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同一パーツ戦略 ランボ、アストン、マクラーレン、その他のヘッドライトやテールライト物語

2020年8月25日

あの車のあそこと、あそこが共通パーツだったなんて??ランボルギーニからアストンまで。これらの車は他のクルマのヘッドライトを流用している。ランボルギーニ ディアブ」とアストンマーティンDB7の共通点とは?どちらも普通の量産車のライトを使用しているが、それだけではない!そんな興味深い例を紹介する。

ヘッドライトは車の目だ。車に表情や顔を与え、それぞれのモデルを個性的なものにしてくれる。少なくともあなたはそう思うだろう。実際、かなりの数のメーカーやモデルが、他のブランドからランプを借りている。これには簡単な理由がある。フロントとリアのランプの開発には莫大な費用がかかり、特に小規模なシリーズ生産モデルのメーカーにとっては困難なことが多い。しかし、販売台数の多いブランドでも、同一部品を使用することでコストを削減することができる。自社で開発するよりも、他のブランドや自社グループの既存の部品を使用した方が、単純にコストが安くなる。ヘッドライトやテールライトのような人目を惹く部品では、このような結果になることもあれば、本当に驚くような結果になることもある。

V8スポーツカーにVWパサートのライト

例えば、ランボルギーニ ディアブロがフェイスリフト後に、日産300ZXのヘッドライトを装着していたことを知っているだろうか?また、VWパサートB5セダンのリアライトは、フォードV8を搭載した英国の高級スポーツカーにも装着されていたことをご存知だろうか?

以下に、他のブランドのライトを使っているモデルの例を挙げてみた。
トップバッターはランボルギーニ ディアブロだ。

Photo: Silverstone Auctions
Photo: autobild.de

1999年のフェイスリフト後、カルト的な存在であったリトラクティブヘッドライトは、固定式ヘッドライトに移行した。イタリア製のV12の悪魔のようなヘッドライトは、日本製スポーツカーの熱烈なファンにはお馴染みだ。これは第2世代の日産300ZX Z32に搭載されていたもので、オプションで全輪ステアリングを装備したスポーツカーだ。ヘッドランプの日産ロゴは、ランボルギーニの2つの目立たないカーボントリムパネルで隠されている。

Photo: Silverstone Auctions
Photo: Peter Fischer / Auto Bild
Photo: Uli Sonntag

また、ディアブロのリアライトもランボルギーニのオリジナルではない。これらは、伝説のマクラーレンF1、アメリカのサリーンS7(ここではディアブロにも使用されていたものを少し改良したもの)、初代パガーニ ゾンタ、そして様々なトラクター、トラック、バスにも使用されていたユニバーサルライトだ。

Photo: Uli Sonntag
Photo: Werk
Photo: Ronald Sassen

このリストの特別な候補は、イタリアの小生産メーカー、フォルナサリ(Fornasari)の興味深いSUV、R99だ。それは、ディーゼルエンジンを搭載したものと、最大7リッターの容量を持つ様々なV8ガソリンエンジンを搭載したものの両方が用意されていた。デザインには慣れが必要だ。それは、リアライトがランボルギーニ ムルシエラゴのフェイスリフトモデルから流用されたもので、フロントヘッドライトは2005年のアストンマーティン ヴァンテージからのものだからだ。

Photo: Werk
Photo: Theo Klein / Autobild
Photo: Christian Bittmann / AUTO BILD

しかし、アストンはライトユニットを貸与しただけでなく、一部のモデルには他から借用もしていた。イギリス車は90年代のアウディ200 C3からヴィラージュのフロントライトを借りていたし、テールライトもドイツが起源のもので、元々は2代目のVWシロッコに搭載されていたものだ。

Photo: Werk
Christian Bittmann / AUTO BILD

北の島国からのもう一つの例はモーガンだ。小さな工場で仕立て上げられたエアロ8と呼ばれるクーペは、フェイスリフトの前はVWニュービートルのヘッドライトを搭載していた。フェイスリフト(写真)の後、4.8リッターV8だけでなく、フロントヘッドライトもBMWグループから来た。それらは2000年から2006年までに製造されたニューミニからのものだ。

Photo: Uli Sonntag
Photo: Christian Bittmann

フロントヘッドライトだけでなく、エアロ8には外国製のテールライトも搭載されている。これは、実はランチア テージスが導入したものだ。
しかし、両車ともに見た目は非常に優れている。

