1. ホーム
  2. SUV
  3. 【新車情報】VWトゥアレグ eハイブリッド トゥアレグRのエンジン搭載 その実力は?

【新車情報】VWトゥアレグ eハイブリッド トゥアレグRのエンジン搭載 その実力は?

2020年10月18日

VWトゥアレグ eハイブリッド(2020): テスト、価格、ハイブリッド

新型VWトゥアレグ eハイブリッドが、トゥアレグRを不要なものにする?
新型トゥアレグ eハイブリッドでは、VWはトゥアレグRからのパワーユニットを搭載しているが、システム性能をじゃっかん落としている。つまり性能よりも健全性を重視しているようだ。そのドライビングレポートをお届けする。

市場投入から2年、トゥアレグがプラグインハイブリッドとして登場する。
愛好家なら、トゥアレグがすでに中国にハイブリッドとして存在していることを知っているだろう。
しかしそのモデルのボンネットの下の燃焼エンジンは4気筒だ。
今回登場したeハイブリッドと呼ばれる欧州モデルには、340馬力のツインターボV6ガソリンエンジンに、136馬力の電動モーターが搭載される。
このエンジンは462馬力のトップモデル、トゥアレグRに搭載されているものだが、eハイブリッドでは、システム最高出力が381馬力に抑えられている。
これは、走行性能よりも、リラックス感や堅実さを重視することを目指しているからだ。

快適性を追求した小径ホイール

そのドライビングは?
一言で言えば、リラックスしている。
キャビン内は非常によく隔絶されていて、制限速度の時速120キロを超えたところでしか、大きなドライビングノイズは耳に届かない。
内燃機関と電動モーターは、トゥアレグ同様、ほとんど気づかないうちに相互に作用、稼働している。
乗客は、回転カウンターを見ることによってのみ、V6のオンとオフに気付く。
電動モーターは、パワーが呼び出されたときに燃焼エンジンとトランスミッションのメモリアルセカンドを隠すのに十分なパワーを発揮し、非常に優れたドライビング体験を与えてくれる。
VW によれば、フル電動での航続距離は 47kmだという。

デジタルコックピット(12インチ)と大型インフォテインメント(15インチ)はeハイブリッドシリーズに含まれている。

eハイブリッドのステアリングとサスペンションは、Rから再チューニングされており、これは22インチホイールではなく19インチホイールを採用したとも大きな違いである。
シャシーとステアリングのチューニングは同じだ。
これはトランスミッションにも当てはまる。
したがって、残念ながら、批判点はRと同じだ。
8速オートマチックはキックダウン時にギアが強く入りすぎてしまうし、スポーツモードでは、ギアを保持することでドライバーを不必要に緊張させる。
ここでも、Rよりもeハイブリッドの性格に合った、エコモードとコンフォートモードをお勧めする。

VWトゥアレグRのテスト記事はこちらをどうぞ。

トゥアレグはけん引車としても人気がある。Eハイブリッドは3.5トンの荷物を運ぶことができる。

性能値の低下は問題ではない

Rとeハイブリッドの走行値は非常に似ている。
どちらも最高速度は250km/hで、0から100km/hまでのスプリントは、Rの5.1秒に対してeハイブリッドは5.9秒かかるが、パワーとレスポンスに関してはどちらも同じレベルの楽な走りを提供してくれる。
81馬力というパワーの減少は、フル加速時にのみ顕著に現れる。
それ以外では、パフォーマンスの低下はまったく問題ない。
トゥアレグRのドライブと同じくらい調和がとれているが、ハイブリッドドライブトレインは、より強固なデザインにフィットし、eハイブリッドをより丸みを帯びたパッケージにしている。
Rのかなりスポーティなルックスと、その高価格が苦手な人は、このeハイブリッドを選ぶべきだろう。
なぜなら、その方がお金も節約できるからだ。
eハイブリッドの価格は、60,797ユーロ(約759万円)からとなっており、Rよりも12,000(約150万円)ユーロ安い。
トゥアレグハイブリッドの欧州での販売は、2020年10月1日から開始されている。

ハイブリッドドライブトレインは、より強力なRバージョンよりもeハイブリッドに適している。

テクニカルデータ: VWトゥアレグ eハイブリッド
● エンジン: V6ツインターボ+電動モーター ● システム最高出力: 280kW(381PS) ● 最大トルク: 600Nm ● 駆動方式: 全輪駆動、8速AT ● 最高速度: 250km/h ● 0-100km/h加速: 5.9秒 ● 燃費: 37km/ℓ ● 電動航続距離: 7km ● トランク容量: 610リットル ● 総積載量: 3.5トン ● 価格: 60,797ユーロ(約759万円)より ● 市場ローンチ: 2020年10月

まったくヨーロッパのメーカーのハイブリッドシステム追加計画は、日に日に展開するので追い付いていく方が大変だが、それはひとえにもうじき始まる燃費規制が原因で、おそらくどのメーカーもテンテコマイな状況なのだろうと思う。

ひとえにハイブリッドシステムと言っても、まじめに?燃費を改善するための車種もあれば、こんなシステムで効果的なのか怪しいような、「なんちゃってハイブリッドシステム」のようなものもあるし、今回のトゥアレグのように、燃費と効率を追求しながらパワーも向上させようとするモデルもある。
今回のレポートでは、トゥアレグRが不要になるかも、といった、かなり誉め言葉も見られるが、実際にはまだまだトゥアレグRとトゥアレグeハイブリッドには、それぞれのテリトリーも、お互いが越えられない壁があることも確かだろう。
VWゴルフで言えば、これはつまりGTIとGTEの関係ともいえるのだろうが、いずれはひとつのモデルに統一されるとしても、現時点ではまだまだ両方とも併売して、お好きな方をどうぞ、という展開なのだろう。
作る側のフォルクスワーゲンにとっては大変な労力であるだろうし、ちゃんと煮詰める開発時間があるのかどうか、やや心配ではあるが、まだしばらくは今のように様々なモデルを自由に選べる時代が続きそうだし、自分がどんなモデルを欲しているのか考えながら選べる自由があることは楽しむべきだと思う。

Text: Moritz Doka
加筆:大林晃平
Photo: Volkswagen AG