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伝説のコンビ復活 ランドローバー ディフェンダーにシルキーなBMW直6 イネオス グレナディア

2020年7月21日

ランドローバー ディフェンダーがBMWエンジンを搭載して帰ってくる。2021年、伝説のディフェンダーが復活する。ラダーフレーム、リジッドアクスル、BMW製3リッター直列6輪車を搭載している。しかし、このクルマはメーカーであるランドローバーからのものではない。

1994年から2000年までの間、ランドローバーはBMW傘下にあり、ディフェンダーのエンジンはBMW製を使っていた時期があった。その頃、ディフェンダーのエンジンは、ファンの間では、「シルキーシックス」ならぬ「シルキーフォー」と呼ばれていた。

200万台以上のランドローバー ディフェンダーが製造された後、2016年に生産は終わりを告げた。
完全に新しいディフェンダーは2020年半ばから発売されているものの、ダイハードなランディ(Landy)ファンにとっては、おそらくあまりにも現代的なものになっているのではないだろうか。
オリジナルを悼むすべての人への朗報。そのディフェンダーは、イネオス グレナディア(Ineos Grenadier)の名で2021年に復活する。ラダーフレーム、タフなオフロードテクノロジー、そしてパワフルなBMWエンジンを搭載したディフェンダーだ。

デザインがランドローバーに似すぎていた

イネオスオートモーティブは、ロンドンに本社を置く化学会社の自動車部門に属する。当初、創業者のジム ラットクリフ氏は、旧型ディフェンダーの生産設備を含めたライセンス生産をしたいと考え、願い出ていたが、ジャガー ランドローバー(JLR)は申し出を断った。そこで、ラットクリフ氏は開発チームを雇い、ゼロからのスタートを切った。そして今、イネオスはグレナディアの最終デザインを発表した。外観はオリジナルに非常によく似ている。短いオーバーハングを持つ角張ったボディ、丸みを帯びたライト、ルーフウィンドウは、紛れもなくオリジナルのディフェンダーからの引用だ。類似性は非常に強く、イギリスメディアによれば、JLRはこのデザインに対して法的措置を取ったが、成功しなかった。

グレナディアは、その外観が似ているにもかかわらず、新型ディフェンダーと同一の部品を共有していない。

年間生産25,000台!

新モデルは、アストンマーティンの新生産拠点からわずか30分ほどの距離にある、ウェールズのブリッジェンドで生産される予定だ。イネオスは2021年から稼働する工場のために、約200人の労働者を雇用する計画だ。2024年までには合計500人の雇用を予定している。イネオス社の目標は野心的だ。
2024年からは、年間最大25,000台のグレナディアが生産される計画を立てている。つまり月に2000台!である。グレナディアは、オリジナルのディフェンダー同様、ラダーフレーム、リジッドアクスル、3つのディファレンシャルロック、フル四輪駆動システムを採用している。ボディはアルミニウム製。そして、このことは、グレナディアがディフェンダーの安っぽい模倣車になるのではないかと心配している懐疑論者たちを安心させてくれるはずだ。グレナディアは、ピックアップやエステートカーなど、さまざまなボディスタイルで利用できると言われている。

オリジナルはほとんどどんな場所であっても乗りこなせるが、イネオスのグレナディアも同様のオフロード性能を提供すると言われている。

BMWエンジンを搭載したニューエディション

そして最大のハイライトがそのパワーユニットだ。エンジンはBMWのものだ。グレナディアは、バイエルンメーカー製のディーゼルとガソリンエンジンでスタートする。つまり、ターボチャージャー付きの3リッター直列6気筒だ。したがって、イネオス グレナディアは、BMW製のシルキーで、スポーティなエンジンを備え持つことになる。トランスミッションには、イネオスはZF製の8速オートマチックを採用し、マニュアルトランスミッションは用意されない。インテリアはまだ完全には完成していない。イネオスによると、インテリアは機能的で堅牢になり、BMWからのパーツやイクイップメントに依存することになるはずだ。価格の問題が残っている。イネオスによれば、グレナディアは、現在エントリー価格が48,447ユーロ(約605万円)の新型ランドローバー ディフェンダーよりも大幅に安くなるという。2021年に販売開始されるイネオス グレナディアのエントリー価格は34,000ユーロ(約425万円)が想定されている。グレナディア(Granadier)という名前はどこから来たのか?仕掛け人であるイネオス社のボス、ラットクリフがSUVを作ることを思いついたロンドンのシックなパブにちなんで名付けられたそうだ(笑)。

現行のディフェンダーに関しては、二通りに考えることができる。一つは、ほかのクルマと違う明確なキャラクターを持ち、魅力的である、という考え方で、この考えに同調する人は多くの場合、「現在のランドローバーのラインナップの中で、一番魅力的で、一番欲しい」という気持ちを抱くだろう。もう一つの考え方は、決して悪くはないけれど、前のディフェンダーに比べると、なんとなく自分の本当に大好きなディフェンダーとはちょっと違う、これではないと、硬派(?)なディフェンダー愛好家ならば感じずにはいられない感覚と気持ちだろう。

私個人は両方の気持ちの中間で、新しいディフェンダーは好きだし、ちょっと欲しいとも思うけれど、やはり格好に関して言えば、圧倒的に前のディフェンダーのほうが好きだったなぁ、という優柔不断なものだ。そんな気持ちを見透かした(?)かのように登場したイネオス グレナディアではあるが、本当にこの価格で、月に2000台も売ることができるのかどうか、かなり怪しいところもある内容となっている。もちろんBMWのシルキーシックスを使って、ディフェンダーそっくりの車を作るというアイデアを否定はしないが、本当にRAV4のような価格で、くどいようだが月に2000台も無名のメーカーの車が売れるのだろうか?スタイルもこのまま登場するのであれば、どことなくピントの甘いディフェンダーであり、あのディフェンダーのきりりとした質実剛健で、朴訥な感じはどこかに消えてしまっているような気もする。くどいようだが否定はしないし、大変興味深い話ではあるものの、世の中そんなに簡単に自動車が売れる時代なのだろうか。そしてこのイネオス グレナディアであれば、現行のディフェンダーを迷わずに注文するか、趣味のためにディフェンダーの中古車でも買ったほうが、やはりホンモノなのではないかな、などと思ってしまうのだが…。

Authors: Jan Götze, Moritz Doka
加筆:大林晃平