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【第45回JAIA試乗会】VWタイプⅡのレトロデザインを採用したEVミニバン「VW ID.Buzz」に試乗!

2026年2月16日

初登場から四半世紀の時を経てVWタイプⅡのレトロデザインを採用したVW ID.Buzzがついに日本上陸を果たした。

1938年にフォルクスワーゲンが初めて生産を開始したタイプⅠは、ビートルと言う名称で親しまれ、世界的なベストセラーとなり、1998年にタイプⅠのレトロデザインを採用した現代版タイプⅠ、ニュー・ビートルが発売され、再び大ヒットとなった。

そしてVWタイプⅡもワーゲンバスと言う名称で世界的に親しまれた。こちらもレトロデザインを採用したマイクロバスコンセプトと言う名称で、現代版タイプⅡとして初登場したのが2001年のデトロイドショーである。今から約四半世紀前の話であるが、当時、同年の東京モーターショーで、このマイクロバスコンセプトの実車を見た時にワクワクした気持ちが今でも記憶に残っている。こちらもニュー・ビートル同様、正式デビューすると思われたが、残念ながらそれっきりとなった。

それから10年が経った2011年に、再びBEVとしてニューブリと言う名称でジュネーブショーのコンセプトモデルとして発表され、こちらもまた、同年、東京モーターショーで実車を見ることができた。今度こそは正式デビューすると思われたが、またここでもそれっきりとなった。再び2017年にジュネーブショーにID.Buzzの名で登場するが、この時多くの関係者は今更販売するとは思っていなかった。

2019年に現代版タイプⅠのザ・ビートルも生産が終了する。そして2022年に突然、本国で市販型のID.Buzzが発表され、初登場から四半世紀の時を経て、2025年に、ついに日本導入されることになったのだ。

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車両重量が約3トンもあるが、モーター駆動によりスムーズな加速でストレスは感じない

今回、フォルクスワーゲンジャパンは3台のID.Buzzを会場に持ち込んだ。試乗したモデルはキャンディホワイト/スターライトブルーメタリックの1台で、ツートンカラーがワーゲンバスの面影もあり、お洒落である。

今年のJAIA試乗会には、3台のID.Buzzが試乗車として準備されていた。

ID.Buzzの本国ドイツでのラインナップは、ベーシックモデルのフリースタイル、その上のグレードのピュア、よりパワーと航続可能距離を延ばしたプロと商業車モデルのカーゴ、スポーティーにチューニングされたGTXと多くのモデルが揃えられているが、今回日本に導入されたのは上級モデルのプロのみである。

このプロには、5人乗りの通常モデルと7人乗りのロングホイールベースと2種類のボディ形状が準備され、今回アウトビルドジャパン編集部にはプロ ロングホイールベースが試乗車として割り当てられた。ボディサイズは全長4,965mm、全幅1,985mm、全高1,925mm、ホイールベースが3,240mmと、通常モデルよりホイールベースが250mm長くなることで、全長も250mm長くなる。

試乗したモデルはキャンディホワイト/スターライトブルーメタリックのツートンカラーがワーゲンバスの面影もあり、お洒落である。

ID.Buzzは、リアモーター、リア駆動のRRである。モーターパワーは210kW(286PS)を発生する。車重は2,720kgと非常に重いが、モーター駆動だけあって、低速からの十分なトルクにより、約3トンある大きなボディを感じさせることなく、乗用車感覚にスムーズな加速でストレス無く走りだすことができる。

走り出してふと思ったことは、このシートポジションと運転感覚といい、その昔に試乗した、VWシャランやメルセデスベンツVクラス等の欧州ミニバンを思い出す。

かつて、日本に輸入されていた欧州ミニバンは、商用車ベースということもありエンジンのパワー不足を感じるモデルが多く、セダン、ワゴンとは明らかに運転フィーリングが違っていたが、このEVミニバンとなったID.Buzzは、パワー不足を一切感じることなかった。

直進性が高く、ふわふわしないビシッとした乗り心地はフォルクスワーゲンならでは。

市街地ではアクセルオンに素早く立ち上がるトルクにより運転しやすく、ストップアンドゴーを強いられる場面でも、BEVであることを意識させる回生ブレーキ制動による違和感はなく、好感を持ってスムーズな運転をすることができた。西湘バイパスのようなゆっくりと流れに乗って走るような場面では、極めて静かに走り、低重心化がもたらす安定した走りはBEVならでは。道路の段差を越える時も不快な突き上げ間のないサスペンションもうまくチューニングされており、3トンという超重量級であることは感じられない。フル乗車したらどうなるのか気になるところだ。

