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【テスラのライバル続々登場!】航続距離1000km フランスからスタイリッシュな高級水素サルーン登場 新型ホピウム マキナ パリサロンでワールドプレミア!

2022年11月21日

航続距離1000kmの水素自動車をフランスの企業が開発。最高出力500馬力のスタイリッシュな水素リムジン「ホピウム マキナ」がテスラを狙う。

電気自動車にとってのテスラと同じように、ホピウムは水素の分野でのトップを狙っている。このフランス企業は「Hydrogen Motive Company(略称HMC)」の一員で、航続距離1000キロメートル以上の高級セダン「マキナ」を2024年からデリバリーしたいと考えている。最初のプロトタイプに続き、先ごろ開催された2022年のパリモーターショーで量産に近いバージョンの「ホピウム マキナ」が公開された。

デザイナーのフェリックス ゴダールが描いた「マキナ」は、「テスラ モデルS」と「アウディe-tron GT」と「ポルシェ タイカン」の中間のようなビジュアルで、非常に見栄えがする。すでに「ポルシェ(2013-2016)」、「テスラ(2016-2019)」、「ルシード(2019-2020)」で働いているゴダールの経歴を見れば、驚くには値しないだろう。サイズ的には、デイタイムランニングライトが特徴的な、飾り気のない「ホピウム マキナ」も、「モデルS」や「タイカン」などを狙っている。

ホピウム マキナのフロントとリアのデザインは非常によく似ている。特に、下向きに伸びるデイタイムランニングライトは印象的だ。

巨大なスクリーンが支配するインテリア

インテリアも外観同様、すっきりとしたデザインだ。運転席と助手席の前には巨大なスクリーンが連続し、それ以外のコックピットは非常にすっきりしている。センターコンソールは急峻に立ち上がり、2本スポークのステアリングホイールはテスラを彷彿とさせる。リアでは、乗員はセパレートタイプのシートに座るようになっている。

巨大なタッチスクリーンが備わり、非常にすっきりしたコックピットとなっている。

しかし、ドライブに関しては、本当に興味深い話題となる。ホピウムの出力は500馬力以上、370kW以上と言われている。最高速度は230km/h、100km/hまでのスプリントは約5秒で行うとしている。2021年6月、ホピウムは早くも初期のプロトタイプ(当時はまだα0と呼ばれていた)をレース場でテストし、すでに200km/h以上を達成している。従って、この数字は現実的だと思われる。

ホピウムは1,000kmの航続距離を約束する

しかし、最高速度よりも重要なのは言うまでもなくその航続距離で、フランス企業は約1,000kmの航続距離を約束している。

もちろん、燃料電池は従来の電池を搭載した電気自動車に対して決定的な優位性を持っている。「マキナ」は、わずか3分で燃料を補給することができるとされている。ただし、2022年になっても、水素充填ステーションがある環境ならびにインフラは限られており、カバーできる範囲は非常に狭い。

リアでは、特にテールランプが印象的に描かれている。ヘッドライトの形状を取り込んでいる。

2025年末には、ノルマンディーで最初の「マキナ」を生産する予定なので、ホピウムはその状況がそれまでには変わることを願っている。生産ラインは、最大で年間2万台の能力を持っているが、当初は年間8,000台の「マキナ」の生産を計画している。だが、この計画がうまくいくかどうかは、現時点では不透明だ。

しかし、ホピウムによると、最初の1,000台はすでに予約済みだという。目標単価は120,000ユーロ(約1,750万円)。この価格が実現できれば、ホピウムはテスラ社に代わる本格的な自動車メーカーになる可能性がある。

【ABJのコメント】
個人的には水素の可能性はまだまだこれからで、カーボンニュートラルを達成する時には水素と地熱、のような組み合わせは必須になってくるのではないか、と予想はするけれど、残念ながら「トヨタ ミライ」の売り上げや普及はかなり厳しい台数となっている。現在の「トヨタ ミライ」はものすごくいい車で、内容を考えれば割安ともいえる完成度である。それなのになぜ、といえばそれはもちろん水素ステーションなどのインフラストラクチャーが整っていないからで、水素を普及させるためには、まずは、何はなくとも水素のインフラを整えなければならないのはいうまでもない。

だが今後のカーボンニュートラル対応には水素はどう考えても必須だし、そういう意味では、フランスから現れた「ホピウム マキナ」はぜひ援軍となってほしい一台である。価格は「ミライ」の2倍(というか、ミライが安すぎるのである)で、まだまだこれから量産型に向かうという段階ではあるが、それでもBEVだけではなく、水素自動車もフランスから登場してきたことがちょっと個人的には嬉しい。

前だか後ろだかわかりにくいスタイルはちょっとのっぺりしすぎている感じだが、フランス的といえばいえるような気もする。この優しい感じのグレーメタリックがそう思わせるのか、近未来のフランスの路上にあっても悪くないようなスタイリッシュさである。

一方残念なのは内装で、なんだか80年ころのアメリカのメーカーが発表したコンセプトモデルのようなステアリングホイールとメーターとセンターコンソールあたりのデザインは、妙に時代遅れに感じてしまう。せっかくだからもっとバリバリに未来的か、あるいはアールヌーヴォーみたいなデコラティブなものだったら面白かったのだが、今のままの内装は妙に無個性で、中途半端なのがなんとも残念である。

ともあれ、ぜひ生産化して路上に出てきてほしい水素自動車の一台である。(KO)

Text: Jan Götze
加筆: 大林晃平
Photo: autobild.de