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【クラシック オブ ザ デイ】このクールなベンツのロードスターが出てもう27年にもなるのか 感慨深いなあ・・・ 初代メルセデス SLK物語

2023年6月19日

SLK 200(R170)ほど軽快だったメルセデスはなかった。1996年、メルセデスSLKは保守的な顧客にとって衝撃的な存在だった。このロードスターほど機敏に動くダイムラーはなかった。

1996年、ダイムラーが「メルセデスSLK」を発表したとき、伝統を重んじる多くの顧客はシュトゥットガルトの意思決定者を疑ったことだろう。派手なペイントカラー、目を見張るほどカラフルな内装、標準装備のスポーツステアリングホイール、シートの間にあるハンドブレーキなど、この賑やかなロードスターが投げ捨てたメルセデスの伝統はほんの一例に過ぎない。

しかし、その噛むようなスーパーチャージャーエンジン、すっきりとしたショートホイールベース、そして何よりも、超クールな折りたたみ式ルーフが、この2シーターに独自の魅力を与えていた。

小さなメルセデスは、金属製の折りたたみ式ルーフに存在感を示した

「SLK(R170)」のハイライトは、なんといっても、その金属製の折りたたみ式ルーフだ。メルセデスが発明したわけではないが、「SLK」はこのルーフによって、多くの自動車ファンから新たな注目を集めた。

ボタンひとつでストリップ: SLKがルーフを折りたたむと、注目を浴びることは間違いない。

ボタンに触れるだけで、ボンネットは電動油圧式でトランクの中に折り込まれるのだ。5本の油圧シリンダーと200バールの圧力が、「SLK」を25秒でスポーツクーペからコンバーチブルに変身させる。1996年当時、「SLK」が入って来ると、多くの人々が詰めかけ、駐車場が大騒ぎになったそうだ。

1996年当時、白いインストルメントダイヤルは完全にトレンディだった。

ハンドリングも納得のいくもので、マニュアルギアボックスは、当時のメルセデスにはない正確さで、驚きを与えてくれた。「SLK」は、コンプレッサー付きの2つの4気筒エンジンは、特に俊敏な動きを見せる。そんなロードスターが、唸りながらカーブを駆け抜ける。

初代SLKは徹底的にモダンなクルマである

メルセデスは「SLK」で、白髪交じりの帽子をかぶる人のための移動手段というイメージからブランドを解放したいと考え、多くの古い伝統と決別した。

運転席と助手席のエアバッグ、シートベルトテンショナー、ABS、助手席の電子チャイルドシート認識システムは、1996年にすでに標準装備されていた。2000年のモデルチェンジでは、ESPとサイドエアバッグが追加された。

2シーターに真剣に興味を持つ人は、できるだけ完全なメンテナンス履歴を持つオリジナルの状態の車を探すべきだろう。4気筒のスーパーチャージドエンジンは、コストベネフィットファクターが最も優れている。V6はその分、音がきれいだ。マニュアルトランスミッションかオートマチックトランスミッションかは、個人の好みの問題である。

大林晃平: 今から27年前、この「R170 SLK」が発表されたとき、多くのメディアも私もかなりコーフンしたものだった。大きさも、メルセデスのオープンモデルであるということも、そして価格もかなり魅力的で、これならあの夢のような「R109」の「SL」の代用品になるのではないかと、期待に胸を膨らましたものである。ちなみに「SLK」のKはドイツ語のクルツで、短いという意味であり、その頃は大きくて自分には持て余すようにも思えるサイズの「SL」よりも、こっちの方が使いやすそうだとさえ思った。

果たしてめちゃくちゃ戦略的で、今なら「フォルクスワーゲンゴルフGTI」並みの大バーゲンともいえる価格で売り出された「SLK」は、期待値が大きすぎたのか、ちょっと今までのメルセデス・ベンツとは全く違う車であった。写真映りが抜群に良かったインスツルメンツパネルも、実際は「こんなもんか」と思ったし、薄っぺらいシート、妙に重ったるく軽快さの感じられない乗り心地とハンドリング、そして全体的にぎこちない動き・・・。乗って感じたことは、これは今までのメルセデス・ベンツの延長線上にある車ではなく、「SL」の代用品になどまったくならない、新種のスペシャリティーカーではないか、ということであった。

セキュリティ対策や対候性に優れたご自慢のバリオルーフもなんとなくぎこちなく重ったるかったし、幌の優美さに比べるとぜんぜんエレガントな雰囲気は持っていなかったが、「SLK」の狙う部分はエレガントではなく「カジュアルな雰囲気の軽さ」だったのだから仕方ない。それにしても、やっぱりこれは僕の好きなメルセデス・ベンツではない、と思いながら「SLK」の存在は頭の中から消えていった。

現金なもので、それから27年が経過し、僕も「SLK」も歳をとると、この小ささも、全体的なカジュアルさも、毎日気兼ねなく、「こんなもんさ」といいながらオープンを楽しむのなら、いいのかもしれないと思うようにもなっている。なにしろご本家の「SL」がAMGになってしまったことが、僕にとってはいまだに理解しかねているからで、そこまで、ひっちゃ気になって、目を吊り上げて走りに振らなくても、この「SLK」ぐらい脱力で、オープンと太陽を楽しむほうが楽しいんじゃないか、とそういう部分も27年経った「SLK」につい加点してしまう理由なのだと思う。

Text: Lars Hänsch-Petersen
Photo: Roman Rätzke