【面白ネタ】15人のエディターが選ぶ彼らが史上もっとも美しいと思う1台
2021年1月19日
AUTO BILDトップリスト: 人それぞれに好みや視点は異なる 個人的チョイス 史上最も美しいクルマ×15台
アバタもエクボ?それとも、蓼(たで)食う虫も好き好き?人にはそれぞれ好みがあるし、美しさの基準は人それぞれに異なる。したがって、「え、なんで?」と言いたくなるようなクルマや、「受け狙いか?」というようなモデルを選んだエディターもいる。この15台はあくまでも彼ら個人が、それぞれの観点から選んだ「史上最も美しい車」ということで、楽しんでほしい。それではその15台を紹介しよう。
“Beauty is in the eye of the beholder”とは英語の諺で、「美しさは見る人の目に寄って異なる」、つまり「蓼食う虫も好き好き」という意味で、これは万国共通のようだ。つまり好みが分かれるのが美点だと言うことだ。これはAUTO BILD編集部の記者たちにも当てはまる。同僚のほとんど全員が、それぞれのメーカーやモデルの好みを持っている。ある者はイギリスの12気筒に憧れ、またある者は日本のスポーツカーに目を奪われ、そしてある者はフランスの宝石をいじることに明け暮れる。したがって、史上最も美しい車は何か、という問いに、意見が分かれるのは自然なことだと言える。
例えば、アルファロメオ8Cコンペティツィオーネは、すべてのラインと曲線に意味のある彫刻だと絶賛される一方、メルセデスAMG GTは「スポーツカーの最高峰へのオマージュ」だと信奉されている。また、ある同僚は、メルセデスC111の「ドラマチックな美しさ」を、洗練されたオリジナルバージョンで強調している。しかし、その一方で、非常にシンプルモデルを称える者もいて、古き良き「VWビートル」を史上最も美しい車のひとつに数える。その理由は?それは、この小さなVWが単純に「何でも運べて、どんな色でも似合う」からだと主張する。以下、Auto Bild(&Auto Bild Japan)のエディター(編集記者)たちが選んだ最も美しい車を、フォトギャラリーとともにご覧ください。
モリッツ ドカ(Moritz Doka)記者にとって、アルファロメオ8Cコンペティツィオーネは完璧に造形された彫刻だ。彼は8Cコンペティツィオーネについて次のように絶賛している。「このクルマは彫刻です。どの角度から見ても、アルファロメオ8Cは純粋に調和しています。すべてのライン、すべてのカーブがそれぞれの場所にあり、どれもが過剰なものではありません。マセラティ製のV8を採用したにもかかわらず、8Cが史上最速の1台になることはなかったという事実は問題ではありません。なぜなら、8Cはクルマ以上のものであり、アートだからです」。
デニス ペターマン(Dennis Petermann)記者は「AUTO BILDトップリスト」に次のようなコメントを寄せた。「1965年式のビュイック リビエラは、アメリカの良き時代のマッスルカーです。クーペ、V8、快適で、大きくて、手ごろな価格。すべてのシートメタル(板金)の折り目からクールさが光っている。もしこの車からオイルが漏れたとしても、それさえも笑顔で受け止められる。それがクールということだ。」
ジュリアン ラーベ(Julian Rabe)記者はジャガーFタイプを称賛する。「多くの人にとって、由緒あるEタイプは史上最も美しい車です。しかし、私は違う。私はモダンな車のデザインが好きなので、初代ジャガーFタイプが私の一番のお気に入りです。初めてその前に立ったとき、息を呑んだ。今でも道端で「獲物の猫」を見つけては感動しています。特にダブルエキゾーストのクーペとしては、まさに夢のスポーツカー。それに加えてそのサウンド、まさにこれは愛に違いない。」
Photo: Sandra Beckefeldt / AUTO BILD
