【チューニングカー】スポフェック ロールスの2ドアクーペ  レイス ブラックバッジを過激にチューンナップ

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ロールス・ロイス レイス ブラックバッジ “スポフェック オーバードース(Spofec Overdose)”。スポフェックのロールス・ロイス レイス ブラックバッジの激シブなカーボンワイドボディ。このロールス・ロイス レイスにとって、過小評価という言葉はあてはまらない。スポフェックは、このラグジュアリークーペに、超ワイドなボディキットを与え、「オーバードース」と命名した。

SPOFEC(スポフェック) はドイツのノビテック・グループのロールス・ロイス・チューナーで、 スポフェックとは、ロールス・ロイスのマスコット「Spirit of Ecstasy」を「SPOFEC」と略したブランド名だ。

チューニングに関しては、「なぜ?」とか「どうして」とか訊くのは野暮だ。

できることなら、なんでもやってみたいものだ。そしてそれを好む人も世の中には必ずいるはず。そんな思いからスポフェック社は「ロールス・ロイス レイス」に、デザイナーのヴィットリオ ストローゼック(Vittorio Strosek)氏とのコラボレーションによるカーボン製のワイドボディキットを装着した。717馬力のこのモデルは、「オーバードース(Overdose=過剰摂取または過剰投与)」と名付けられており、ロールス・ロイスのいつもの贅沢な抑制とは、もはやほとんど何も関係がない。

2メートルを超えるスポフェック・ロイスの幅

スポフェックの「オーバードース」は、レイスのブラックバッジをベースにしている。この特別仕様車は、ブラックのグリルやトリムパーツがボディから取り外されており、それだけでかなり意地の悪そうな印象を受ける。そしてスポフェックのカーボン製のワイドボディキットは、その印象を一段と強めている。新しいフェンダーは、クーペの幅をリアアクスルで13cm、フロントで7cm拡大し、レイスの最大幅は208cmとなっている。フロントとリアのエプロンはよりスポーティなデザインとなり、サイドシルにはリアブレーキ用の冷却エアダクトが設置されている。さらに、トランクリッド用のリアスポイラーリップもオプションで用意されている。

スポフェック ロールス・ロイス レイスは、リアの幅が13センチ拡大している。

140km/hまで40ミリのローダウン

スポフェックは、「ブラックバッジ」にふさわしく、9.5インチと10.5×22インチのブラック鍛造ホイールに265/35と295/30のタイヤを装着している。「レイス」の車高は、ローダウンモジュールによって40mm引き下げられているが、140km/hを超えると自動的に通常の車高に戻るようになっている。6.6リッターV12エンジンをチューナーがさらに点火、噴射、ブースト圧等を最適化し、632馬力、870Nmのトルクは717馬力、986Nmにまでチューンナップされている。その結果、0から100km/hまでの加速が4.5秒から4.2秒に短縮されている。
ヘビーな2.5トン弱という乾燥重量のため、最高速度は250km/hに制限されている。

生産台数はわずか3台

また、スポフェック社製のカスタマイズされたインテリアも用意されていて、オリジナルモデルにはない豪華さが備わっている。このクルマと友達になりたくない人はご心配なく。なぜなら、スポフェックは、世界で3台のみの販売を予定しているからだ。その価格は、要望に応じて明らかにされる。しかし、「レイス ブラックバッジ」のベース価格が約365,000ユーロ(約4,900万円)であることを考えると、1億円近くになることもありえるだろう。

ロールス・ロイスのインテリアでは物足りないというカスタマーのために、ここでもスポフェックはその要望に応える。

ロールス・ロイスをチューニングする、あるいはカスタマイズするというのは、やはり一般人には理解しがたい。今やロールス・ロイスは購入の時に、ありとあらゆる仕様を選び放題なのだから、そこで徹底的に選択して好みの新車を買えばいいのではないか、と思ったが、さすがのロールス・ロイスも「このオーダーはあんまりだ」と思った場合、断ることもあるのだという。ロールス・ロイス側としても自らのブランドイメージを著しく傷つけるような組み合わせだったとしたら、そりゃあ断るでしょうね、とも思うし、そういう風に「あんまりな組み合わせ」や「ロールス・ロイスにそぐわしくない依頼」の場合には、今回のようなチューナーが対処することになる……と、つまりはそういう世界なのだろう。
まあわれわれには縁のないお話であることは言うまでもないが、つくづく世界は広いなあと改めて思う次第だ。

以前、レポートしたジャスティン・ビーバーのロールスなど、その好例と言えよう。
ご興味のある方はこちらをどうぞ。

Text: Moritz Doka
加筆: 大林晃平
Photo: SPOFEC GmbH