しかし、ブレーキングには注意が必要だ。普段乗っている中型ステーションワゴンの感覚でブレーキを踏むんだらヒヤッとする場面があった。慣れてしまえば問題ないのだが、重量級のID.Buzzは想像以上に制動距離が必要なのだ。重量級ミニバンであることを再認識させられる。後ほどカタログを見ると、フロントブレーキはベンチレーテッドディスクが採用されているが、リアブレーキはドラムブレーキが採用されていることに驚く。恐らく商用車モデルのカーゴも含め、ブレーキ部品の共有等、いろいろな理由があると思われが、少なくとも上級グレードモデルのブレーキ、特にリアブレーキは改善して欲しいところだ。

ホイールベース3,240mmが生み出す国産ミニバンとは別格な広大な室内スペース

運転席に座ると、フロンウインドは広く見晴らしはいいが、ダッシュボードの奥行が非常にあり、フロンウインドが非常に遠く、Aピラーの三角窓は視界確保のため、ガラスが入り、ピラー構造事態も細く、エンジニアの苦労が見えるが、右折、左折時は決して見切がいいとは言えない。

室内空間については、EVミニバンはレイアウト的に有利なこともあり広く、ロングホイールベースであることが相まって非常に広い。ID.Buzzのホイールベースはなんと3,240mm!アルファードのホイールベースが3,000mmだからその長さは明らかだ。床下に低く平らに置かれたバッテリーレイアウトにより、室内高も十分で、明るく広大な室内空間を感じられる。

運転席、助手席共に1列目は、VWらしいしっかりとして座り心地の良いシートは好感が持てるが、2列目シートは国産高級ミニバンのような高級リムジンシートと比較すると高級感に欠け、上位グレードに位置するプロでも、ごく平凡な3人掛けベンチシートなため、残念に思う人がいるだろう。3列目シートは2列目同等の3人掛けシートが搭載され、大人が十分余裕を持って座ることができるサイズと空間があるので、長距離ドライブでも問題無さそうだ。一方で3列目シートを畳んで、ラゲッジスペースとして使用する場合、背もたれが倒れるのみで、国産ミニバンのようなシートアレンジに工夫が無いことから、広大な室内に対してラゲッジスペースが十分に確保されないことが残念である。このロングホイールモデルは、まさにバスとして常時3列目をシートとして使用することが前提ということか。

操作パネルは12.9インチの大型タッチスクリーンを採用、ドライバーインフォメーションディスプレイトもシンプルで見やすい。座り心地がよくしっかりとした感じがするシートが欧州車らしい。
二列目シートは身長170cmの人が座っても、膝回りのスペースが十分に確保され、頭上空間も広い。(175cmのドライバーのシートポジション)
三列目シートもロングドライブでも全く問題にならないほどのスペースが確保されている。
三列目シートを折りたたんだ状態。VWのロゴの付いた箱には充電用のケーブル等が収まっていた。

【アップデート情報】「VW ID.Buzz」に関する全ての情報!全長5m未満、最大7人乗りのVWのアイドル的モデルの走行テスト&最新情報:https://autobild.jp/60946/

非常に頑張った価格設定だが

ドイツ本国ではプロが61,077ユーロ(日本円で約1,099万円)から発売されているが、日本での発売価格は888.9万円からと聞くと、為替影響があるにも関わらず、フォルクスワーゲンジャパンは、非常に頑張った価格設定で日本導入していることがうかがえ、ID.Buzzにかける意気込みが十分に伝わってくる。

日本では、ベルファイヤー、アルファード、エルグランドなどのミニバン人気は圧倒的で、この市場にID.Buzzは食い込むべく、プロといった上級グレードを導入したのだろうが、今回試乗したロングホイールベールの値段は997.9万円からで、国産ミニバンよりおおよそ2割ほど割高となり、苦戦を強いられるであろうことは明らかだ。さらに、日本では抵抗感が見られるBEVであることを考えると、なかなか販売台数が伸びないのではないかと思われる。

様々な事情はあれど、むしろ、キャンピングカー、キッチンカー用途等を考慮して本国で販売されているカーゴと呼ばれる商用モデルを低価格で導入した方が、キャラクター性の強いID.Buzzは日本に受け入れられるのではないだろうか。

Text : 池淵 宏
Photo:アウトビルトジャパン、池淵 宏