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【クラッシックカーイベント見学記】「ブリティッシュ クラッシックカー ミーティング 2026(鶴舞公園)」

2026年10月9日

「ロッカー カバー カー レース」のレギュレーション

「神戸MGカークラブ」の主なレギュレーションは以下。
1)トーナメント方式とする。(タイムは関係なし)
2)2レース実施、(坂の角度の変更) 30度、 20度
3)国産車のロッカーカバーでもOK (MGにこだわらない)
4)タペット カバー(ロッカー カバー)の原型をとどめること。
5)車のホイールベースは、14インチ(35.5cm)以内とする。
6)車幅は、11インチ(28cm)以内とする。
7)車のホイールは、6インチ(15.3cm)以内とする。
8)車の前後のホイールは6インチ以内であれば 大小違ってもかまわない。
9)重量制限4kgまで。
10)ベアリングの使用禁止。
11)レースを行うスロープ(2車線)の長さは2.5m
(上端から0.5m地点がスタートライン)、幅は1車線あたり0.5〜1.0m。
12)スロープからゴールまでは4.5〜5.0m、ゴールラインの幅は2〜3m。
など。

ホイールベースの14インチ以内とホイールの6インチ以内は、米国の「New England MG T Register」と同じである。このレギュレーションの中で、「ベアリングの使用禁止」は、なかなか良い制約だと感じた。

実は私は、以前トヨタ自動車で新車の燃費開発を担当したことがあり、その経験から以下の様に考えた。

クルマがスロープを転がったあと、地面を滑走する時の惰行走行に効くのは、タイヤの転がり抵抗力(タイヤの転がり抵抗係数(タイヤの接地面積、タイヤの材質、タイヤサイズなどによる)×重量)と回転する左右のタイヤをつなぐシャフト軸の摺動抵抗力であり(空気抵抗力もゼロではないが低車速なのでここではゼロと仮定)、左右のタイヤをつなぐシャフト軸にベアリングを使うと、摺動抵抗力が大きく減り性能差が無くなってしまうために、禁止にしたのではないか?と。

おそらくこのレースを始めた、「神戸MGカークラブ」のMG TDのオーナーのNさんが最初の頃、手作りで「ロッカー カバー カー」を製作しながら、肝になる所が分かってきたので、あえて「ベアリングを使用禁止」にしたのでは、と私は勝手に考えた。

またクルマの重量は、スタート直後のスロープの上では、位置エネルギーを大きくする為には重い方が有利だが、地面での惰行走行の時は、逆にタイヤの転がり抵抗力が大きく不利になるので、最適なバランス点がありそうだ。それを探し出すのがこのレースの楽しみの一つで、とても奥が深いと感じた。

世界中のMGクラブで開催されている「ロッカー カバー カー レース」

その後の調査によると、「ロッカー カバー カー レース」の発祥は、1980年代から1990年代初頭にかけ、米国のクルマ好き(クラッシックカー クラブやホットロッド愛好家)がイベントの余興として、「不要になったエンジンのタペット カバー(ロッカー カバー)に車輪を付けて傾斜(スロープ)で転がす」という遊びを始めたのが起源とされており、今では、米国、カナダ、英国、オーストラリア、ニュージーランド、ヨーロッパ各国のMGオーナーズクラブに欠かせない名物イベントになっている。

通常のクラッシックカーのイベントは、展示やコンクールやレースなど、実車がメインになるケースが殆どであるが、今回の様に、クルマ本体ではなく「手作りのクルマのおもちゃ」で、オーナー同士が楽しめる遊びがあり、それが同じMGというクルマを愛する人々が、MGオーナーズクラブを通じて、世界中で楽しんでいること自体が正に文化だと感じた。今回、MGというクルマを通じてその文化に触れることができ、とても貴重な経験ができた。

その後トーナメント方式の「ロッカー カバー カー レース」が終わると、今度はMGの各オーナー同士の楽しいクルマ談義がクルマの近くで始まり、私もその輪の中に何時間も加わらせて頂いた。そして今回も数名のMGオーナー様と知り合いになることができ、私も環境の良い公園で沢山のクルマ談義を楽しませていただいた。誘って頂いたOさんご夫婦とMGのオーナー様、そしてMGのクルマ達と「ロッカー カバー カー」達に感謝したい。

「ロッカー カバー カー レース」が終わると今度は、実車の側でオーナー同士のクルマ談義が始まった。
ピカピカのクルマの前でもクルマ談義が続く。

フォトライブラリー:ブリティッシュ クラッシックカー ミーティング 2026

今回の参加車両の中で一番旧い1932年MG J2。
一番手前は1952年MG TD。
一番手前は1954年MG TF 1500。
一番手前は1980年MG Bコンバージョン。
一番手前は1974年MG BGT Mk.Ⅲ。
1978年MGミジェット1500。
1979年MGミジェット1500コンバージョン。
1997年MG F。
「ロッカー カバー カー レース」のスタート直前にクルマをセット。
「よーい」
「スタート」で2台のクルマが同時に走り出す。
ゴールを目指すが、やや左に曲がって進んで行く・・・
一番右は1972年ロータス ヨーロッパ スペシャル。
名古屋MGカークラブのフラッグとユニオンジャック。その後ろが鶴舞公園の噴水塔。

Text & Photo:有賀英雄

【筆者の紹介】
有賀英雄
1966年山梨県甲府市生まれ。小5の時スーパーカーブームを経験しトヨタ自動車に入社。主に実験部でレクサスLFAも含め新車開発を担当。退社後クラッシックカーイベントを中心に取材&執筆中。CCCJ準会員。愛車はGZG50センチュリー。