【テスト】Sクラスでは物足りない? 高級セダン ベントレー フライングスパーV8に試乗! ベントレーがPHEVとEVしか作らなくなる前に・・・

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ベントレー フライングスパー: メルセデスSクラスでは物足りないとき。ベントレーが数年後にプラグインハイブリッド車と電気自動車しか作らなくなる前に、高級セダンのフライングスパーをV8として再び試乗してみた。

ベントレーは変革の真っただ中にある。「ベンテイガ」と「フライングスパー」はすでにハイブリッド車として提供されているが、2026年にはプラグインハイブリッド車のみ、2030年には電気自動車のみが提供される予定だ。パワフルなV8エンジンやシルキーでスムーズなW12エンジンの時代は、高級車セグメントでも有限なのだ。550馬力のV8ツインターボとなった「ベントレー フライングスパー」にもう一度乗るには十分な理由がある!

フライングスパーは旧来のベントレーである

「フライングスパー」は、やはり昔ながらのベントレーだ。フロントは、縦型ストラットを備えたXXLサイズのラジエーターグリルが主役だ。3,625ユーロ(約52万円)の追加料金で、いわゆる「ブラックライン仕様」を注文できる。この仕様では、「フライングスパー」のエクステリアにクロームを一切使用せず、凄味を増している。

さらに、「ブラックラインスペシフィケーション」により、「フライングスパー」のクラシックな4眼フェイス(内側に2つの大きなヘッドライト、外側に2つの小さなヘッドライト)は、幅2.01mの車にマスカラを塗ったかのように見える。ラジエーターグリルの上には誇らしげに、「フライングB」(2020年のミュルサンヌ生産中止廃止後、ボンネットに「フライングB」が描かれたサルーンはフライングスパーのみ)が置かれ、その羽はライトアップされている。テスト車のクリスマスカラーリング「セントジェームズレッド」とよくマッチングしている。

“フライングB”は照明付きで、ボタン一つで下げることができ、まるでロールス・ロイスのようだ。

横顔で最も目を引くのは、力強く強調されたリアサイドパネルで、ここに「コンチネンタルGT」との密接な関係があることが明らかにされている。サルーンらしいプロポーションで、EWB(エクステンデッドホイールベース)のみの設定である「フライングスパー」は全長5.32メートルと、現行「メルセデスSクラス」のロングバージョン(5.29メートル)をも凌駕する。「マイバッハSクラス」だけが5.47メートルと長いのだ。

4本のテールパイプは、V8かプラグインハイブリッドを意味する。W12のトップモデルには、楕円形のテールパイプが2本付いている。

少なくとも172,100ユーロ(約2,500万円)がフライングスパーのために必要

こうしたサイズを考えると、少なくともベースで172,100ユーロ(約2,500万円)もする「フライングスパー」が、現行の「ポルシェ パナメーラ」と同じプラットフォーム(MSB)をベースにしていることは驚くべきことだ。ベントレーは2019年に3代目となる「フライングスパー」を発表したが、その豪華なインテリアの中を覗いてみると、インフォテインメントに関しても、フライングスパーは旧来のベントレーであることが分かる。

何もないわけではないが、現行の「メルセデスSクラス」や、新型「BMW7シリーズ」と比較しても、このクルマとプラットフォームがすでに数年を経過していることは明らかである。例えば、アウディによく似たデジタルインストルメントクラスターや、Apple CarPlayがケーブルでしか使えないことなどが挙げられる。だがそこは目をつぶろう。なぜなら、素材の選択とワークマンシップに関して、ベントレーはまさに独壇場だからだ。

最高級の素材と完璧なワークマンシップ: インテリアに関して、ベントレーは他の追随を許さない存在だ。

アルミニウムのように見えるものはすべてリアルなアルミニウムだ。ヘッドライニングをはじめ、インテリアの9割が北欧の最高級カウレザーでできている。そして、ベントレーの比類ないフィーリング。最初の1秒から、ドライバーは文字通り最高級車に座っている感覚を味わうことができるのだ。

フライングスパーには、Sクラスやその仲間にないものがある

個々のボタンの構造、ドアの3Dエレメント、712本のステッチで形成されたレザーのキルティング、3つの側面からなる壮大な「ローテイティングディスプレイ」などのディテールが、「ベントレー フライングスパー」に、「Sクラス」、「7シリーズ」、さらには「A8」にはない魅力を与えている。

しかし、高級車クラスの競合車とは異なり、「ベントレー フライングスパー」はお客様ご自身に運転していただくよう誘惑するクルマなのだ。アダプティブ3チャンバーエアサスペンション、全輪駆動、リアアクスルステアリングなど、「パナメーラ」のプラットフォームが持つすべての利点を享受することができる。48ボルトの電動システムにより、ローリングの動きはミリ秒単位で補正されるため、約2.4トンのベントレーは、「コンフォート」モードや「ベントレー」モードで滑るように走ることができる。

ベントレーのルールは、「アルミニウムのように見えるものは、アルミニウムである」である。

550馬力と770Nmを発揮する4リッターV8ツインターボは、全輪駆動と8速オートマチックにより、0から100km/hまで4.1秒で加速し、最高速度は318km/hと、スポーツカー並みの速さだ。ボタンを押すだけで、大きなベントレーが高貴なグライダーからパワーセダンへと変身するのだ。しかし、正直なところ、「フライングスパー」は、その巨大なパワーにもかかわらず、決して速く走ろうという誘惑に駆られることはない。

通常、試乗車には「マリナー ドライビング スペック」の一部として22インチのホイールが装着されているが、冬用ホイールとして21インチも用意されている。

そこで、重厚なドライビングモードスイッチをベントレーの「B」に合わせ、「ストレッチマッサージ」を作動させ、心地よい音楽をかけ、リラックスしながら旅に出ようというわけだ。V8サウンドの繊細な音色に包まれながら、力強い推進力を発揮する。

635馬力の6.0リッターW12は、V8ツインターボがオールラウンダーであるため、あまり必要ないのだ。W12が揺るぎないのは、ただ一点、プレステージの高さだけだ。特に、数年後にはハイブリッド車しかなくなり、さらに遠い将来には電気自動車ベントレーしかなくなるというのだから・・・。

Text: Jan Götze
Photo: Bentley