新型メルセデスSクラスのすべて 価格 エンジン インテリア テクニカルデータ サイズ 自律運転 受注開始 全詳報

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新型Sクラス正式発表 W223型メルセデスSクラスの最新情報と全スペックを漏れなくまとめてお届け

新型インフォテイメントと前提条件付き自律走行システムを搭載したメルセデスSクラス(W223)。我々は新着のすべての情報と価格を掲載する!

➤ 価格Price
➤ エンジンラインナップ
➤ サイズとデザイン
➤ インテリア
➤ MBUX(メルセデスベンツユーザーエクスペリエンス)
➤ 自律運転
➤ 技術的ハイライト

価格: Sクラスは10万ユーロ(約1,280万円)弱からスタート
メルセデスは、「W223」モデルの第7世代Sクラスを日本でも正式発表した。

https://www.mercedes-benz.co.jp/passengercars/mercedes-benz-cars/special/2020/s-class/saloon.html

それは、技術の面では、すべてに対して切り札が出てくる。
たとえば、新しいMBUXのインフォテインメントシステムでは、センターディスプレーは今、それは少しだけテスラのようだ。
残念ながらテスラは先日のマイナーチェンジで大きく形状変更してしまったが。
さらにSクラスには、後軸ステアリング、ワイヤレスアップデート、そして特定のルートでの、レベル3自律走行システム(法律で認められれば、2021年半ばから実用化可能)が搭載されている。
新型Sクラスは現在すでに注文可能で、価格は先代に比べて若干アップしている(日本でも注文可能)。
新型フラッグシップはショートホイールベースのエントリーモデルで96,985ユーロ(約1,240万円)からとなっている。

エンジンラインナップ: 2021年からプラグインハイブリッド導入

Sクラスの新しいリアエンド。ややEクラスなどに似てしまったものになっている。

新型Sクラスは、当初、改良された3リッター直列6気筒エンジンと9速オートマチックトランスミッションを搭載して提供される。
エンジンラインナップには、ディーゼルエンジンとハイブリッドシステムのガソリンエンジンがあり、両方とも2つの異なる出力レベルで提供される。
より強力なディーゼルモデルは、新型では先代に比べて10馬力少ない330馬力と700nmという最大トルクを変え備える一方、パワーの少ないディーゼルは286馬力と600nmという性能を持っている。
一方でガソリンモデルの性能は変わらない。
先代S450と同様に、新型S450は367馬力を発生し、EQブーストによりさらに22馬力を短時間発揮できるようになっており、最大トルクは500Nmとなる。
よりパワフルなS500ガソリンエンジンは435馬力と520Nmを発生し、ここでも22馬力のハイブリッドシステムによる追加パワーを短時間呼び起こすことができるようになっている。
暫定トップモデルのS580は、2021年7月から48ボルトシステムとスターター発電機を備えた電動V8モデルとなる。
航続距離100kmの電動化されたプラグインハイブリッドは、2021年中に追加される予定だ。
さらにパワーユニットに関してはまだほかにも次々に追加される予定がある。

エンジンラインナップ:
● S350d(4MATICはオプション):
直列6気筒ディーゼルエンジン; 排気量: 2,925cc; 最高出力: 286馬力; 最大トルク: 600Nm; 最高速度: 250km/h
● S400d 4MATIC:
直列6気筒ディーゼルエンジン; 排気量: 2,925cc; 最高出力: 330馬力; 最大トルク: 700Nm; 最高速度: 250km/h
● S450 4MATIC:
直列6気筒ガソリンエンジン; 排気量: 2,999cc; 最高出力: 367馬力+22馬力(電動); 最大トルク: 520Nm; 最高速度: 250km/h
● S500 4MATIC:
直列6気筒ガソリンエンジン; 排気量: 2,999cc; 最高出力: 435馬力+22馬力(電動); 最大トルク: 520Nm; 最高速度: 250km/h
● S580 4MATIC:
V8ガソリンエンジン。現時点で詳細は不明。

サイズ/デザイン: あらゆる方向に成長
寸法的には、Sクラスはほぼ全方向に成長している。
ホイールベースの短いベーシックバージョンは、全長が5.18メートルで5センチ以上伸び、全高はちょうど1センチ伸びて、セダンは1.50メートルになった。
1.95メートルと、車幅は6センチ近く広くなっていて、ホイールベースは7センチ以上追加されている。
3.11メートルというホイールベースからは、主にインテリアがスペース面でその恩恵を受けている。

サイズ:

ショートホイールベース(3.11m)
● 全長: 5.18m
● 全幅: 1.95m(ミラー全開時: 2.11m)
● 全高: 1.50m
● トランク容量: 540~550リットル

ロングホールベース(3.22 m)
● 全長: 5.29m
● 全幅: 1.95m(ミラー全開時: 2.11m)
● 全高: 1.50m
● トランク容量: 540~550リットル

新型Sクラスのフロントは、そのクロームトリムとフレームが先代よりもややスリムになった強大なラジエーターグリルによって支配されている。
アーモンド型のヘッドライトは先代モデルに比べて縮小され、新しいインテリアが採用され、トリプルアイリッドラインのライトシグネチャーとはお別れした。
大きなサーフェイスと彫刻的なドームがサイドラインを特徴づける一方で、リアセクションは現在、2つの部分からなる非常にフラットなライトと大型のクロームセンターバーによって支配されている。

