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【このクルマなんぼ?】お手頃価格の1986年製ヴィンテージバス 再塗装されたディーゼルブリ VW T3バス 現在販売中!

2022年10月18日

eBayでVW T3バスを買ってみる?この美しいヴィンテージ フォルクスワーゲン バスは、嬉しいことにお手頃価格と言えるかもしれない。eBayに出品されている1986年製のVW T3 Bus、ディーゼルブリは再塗装され、一見すると非常に整然とした印象を与える。状態さえ良ければ、価格もOKかもしれない。

「VW T3」は非常に需要が高い。多くのキャンピングカーファンが、いまでも最後のリアエンジン搭載の「ブリ(Bulli)」を欲しがっており、それが価格を押し上げている。今回紹介する前オーナーの手によって改造された「T3」でも、メンテナンスの行き届いた「ブリ」のオリジナルと同じような値段で取引されるようになって久しい。

「T3」に熱中している人は、あまり安直に恋に落ちない方がいい。この象徴的な箱には、錆という大敵がいるからだ。だから、ときどき錆びついた車が市場に出回る。現在eBayで、6,800(約95万円)ユーロというリーズナブルな値段で出品されている「T3バス」は、一見するととても整然とした印象だ。しかし、実際の購入にあたっては、細心の注意を払って点検すべきなのは言うまでもない。

広告のVW T3は、よく整備されているとのことだ。しかし、シート表皮はすべてがオリジナルを保ったもの、というわけではない(左右でシートが違うことに注意)。

この広告から、提供されているVW T3がどのようなものであるかがわかる

広告によれば、販売中の「ブリ」は、1986年7月に初めて登録された。リアに搭載された1.6リッターディーゼルは50馬力。状態は非常に良好とのことだ。この「VW T3バス」は定期的に整備されており、完全に走行可能であるとのことだ。加えて、2020年に完全新塗装されている。インテリアはオリジナルで、非常によく手入れされていると説明されている。ただし、シートの色はすべてマッチしているわけではない。

カルトVWは最大9名まで乗車可能だ。チャイルドシート装着用のアタッチメントのベルトもある。

このクルマは、ベルリンとワルシャワのほぼ中間に位置するポーランドのポズナンにある。広告には、このバスは必要なEUの書類をすべて持っていると書かれている。これで、ドイツでも問題なく登録できるはずだ。売り手は、転送業者による配送が可能であり、金額や諸費用の支払いは配送時に行うよう書いている。どうやらドイツ語が通じるようだ。

プライスタグには現在6,800ユーロ(約95万円)と書かれている。提供されている「ブリ」が本当に良いものであれば、それは公平な価格だろう。現在、ドイツでは、多くの「VW T3」が高金額で取引されているからだ。ただし、簡易装備の「T3バス」はこの限りではない。提供されるクルマは価格帯の中間に位置する。

そのVWにどんな歴史があり、どんな使用感があるのか、購入希望者は試乗して明らかにしなければならない。

VW T3を購入する前に知っておくべきこと

「VW T3」を購入する意向なら、試乗は必須だ。「T3」とサビは? 前述のとおり、車両のいかんにかかわらず、サビとは友達にはなれない。ボディワークの作業は時間とコストがかかるからである。そのためにも購入前によくコンデイションを知っておくと安心だ。

「VW T3」は、常に作業が必要なクルマだ。「T3」のオーナーは溶接の技術を持っている人が有利で、それ以外の人は財布の中に蓄えが必要だ。「T3」を購入しようとする人は、購入前に、そのことをよく理解しておくのが一番だ。

リアのディーゼルは50馬力しかないため、速さはもちろん求めてはいけない。でも、T3ファンの多くはそのことをちゃんと理解している。

「T3」のエンジンのどれもが、燃費に関しては期待できない。ガソリンエンジンでは、リッターあたり8.3km以下の数値が当たり前になっている。それに対し、ディーゼルエンジンは少ない燃料で満足でき、道路ではとても快適だ。つまり、スペインへは、高速道路の右側車線を80km/hで移動すればいいのだ(笑)。でも、そうしたいと思わなければならない。それが「VW T3バス」というものだ。

【ABJのコメント】
フォルクスワーゲンのバンといえば、やはり「ブリ」が有名ではあるが、完成度でいえばこの「T3」は相当なものであった。もう30年以上前に、ちょっとだけ「T3」のリアシートで移動させてもらったことがあったが、そのころの日本のワンボックスカーとの違いに、「こんなにすごいのか」と驚いたことがある。そしてそれは「ゴルフ2」にはじめて乗った時のような、あのなんともしっかりしていて頼れそうな雰囲気が共通していたのであった。

さて今回の「T3」、本文にも記されている通り、再塗装でシート生地(おそらく痛みの激しいい運転席のみ)が張り替えられているため、一席だけ他のシートと色違いになってしまっている。走行距離に関しては記載がないが、おそらく20万kmは走っているだろう。さらにこの当時のディーゼルエンジンモデルは、もう「のどかな」を通り越して遅い、というレベルの走行性能であることは忘れてはならない。

それでもなんだかこの「T3」は憎めないし、実用貨客車というのは、こうして使い倒されてなんぼなものである。だから僕はこの「T3」を見ながら、車はこうして乗られ、使われてていくことが一番幸せなのだなぁ、とほのぼのとした気持ちになった。貴重なクラシックカーだけが価値があるわけではなく、こうして愛用されてきた普通の自動車にも歴史が刻まれていく。この「T3」もまだまだ新しいオーナーのもとで愛用され続けていくと良いな、と思う。(KO)

Text: Lars Hänsch-Petersen
加筆: 大林晃平
Photo: ebay.de/milka9112013