クリスチャン ジェイス(Christian Jeß)記者の夢の車はフランスの小さな車だ。「人々は(完全に不当とは言えないが)私をクレイジーと呼ぶだろうが、私の夢の車はプジョー205(1983年から1996年まで)だったし、今もそれは変わらない。何よりもそのスリムなお尻に私は魅了された。私が最初に購入した車がプジョー205タルボ・サンバで、毎日乗っているだけで幸せな気分になったものです。今でも街中で205を見つけると、私の心臓の鼓動は急速に高まります。」
ポルシェファンのマティアス テッコー(Matthias Techau)記者は911のFモデルクーペ(1963~1973年)を正面から、側面から、そして後面から眺めながら語る。「時代を超越した、目的意識の高い、その頂点に立つ美しさ! オリジナル911の飾り気のないシルエットが、スピードを形にしています。サイドラインがリアに向かって傾斜した基本的な形状は、今日に至るまでわずかに変化しているだけです。ポルシェはこれをフライライン(Flyline)と呼んでいます。私は「完璧な呼称、つまり表現だ」と言っています。」
カタリーナ ベルント(Katharina Berndt)記者のお気に入りはメルセデスだ。「2014年にAMGがGTを発表したとき、私は衝撃を受けました。長いボンネットと流れるようなクーペの形をしたこのクルマは、私にとってスポーツカーへのオマージュであると同時に、そのデザインは時代を超越していると感じたのです。つまり、この車は6年経った今でも美しいです。完璧なバリエーションはGT Cです。スポイラーがないのは、私にとっては全体的な芸術作品として未完成なのですが、超高性能な557馬力を備えたGT Cはまさに完璧な1台です。
マティアス ブリュッゲ(Matthias Brügge)記者も星のついた車を溺愛する。
「私の絶対的な夢の車は、オリジナルバージョンのメルセデスC111です。スリムなシルエット、ガルウィングドア、折り畳み式ヘッドライト、ドラマチックな美しさ! 子供の頃からこの車に夢中でした。デザインを描いたのはかのブルーノ サッコ。まあ、ヴァンケルエンジン(ロータリーエンジン)のアイデアは最高とは言えませんでしたが、この車の魅力を損なうことはありませんでした。」
ラース ハンシュ‐ペターセン(Lars Hänsch-Petersen)記者のチョイスは他の記者とは全く異なる。彼が美しいと思うは、シンプルな、古き良き「VWビートル」だ。
「なぜかと言えば、この小さなVWは何でも運べて、どんな色でも似合うからです。最悪のチューニングやサビでさえも、そのイメージを変えることはできません。それどころか、最も派手な色調でも、ビートルは非常に見事に着こなすことができます。」
ヤン ゲッツェ(Jan Götze)記者のハートは猛牛によって捉えられている。
「2021年、ランボルギーニ ムルシエラゴは20歳を迎えます。リュック ドンカーヴォルケ(Luc Donckerwolke)のデザインは傑作です。それと同時に、アグレッシブなスタイルの後継モデルであるアヴェンタドールよりも時代を超越していると感じます。特に2006年から製造されたムルシエラゴLP640は、今日でもモダンに見えます。V12(最初は6.2リッター、後に6.5リッター)、全輪駆動、そして必要に応じて、オープンシフトゲート付きの6速マニュアルも追加しています。あなたはそれ以上のものを得ることはできません!」
ブリ愛好家のアンドレアス フーバー(Andreas Huber)記者が夢見るベリースペシャルなT3。
「ブリに乗ってビーチに行く? 素晴らしい! 高速道路をブリで走る? 意外に快適なんだよ! B32がそれを変えたのです。たったの15台しか作られなかったけど、ポルシェの6気筒エンジン(231馬力)をリアに搭載したこのT3は、最高速度185km/hに達し、6人を乗せることができます。フックス(Fuchs)製ホイールとスポーツサスペンションを除けば、「パワーブリ」はオリジナルデザインのままで、T3シリーズが好きな人は、きっとB32が好きになるはずです!」
ペター フィッシャー(Peter Fischer)記者がミュンヘンに美を見出す。
