Sクラス用新型ヘッドアップディスプレイ

AR(拡張現実)ヘッドアップディスプレイは、フロントガラス上にナビゲーションの指示を動的に重ね合わせる。

その他の技術的なハイライト:
オプションのデジタルライトヘッドライトは、3つのLEDスポットライトの光を片側130万個の光点に分割する。
希望すれば260万画素でSクラスをバーチャルにライトアップできる。
この新しいライトは、アシスタンスシステムとしても機能する。
例えば、暗闇の中で歩行者や自転車をスポットライトで可視化したり、車線表示がない場合に道路に投影したりすることができるようになっている。
これに加えて、新しいタイプのリアアクスルステアリングシステムは、市街地での状況ではリアが最大10度回転し、ロングホイールベースでは回転円が10.9メートルにまで短縮できるようになっている。
日本に導入されるモデルではリアの角度が限定されているが、本国ではより積極的に作動するようになっている。
また、オプションで、拡張現実を備えた非常に大きなヘッドアップディスプレイを搭載することもできる。
その表示領域は77インチのスクリーンに相当する。
約10メートルの距離で、ナビゲーション中にアニメーションのターンアロー(矢印)が道路上に仮想的に配置されるなどの効果がある。

結論:
疑いの余地はない。
新型メルセデスSクラスは、依然としてスターにふさわしい存在であり、そのスターを華やかにボンネットに纏っているといえるし、インフォテインメントの面では近い将来的に他のクラスのメルセデスでも利用可能となることを示している。
ラグジュアリーな面もおろそかにはなっていない。
そして右後方に座るのが好きな人は、「Sクラスマイバッハ」にした方がより満足できるだろう。

Text: Alexander Bernt, Katharina Berndt and Andreas Huber
Photo: Daimler AG