【モーターホームテスト】ルノーベースのモーターホーム「アホーン バン ブラックエディション」をテスト その使い勝手と快適性をチェック
2022年8月7日
Back in Black: アホーン バン ブラックエディションの登場だ。1980年に発表されたAC/DCの曲は、かっこよさの典型だ。今回紹介する少数限定生産の新型「アホーン バン ブラックエディション」に見事にマッチしている曲といえよう。そんなモーターホームを使ったツアーも、同じようにカジュアルなものになるのだろうか?
今年の初めに掲載した「【モーターホーム2022】今年デビューするキャンパー×19台」の中で紹介したアホーン製の「バン ブラックエディション」のキャンパーとしての性能を試してみた。
ブラックメタリック塗装、マットブラックのアルミホイール、シルバーカラーのフロントバーがまず目に飛び込んでくるディテールだ。ちょっと待てよ、窓もブラックアウトしているのか? なんてかっこいいんだ。しかも、特製デカールも付いているなんて、言うことなしだ。モーターホームメーカーのアホーン(Ahorn)は、ブラックエディションシリーズの特別モデルとして、アクセサリーボックスの奥深くにまで手を入れた。クールボックスには、「550」と「620」の容量の異なる2バージョンが用意されている。
ただし、「バン」にはそれ以上は特別仕様車のような分厚い追加装備はなく、基本仕様のまま提供される。「ルノー マスター」をベースにした「ブラックエディション」は、生産ラインから、合計70台しか生産されない。全長わずか5.55mという、よりコンパクトなモデルで、プファルツの里を走ってみた。
アホーン バン ブラックエディション: 大型キャンピングカーとは思えないほどの長さ
それは、大型キャンピングカーよりもかろうじて長く、スーパーの駐車場で2台分のスペースを取らずに良心的に運転できるほど背の低いバンということだ。そのため、普段使いのクルマとしても適している。この運転の快適さが、生活の快適さを犠牲にしていることは、当然の帰結である。しかし、白とライトグレーの家具用板のおかげで(なんとも賢い解決策!)、最初は室内が実際よりも広く見える。
とはいえ、それでも「バン550」は背の高い人には向かない。これを防ぐのが、1.86mの最大ヘッドルームと1.90mのショートトランスバースベッドだ。そんな人にも、小さなアホーンは、クラシカルなレイアウトと美しいディテールを持つ、よく考えられたバンなのだ。例えば、バスルームの洗面台は、使用しないときには、壁にフラップ状のエレメントとして消え、トイレのスペースが確保される。一方、浴室とキッチンの間の通路はかなり狭くなっている。
この車の長所は、この特別仕様車の装備パッケージが、実に素晴らしいということだ。冒頭で述べたルノーのビジュアルハイライトに加え、この小さな1台には、以下のオプションが用意されている。エクステンドグリップトラクションコントロール、エアコン、フォグランプ、フライスクリーンドア、アイソフィックス、スタート&ストップ機能付き150馬力ディーゼルエンジン、ブラックシート、外シャワー、LED外灯、オーニング、リバースカメラ、温水廃水タンクなどなど。
収納スペースは少ないが、操作性に優れ、エンジンも軽快
トルーマ製のディーゼルヒーターがアホーンには標準装備されている。ガスボンベが1本あれば十分なので、さらに省スペースだ。収納スペースに関しては、ミニマリストがホームアドバンテージを持つ「アホーン バン」。ベッド足元のワードローブには、ブレザーなど丈の長い衣類を収納できるよう、取り外し可能な棚を設けている。日常的な使い勝手の良さもプラスポイントだ。
走り: 「バン550」はとても操縦しやすいので、駐車スペースを見つけるのも問題ない。特に、フランス車のボンネットに搭載された躍動感あふれるツインターボには、いつも感心させられる。ブラックエディションに含まれる150馬力仕様では、当然ながら、基本モデルの135馬力よりもさらにパワーアップしている。6速ギアボックスはきれいに変速し、マスターの細いシルエットは風の抵抗を限界まで抑えている。ただ、エクステンションは走行中に少し音がしやすいし、ルーフハッチもこの騒音発生の弱点として知られている。
走行レポート: アホーン バン ブラックエディション
結論:
ショートパネルバンは、モーターホームの中でも実現性が高いトップクラスの1台だ。「アホーン バン550ブラックエディション」は、多くの点で優れているが、スペースユーティリティの面でなど、いくつかの点では、まだ改善の余地があると思われる。とにかくカッコはいい。
【ABJのコメント】
日本でも実用になるモーターホームの大きさは、これぐらいの車かな、と思う。実際に街中で見かけるトラックをベースにした、いわゆるキャブコン(コンはコンバートのコン)だが、ヨーロッパに行くとこういうモデルが人気セグメントの代表格なのだろう。愛用者には申し訳ないが、あのキャブコンというタイプのモーターホームは、なんだか地味で、ちょっと優雅さとか楽しいな雰囲気にかける気がする・・・って、本当に失礼な意見で申し訳ありません。でも、やっぱりそう思ってしまう僕は舶来主義なのだろうか。
それに比較するとこのルノーのモーターホームはスタイリッシュで、これなら自分でも積極的に乗って運転してみたい、そんな雰囲気が感じられませんか? いかがでしょうかみなさん?? えこひいきで申し訳けれど、やはりスタイリッシュでスマートなのは、こっちのような気がしてならないのは事実である。内装もブラックアンドホワイトで、シンプルで清潔感もあるし、そういう部分ではまだまだ学ぶ部分も多いと感じてしまう。
もっとも実際のスペースユーティリティという意味ではキャブコンのほうが上だし、実際の使い勝手ではきっと使いやすいところも多いだろう。キャブコンの良さと、このルノーの良さを併せ持った、中間の?一台があったらなぁ、とないものねだりをしてしまうのはわがまますぎるだろうか。
Text: Jenny Zeume
加筆: 大林晃平
Photo: autobild.de