「ここでは、現在のBMWのデザインについては触れません。だからこそ、BMWがこれまでに作った中でおそらく最も美しい5シリーズであるE39に注目したいのです。特に400馬力のM5として、徹底的にスタイリッシュで威厳のある車です。単純に美しい!」
アウディがレナ トラウテルマン(Lena Trautermann)記者の目を輝かせる。
「私にとって、2012年に登場したA3セダンは、これまでで最も美しい車です。ノッチバックのエレガンスとコンパクトな長所が見事に融合しています。2012年A3のデザインは、私の意見では、その後のすべてのデザインを凌駕しています。」
ミヒャエル ヴォース(Michael Voß)記者は考える。
「小さなディテールで大きな効果を発揮します。現行ミニの「ユニオンジャック」を模ったテールライトは、デザイン的にも大成功だと思います。同時に、このようなアクセサリーを装着できるモデルはほとんど残っていないため、模倣品にも劣らない。あなたの遺伝子を排除することに成功させたパパ、「BMW」に感謝します。そして、それは英国車の歴史に新たな章をもたらしたのです。」
ラルフ コプナー(Ralf Kopner)記者は曲線を愛してやまない。
「デザインに関しては、ポルシェ911とジャガーEタイプの2台が特に好きです。同僚のテッコー(Techau)記者が、すでにこのフォトギャラリーの中でツッフェンハウゼンの車を称えています(前掲ポルシェ911)ので、私はイギリスの車を礼讃したいと思います。島国からの「猫=ジャガー」は、あなたにそれをいつまでもいつまでも撫でてみたいと思わせます。これらの曲線、これらのプロポーション、これらのディテール。ああ、ジャガーは自動車の芸術作品です!」
Auto Bild Japan田仏 呑記者の自動車史上もっとも美しいと思う車はアルファロメオ ティーポ33/2ストラダーレだ。
「理由は単純明快で、飛行機好き、レーシングカー好きの私には一番刺さる1台だからです。そのフォルムと言い、プロポーションと言い、まるでサーキットでストレートを疾走した後に大空へ舞い上がってしまいそうなクルマ? 今ではあまり使われなくなった「流線形」を身にまとったデザインを有するスポーツカー、それがアルファ33です。そしてそのデザインを手掛けたのがフランコ スカリオーネ。彼はアテネオ大学工学部航空機学科で学んでいましたが、戦争のために自分の夢を諦めざるを得ませんでした。そんな飛行機少年であったスカリオーネがデザインしたクルマですから、飛行機っぽくて、カッコよくないわけがありません。ちなみに彼はアルファロメオ ジュリエッタ スプリントやランボルギーニの最初の1台、350GTVもデザインしています。蛇足ながら、スカリオーネ、ガンディー二、ジウジアーロなど、数多の不世出なデザインアーチストを輩出したイタリアの「ベルトーネ」は、私のもっとも敬愛するカロッツェリアでもあります。」
こちらのアルファ33の記事も併せてお楽しみください。
Auto Bild Japan大林晃平記者の選んだ自動車史上もっとも美しい車はランチア テーマ(初期モデル V6 紺色)だ。
「世界で一番美しい車、という質問を受けた時に、僕の頭に一番に浮かぶ車はランチア テーマである。セダンデザインの黄金比ともいえるボディは、言うまでもなくジョルジェット ジウジアーロの名作で、どこもいじることのできない完ぺきなバランスを持ち、エレガントでノーブルな美しさを持っている。
テーマといっても決して8.32ではなく、初期のV6モデルで紺色、内装も絶妙にお洒落な生地のファブリックシートのモデルが一番で、ウインカーデザインなどが改悪されてしまった後期モデルではない。このテーマの前では、今の世の中に君臨する多くの4ドアセダンなど、作るのに失敗してしまった目玉焼きみたいに見えてしまうのである。」
※こちらのランチア テーマのストーリーも併せてお楽しみください。
Text: Lars Hänsch-Petersen
Photo: Roman Raetzke