1. ホーム
  2. 旧車&ネオクラシック
  3. 【このクルマなんぼ?】アイコンホットハッチ 34年落ちのプジョー205 GTI 走行距離たったの75,200km 果たしてその価格は?

【このクルマなんぼ?】アイコンホットハッチ 34年落ちのプジョー205 GTI 走行距離たったの75,200km 果たしてその価格は?

2022年7月14日

eBayではプジョー205GTIがコンディション2+で販売されている。34年の時を経て、このホットハッチの走行距離は75,200km、年式を考えれば少ない走行距離だ。

「プジョー205」はアイコンだ。1983年から1998年までの間に、この小型車は合計で530万台近く販売され、ドイツでは、「206」まで、プジョーのベストセラーであった。プジョーは1984年に早くもスポーツモデルとしての「205GTI」を発表し、当初は1.6として103馬力(105馬力と表記されることも多い)、後に1.9として128馬力までパワーアップするようになった。「205GTI」は、今でも最も伝説的なフレンチホットハッチの1台としてあがめられている。これは価格にも反映されており、状態の良いオリジナルの「205GTI」がバーゲンプライスで手に入るのは久しぶりだそうだ。

eBayでは、現在、素晴らしい歴史を持つ「プジョー205GTI」が出品されている。走行距離が適度なことと、この小さなフランス車がファーストオーナーであることは長所といえる。1988年4月にベルリンのプジョーディーラーから「205GTI」を購入し、以来、現在まで一度も手放したことがないそうだ。

評価: グレード(コンディション)2以上

34年の歳月を経て、今、お別れの時が来た。プジョーは写真で見る限り、非常に良い状態だ。この印象は、クラシックデータの鑑定でグレード(コンディション)2+となり、強調されている。「GTI」のカーライフにおいて、走行距離は欧州では少ない75,200km。これは、最初からピュアファンカーとして意図されたものであるためだ。

スピードラインのホイールはオリジナルではないが、現代のチューニングといえるもので、そのためGTIにはHプレート(クラシックカー登録)が与えられている。

1997年に登録抹消され、その後は短期登録ナンバーで、稀に運転される程度であった。これまで大掛かりな整備が行われ、ウォーターポンプを含むタイミングベルト、ラジエーター、ブレーキラインが交換されたという。

さらに、「GTI」には、現在新しいタイヤと新しいバッテリーが装着され、すべての油脂系が交換されている。同時に、プジョーは、2022年3月に行われた、Hライセンスプレート(クラシックカー登録)の検査にも、何の問題もなく合格している。

インテリアは完璧なオリジナルコンディションだ。1988年の205GTIには、まだエアバッグ付ステアリングホイールは設定されていなかった。赤いカーペットが懐かしい。

もちろん、今回の「205」は無事故だが、フロントエプロン、ボンネット、ドア1枚にリペイントがある。マイナートラブルとしては、右パワーウィンドウが時々故障すること、小傷としては右ウィングミラーのプラスチックカバーが欠落していることなどがある。一方、冬の間は必ず登録抹消をしていたため、融雪剤などにふれていないため錆びていない車だ。

1.9リッター4気筒エンジン(触媒コンバーターなし)

1988年4月18日に初登録された「205GTI」は、触媒コンバーターを持たない1.9リッター4気筒エンジンを搭載した最後のモデルの一台である。128馬力のパワーは、わずか875kgの「GTI」をわずか7.6秒で0から100km/hまで加速させ、最高速度は208km/hに達する。

コンテンポラリーチューニングを施した205GTi

というのも、プジョーは長年にわたり、名だたるチューニングパーツで磨きをかけてきたからだ。ステンレス製マニホールドを備えたセブリング製エキゾーストに加え、4気筒は1993年にハイゼルモータースポーツが専用ピストンと改良型カムシャフトで最適化した。

ついでにスポーツクラッチも装着された。しかし残念ながら、今このプジョー205にどれだけのパワーがあるのかはわからない。

また、外観も若干のマイナーチェンジが行われた。プジョーのロゴがないラジエーターグリルは、アイバッハのローダウンスプリングやスピードラインのホイールと同様、オリジナリティに欠ける。しかし、オリジナリティを追求する人たちにはこのモディファイは抵抗があるかもしれないが、性能を追求する人たちには喜ばれるはずだ。

必ずしも205GTIである必要がないのであれば、数日前にレポートした兄貴分である309GTiは、より低価格で購入することができる。

いずれにせよ、このように整備された「プジョー205GTI」は、特にファーストオーナーからすれば、今や非常に稀有な存在であることは間違いない。また、この個体の有利な点は、全歴史が文書化されていることだ。請求書や証明書、購入時の契約書まですべて付属している。

提供されるGTiはお買い得ではない

残り数日、現在の最高入札額は17,335ユーロ(約243万円)だが、今後も、そこそこの入札が想定される。ドイツでの「205GTI」の中古車供給は非常に少ないが、フランスのホットハッチへの関心は高い。

現在、「プジョー205」はすぐに乗れるものなら1万ユーロ(約約140万円万円)程度から、本当に良い「GTI」は2万ユーロ(約280万円)を超えるのが普通で、今回紹介する「205」はその価格帯以上に達する可能性がある。蛇足ながら先日レポートした、もっと希少な「プジョー309GTI」のほうがもっと安く手に入る。

【ABJのコメント】
前回紹介した「309」に比べ、今回の「205」は実にわかりやすく明快なホットハッチバックである。というのも、難解で正直スタイリッシュといい難い「309」に比べ、「205」はなんとも可愛く、スタイリッシュでわかりやすい魅力を持っているから、である。そしてこの「205」の「GTI」から、プジョーのイメージは大きく変わり、その路線が今につながっていると考えても間違いではないだろう。

そんな「205」の「GTI」が売りに出されている。タイトルに「たったの75200km」とあるのがビミョーな気もするが、まあ日本では過走行な範疇かもしれないが、彼の地では屁でもない走行距離と言え、そういう意味では日本人のほうが過走行に過剰反応しているということだとも言える。昨今の(まあこのプジョーは昨今ではなく、ちょっと昔の、ではあるけれど)自動車が、10万km程度でどうかなってしまうようなことはないのだから。

だがその価格は、昔、新車で売られていた時と同じ価格・・・。うーむ、ちょっと前までウン十万円程度でその辺の中古車屋さんに転がっていた時の価格とは桁が違う。そしてこの程度の価格は驚くに値しないようなことがレポートにも記されているではないか。確かに「205」は魅力的だしネオクラシックとしても通じる一台ではあろう。でも7万kmの一台が250万円かぁ、と相変わらず軽いショックを受けながらあの頃を思い出したのであった。(KO)

Text: Jan Götze
加筆: 大林晃平
Photo: Ebay / Oxia12