Photo: GROUP LOTUS PLC
Photo: Toyota

ややエキゾチックではないのが、ロータス エリート(フェイスリフト前)のテールライトだ。トヨタ製だ。ロータスはカローラAE86から部品を借りているので、「あまりエキゾチックではない 」というのは、エリートが本当にエキゾチックなステータスを持っているからだ。そして、それはカルト漫画「頭文字D(イニシャルディー)」シリーズのファンを笑顔にする。

Photo: AUTOBILD
Photo: Werk

イギリスの自動車メーカー、インヴィクタのS1もまた、エキゾチックなステータスを主張することができる。ボンネットの下には、2004年型フォード マスタング コブラSVTの4.6リッターV型8気筒エンジンが搭載され、320馬力を発揮する。リアライトは、VWパサートB5セダンのフェイスリフトバージョンのものであることに間違いはない。S1では、彼らはサイドインバートと水平にインストールされていた。

Photo: Callawaycars
Photo: Opel Automobile GmbH

1997年から2001年の間に25台しか生産されなかったキャロウェイC12のテールライトも、ドイツの地方に由来している。コルベットをベースにした20万ドル(約2,200万円)のスポーツカーは、オペル ティグラの部品を使用していた。しかし、これは、シボレーとオペルの両方が当時の親会社GMに属していたため、論理的なことではあった。

Photo: Noble Automotive
Photo: Michael Schuster

そして、もう一つのコルベットの例だが、今回はアメリカのスポーツマンが彼のライトをノーブルM500にライトを貸した。このヘッドライトは紛れもなくコルベットC7のものだ。

Photo: MG MOTOR UK Ltd
Photo: Autobild

次の例は、M500よりもさらにエキゾチックだ(効果的に作用している)。こちらはMG XパワーSV。さらに先のインヴィクタS1のように、それはマスタング コブラSVTの320馬力のV8によって駆動され、2004年からのXパワーSVRバージョンは、さらに390馬力の5リッターV8を備えていた。そしてどちらも第二世代フィアット プントのヘッドライトを装着していて、苦しげに怒っているような表情をしている。

Photo: TVR Manufacturing Limited
Photo: Ford

そして、あまりにも美しかったので、イギリスからもう一台。TVRキミーラのデザインは首尾一貫しているように見えるが、テールライトがフォード フィエスタMK3のものであることは一目見ただけでは気づきにくいかもしれない。これは、キミーラにその由来を隠すためのガラスカバーが残っているからかもしれない。

Photo: Panoz
Photo: Mazda

次はアメリカのスモールシリーズメーカー、パノスを見てみよう。バノスは1997年にルマンレーサーGTR-1のストリートバージョンを2台製作している。ストリートバージョンとレースバージョンの両方に、マツダMX-6のテールライトが採用されている。この形状はそれほど特別なものではないが、欧州ではほとんど見られないものでもある。

Photo: Martin Meiners / AUTO BILD
Photo: Christian Herb

最後の例は、1993年から2008年にかけて製造されたブリストル ブレナムで、これもまたイギリスのスモールシリーズカーだ。これは400馬力5.9リッターのクライスラーV8と戦前のBMWのシャシーという組み合わせだ。リアエンドは、その供給元であるオペルのセネターBを強く想起させるものとなっている。

今回は特徴的な車の「同一パーツ戦略」をお届けしたが、これはほんの一部、本当にほんの一部な話である。シトロエンCXのドアミラーはロータス エスプリのドアミラーに使われた、とか、もうそういう話は、本当に言い出したらきりがないほど続く。

考えてみれば当たり前で、こういうお金のかかるパーツを、いちいち金型起こして作って、それをちゃんと耐久試験なども行って、少数だけ作るなんて言うことはもう無駄も無駄、元なんて取れるわけない話なのだから、こういう共通化するとはまったくおかしいことでも、ダメなこともでなく、当たり前のことだ。

今回はランプユニットの話だったが、スイッチ、シフトノブ(セレクター)、屋内ランプユニット、そしてガラス、なんてことに範囲を広げていくと、もう限りなく共通部品を列挙していけるはずである。

そしてそれは少しも悪くないし、私たち自動車好きにとっては爽やかで楽しい話題だ。こんなうんちくを披露しながら、自動車口プロレスバトルをするような時間、それこそが自動車好き仲間にとってのかけがえのないひと時であり、自動車趣味の醍醐味はそんなバカ話の時間にこそぎゅっと詰まっているのだから。あなたもこんな話題をたくさん頭の中に仕込んで、気の置けない仲間と自動車談義楽しんてみませんか?

Text: Moritz Doka
加筆:大林晃平