インテリア: 最大19個のモーターを備えたフロントシート

新型インフォテインメントシステムのおかげで、27個のスイッチとボタンが削除され、すっきりとしたルックスとなった。

我々は実際に新型メルセデスSクラスのシートに座ってみた。
車内では、第2世代のMBUXの一環として、スムーズに統合された12.8インチの縦型スクリーンが目を惹く。
その12.8インチという数字は、今では大したことがないように聞こえるが、ダッシュボードの後ろにある12.3インチのデジタルスピードメーターと比較すると、中央のディスプレイの面積は約60%も増大している。
新型Sクラスは、合計で最大5つのスクリーンを装備することができる。
デジタルタコメーター、センターディスプレー、前席バックレストに11.6インチのディスプレイ2台、デジタルリモコンのように使える後席用タブレット1台の計5台を装備することができるようになっている。

乗り心地を可能な限り快適にするために、フロントシートには最大19個のモーターが装備されている。
これらのモーターは、シートを最適な位置に調整するだけでなく、10種類のマッサージプログラムも提供されている。
さらに、SクラスのシートはAGRシール(Aktion Gesunder Rücken – 健康な背中のためのキャンペーン)を取得している。
後部座席については、メルセデスは新世代で5つの異なるバリエーションを提供している。
もちろん、これらのシートには豪華なセパレートシートも含まれており、そのヘッドレストにはヒーター付きのクッションが追加されている。

MBUX: ポートレート表示付きの新システム

新型Sクラスには、第2世代の「MBUX」インフォテイメントシステムが採用されている。

新しいSクラスは、第2世代の「MBUXインフォテイメントシステム」を搭載している。
メルセデスは、ほとんどすべての操作をボタンとコントローラーなしで行う。
マイナーチェンジ前のテスラのように、直立している有機EL(Organic Light Emitting Diode=有機発光ダイオード)技術と12.8インチの中央ディスプレイを介して制御される。
ユーザーインターフェイスは、さまざまなエリアに分かれている。
上部ではさまざまなプロファイルを選択でき、中央には音楽やスマートフォンアプリへのアクセス、設定などの古典的なインフォテインメントエリアがある。
下部には、恒久的に表示されるクライメートコントロールがある。

さらにヘッドアップディスプレイも大きく改良され、ナビゲーションシステムと連動するとともに、アイトラッキングを活用して、ドライバーの視野角を認識し、常に立体的に見えるようにディスプレイを調整する。

さらにボイス(音声)アシスタントも強化された。
電話への応答など、特定の機能については、「Hey Mercedes」を介して起動する必要がなくなった。
また、車両の機能を説明したり、救急箱を探す際の手助けをしたり、一般的な知識に関する質問に答えたりすることもできる。
さらに、「MBUX」システムはドライバーのジェスチャーや動きに反応して、例えば、ドライバーが降りようとしたとき、後ろから近づいてくるサイクリストをセンサーシステムが検知した場合などには、車内照明が赤く点滅するようになっている。

自律走行: 2021年半ばから道路上でレベル3

法的にはまだ認められていないが、理論的にはSクラスは時速60km/hまでの速度で自律走行が可能だ。

技術的には自律走行に焦点を当てることになるが、運転に関連した判断を車が引き継ぎ、自動運転システムが正式に作動するようになるには、早くとも法的なハードルがすべて克服されると予想される2021年半ばまでは無理だろう。
このシステムを正確に作動させるために、メルセデスは3つの補完システムに頼っている。
それはカメラ、レーダー、ライダーセンサーだ。
さらに、センチメートルの精度と新しいHDマップ(自動走行用高精度3次元地図)を備えた測位システムがある。
これにより、Sクラスはわずか1センチメートルの許容範囲内のどこにあるかを正確に知ることができるようになっている。
しかし、この車が自律走行できるのは、当面、時速60km/h以下で、交通量の多い道路や渋滞中に限られている。
その際、ドライバーはハンドルから手を離すこともできるが、10秒以内には常にハンドルを握る準備ができていなければならない。
そのため、当たり前ではあるが、寝ることや運転席から離れることはできない。
しかし将来的には、Sクラスは自律走行だけでなく、自律駐車もできるようになる。
ただし、そのためには駐車場にも適切な技術が備わってなければならない。
自律駐車は、乗客全員が駐車場の前に降りて、車が自ら運転して駐車場に入り、正しい位置に駐車するというものだ。
このシステムは現在ドイツの空港で試験中である。

※【動画付き】 実証実験! 新型メルセデスSクラスのレベル4自動パーキングアシスタントシステム

技術的ハイライト: 新型ヘッドアップディスプレイ

拡張現実感を備えた非常に大きなヘッドアップディスプレイ。その表示領域は77インチの画面に相当する。たとえば、約10メートルの距離では、ナビゲーション中にアニメーション化された方向転換矢印が道路上に仮想的に配置される。

いよいよ日本でもデリバリー開始が秒読み状態となった新型Sクラス。今までの情報を見ると、今までにも増して、様々な電子デバイス満載の快適快速Sクラス超特急なようである。
もう今まででも十分以上に装備満載なのに、これ以上いったい何を追加したらいいのか、とエンジニアたちも苦心惨憺した感じもするが、とにかく考えられる、ありとあらゆる装備がそろい踏みとなった。
あとは自動車としてのハードウェア面の完成度だが、従来までのモデルでも十分に完成されていたといえるし、そこからさらにブラッシュアップすることも大変なことなのであろうという点も偲ばれる。
とにもかくにも、メルセデスベンツの中のSクラスという最上級モデルなのだから、悪かったら大問題、良くて当たり前、というプレッシャーの中、さらなる高みをもとめて開発を続けるエンジニアたちには頭のさがる思いである。

Text: Alexander Bernt and Katharina Berndt
加筆: 大林晃平
Photo: Daimler AG