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激レアAMGが売りに出る!「AMG 300CE 3.4-4V Wide Version」日本に5台だけ輸入されたホンモノを我々は見た!

2023年4月29日

超希少車「AMG 300CE 3.4-4V Wide Version(ワイドバージョン)」が売りに出るという情報をキャッチした我々は東京から関西へ飛んだ。AMGジャパンが正規輸入したのが5台、ざっと調べただけで2台はアメリカに行ってしまったことが判明。日本には何台?いや、世界に何台残っているのだろうか?アーマーゲーとまことしやかに呼ばれていた時代の、伝説の「ハンマー」と同じボディを有する超希少車が売りに出される。

まずは「AMG 300CE 3.4 -4V Wide Version(C124)」のおさらいからしていこう。ベースとなるC124は、1984年にセダン(W124)がデビューした後の1987年にクーペの300CE-24(C124)としてデビュー。AMGはこの300CE-24をベースに、エンジンを3314ccにボアアップして出力を225psから272psに向上。足回り、エクステリア、インテリアを大幅にモディファイした。さらに「ワイドバージョン」は前後のフェンダーを広げて全幅が100mmもワイド化されている。日本正規輸入された際のAMGジャパンのカタログを見るとC124ベースのAMGは3種類、伝説のハンマー「AMG 300CE 6.0 Wide Version:HAMMER」と、ハンマーと同じボディを持つ「AMG 300CE 3.4-4V Wide Version」そして標準ボディの「AMG 300CE 3.4-4V」というラインナップだった。価格はおよそ1800万円くらいだったと記憶している。

「AMG 300CE 3.4-4V Wide Version」このあとリリースされた500E(W124)よりも迫力あるワイドボディは圧巻。当然前後のエアロバンパーも「ワイドボディバージョン」専用となる。

当時自動車専門誌を出版していた出版社に籍を置いていた筆者は、並行輸入のAMGをたくさん見たものだが、正規輸入車ではAMGジャパンが試験的に輸入したW124をベースにしたコンプリートカー1台だけだったし、今検索しても「AMG 300CE 3.4-4V Wide Version」の正規輸入車は中古車市場では見つからなかった。

ワイド化されたボディパネルは叩き出し

このAMGは1991年モデルは、前期モデルにあたるのだが、この「Wide Version」ボディは極めて少ないのだ。その数、恐らく世界で50台程度だ。AMGのエンブレムが示すように、ドイツののどかな地方にあるチューナーに過ぎなかったAMGにボディパネルをプレス加工して組み立てることは不可能であった。つまり、この獰猛かつセクシーなボディは叩き出しによるものなのだ!

因みに、13台だけ作られたという伝説の「ハンマー」はボディを叩き出しで作られた故に「ハンマー」と呼ぶというのは間違いで「ハンマーで叩かれたかのような加速」をするというのがその理由だ。この後に生産される「ハンマー」は標準ボディにエアロキットをAMGがフィッティングしただけのものになってしまうので「ワイドボディ」は超希少なAMG渾身の作品なのだ。

「AMG 300CE 3.4-4V Wide Version」あの「ハンマー」と同じワイドボディの迫力はハンパない。叩き出しによるセクシーな曲線を描くリアフェンダーのフレアが素晴らしい。AMG3ピースホイールはOZレーシング製。リアスポイラーは当時のAMGを象徴する「ダックテール3分割タイプ」
C124がスリムなことがよくわかる。空力を優先して前モデルのW123よりも40mm車幅が狭められた。

さあ、舐めるように、そして重箱の隅をほじるようにじっくりと見たあとは、ちょっとした緊張感漂う中テストドライブにでかけよう。サッシュレスのクーペボディにもかかわらず、剛性感の高さがドアの開け閉めですぐに感じ取れる。W114を起源とするミドルクラスクーペのボディ剛性の高さは特筆ものだ。「最善か無か」を謳っていたメルセデス・ベンツの基本設計の良さが光る部分でもある。

普通に乗れる、もちろん速い

慎重に走り出すと、意外にもノーマルのC124と変わらず、ちょっと拍子抜け。こんなに大人しかったっけ?チューニングエンジンなのに、アイドリングは安定している。ATということもあり、街中での操作性は何ら余計な気を遣う必要はないほど優しい。郊外の高速道路へと移動する。これこれ!合流のための小ダッシュで思い出した。これぞリアルAMG!「豹変する」とはこのことだ。中間加速の速さ、気持ちよさは半端ない。エンジンチューニングにより出力が向上されたとはいえ、272psと最新のV8の半分にも満たないが、スロットルレスポンスが良いのと、何より車重が1610kgしかないため掛け値なしに速い!

「AMG 300CE 3.4-4V Wide Version」リアのタイヤサイズは265/40ZR17という当時は極太サイズだ。標準は195/65R15。バンパーの広がり具合からも、いかにワイドになっているかがわかる。

蜜月の約10年

現オーナーは関西でオートディテイリングサービスを行う会社の代表で、AMGの3オーナー目(前オーナーは購入したプロショップ)となる。これまでの約10年はあっという間だというオーナー氏。信頼と実績のあるプロショップで定期的に点検をしていることもあり、良好なコンディションをキープできているようだ。それにしても、製造後30年が過ぎるが、ハンドクラフトによるエンジンに故障はないというから驚きだ。

オーナーは2,000万円くらいで販売したいと希望されている。確かに、この超希少なワイドボディは、グッドコンディションだし、これまでのオーナーが把握できて、正規輸入車で、メンテナンスもキチンとされている所謂“上物”。海外のオークションでは2,500万円以上で落札されているので2,000万円は高くないと思う。何しろ、未練たらたら、一度乗ったらまた乗りたくなるクルマの筆頭だ。特別感がハンパない。ノーマルの500E、E500(W124)よりも特別感は上だと思う。買えるものなら手に入れたい。

当時の輸入元AMGジャパンはヤナセの一部門から分社した会社である。
「AMG 300CE 3.4-4V Wide Version」のエンジンルーム。「エンジン屋」のAMGの手によるエンジン。この時代はエアクリーナー上に「AMG」の文字が控えめに入るのみ。ノーマルにはない追加されたエアダクトに注目。

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