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今度のバットモービルはゴードン マーレイのデザインだ!

2020年4月14日

新しいバットモービルは、なんとゴードン マーレイデザインの水素マシーン!

映画「バットマン」の第1作が公開されたのは今から50年以上前の1966年だ。しかしシリーズ作品となって爆発的な人気を博すのは、1989年以降の作品からだろう。
そこに登場するバットモービルは、ロビンとともにバットマンの良き相棒であり、主人公の一員と言っていいだろう。

新しいバットモービルがレーシングカーに似ているのは偶然ではない。このバットモービルをデザインしたのはゴードン マーレーなのだから。改めて言うまでもないことではあるが、ゴードン マーレーはかつてフォーミュラ1で名デザイナーとして活躍、その後もマクラーレンをデザインし、鬼才として名を残しているからだ。彼はマクラーレンF1時代の経験とノウハウをジェットジェットルックの新しいバットモービルに注ぎ込んだのである。
この新型バットモービルには燃料電池が搭載されていて、水素から電気を生成し、得られたエネルギーはリチウムイオン電池に蓄えられる。もはや映画に登場するヒーローの自動車もついにゼロエミッションになったことは、ある意味感慨深い。

ニューバットモービルは、カーボンファイバーボディとLEDで照らされるヴァーチャルホイールを備えている。さらにマーレーは15年から20年後のF1がこのバットモービルと同じような素材とフォルムで作られるだろうとも予言する。
今までのバットモービルの中で、一番スマートで格好良く、そして現実の自動車らしい、と思う。またリアからみた姿が、バットマンのマークになっていることなど、さすがとしかいいようがない秀逸さだ。
あえていちゃもんをつけるとすれば、あまりにまとまりすぎていて、今までの荒唐無稽さからかけ離れてしまっていることではあるが、それさえもマーレーらしいところ、と言えるのではないだろうか。

1989年に公開された「バットマン」には、60年代の奇抜に飛び回る蝙蝠のイメージを踏襲したバットモービルが登場した。ジェットタービンをモチーフにしたデザインは、ちょっとアメリカの蒸気機関車のデザインを髣髴させるものであり、これはこれで映画の中の自動車らしい。ただしこのマシーンはものすごくロングノーズなので、実際に存在したのであれば、運転はものすごく難しく、なおかつ騒音もすさまじいだろうと思われる。

60年代のバットモービルは映画用の自動車デザイナー、ジョージ バリスに作成が依頼された。彼はリンカーン フューチュラのショーカーをベースにして、バットモービルを作り上げた。その後、他の仕事との関係で、ディーン ジェフリーズがプロジェクトを引き継いで、クルマを完成させた。その後、何台か同じバットモービルが撮影用に作成された。まだまだ普通の自動車の延長線上にあるバットモービルであり、この車にはカルト的なファンも多い。
アメリカ国内にはこの車そっくりに自分のクルマを改造して乗っているマニアもいたし、数年前には英国の自動車雑誌『CAR』でインプレッションさえ掲載されていた。またミニカーなども高値で取引されている。

戦車のようなバットモービル。2005年製作の「バットマン ビギンズ」のために作られた究極にアグレッシブなルックスを備えたバットモービルだ。それ以前のスリムなバットモービルとの類似性や共通点はまったくない。こうなってしまうと、もはやヒーローのクルマというよりも、ある種の兵器ともいうべきデザインであり、自動車と言っていいかどうかも難しい。

クリエーターたちは、自分たちの創作物をランボルギーニとロブスターを足して2で割ったもの、とイメージしていたらしい。またそこにはF-117ステルス爆撃機の要素も含まれている。いずれにしろ迫力のある兵器ではあるが、美しさとか格好良さよりも、不気味さを感じてしまうのは私だけではないだろう。

正式には、これはバットモービルではなく、「タンブラー(曲芸師)」だった。しかし、素晴らしいドライビング性能を有していた。340馬力5.7リッターエンジンを搭載、100km/hまでを5秒以下で加速する(以上、あくまでも映画の中のスペック、ではあるが……)。
実際問題、このステアリングの切れ方では街の交差点では曲がり切れないし、前方視界さえもものすごく限られるであろう。また(当たり前ではあるが)あまりに目立ちすぎるし、こんな自動車のおける場所はものすごく限られてしまうので、ものすごく不便な乗り物なはずだ。

こんな形でも、レッドカーペット上をちゃんと走る!!
撮影用には5台の完全に走行できるガソリン仕様モデルと電動バージョンが製作された(日本にも一台が現存している)。

Photo: Pixar Animation Studios

タンブラーはジェット噴射で、高さ1.2〜1.8メートルのジャンプ、18メートルのロングジャンプが可能という設定だった(もちろんそれも、あくまでも映画の中の話である。実際にそんなに飛んだら木っ端みじんだろう)。

Photos: Warner Bros. Entertainment Inc.

加筆:大林晃平