エミリアGTヴェローチェ アルファロメオ ジュリアGTのレストモッドモデルは510馬力で登場
2021年9月22日
ハンブルグのスポーツカースペシャリストのエミリアオートが、現行のジュリアQVの510馬力の6気筒を搭載したアルファロメオ ジュリアGTのレストモッドモデル、GTヴェローチェ レストモッドを発表!現時点の全情報をお届け。
ハンブルグを拠点とするスポーツカーのスペシャリストである、エミリア オート(Emilia Auto)は、レストモッド事業に参入する。
その第一弾は、「アルファロメオ ジュリアGTベルトーネ」に、現行モデルの「ジュリアQV」の最新技術を搭載した、「エミリアGTヴェローチェ レストモッド」だ。
生産台数はわずか22台という限定モデルだ。
このプロジェクトは、「ルーフCTR3」などの開発に携わった、ベルリンのヴェラ パフォーマンス(Vela Performance)社と共同で進められる。
ベースとなるのは、「アルファ ベルトーネ」の名で親しまれている、「アルファロメオ ジュリアGT」だ。
レストモッドにふさわしく、クラシックな外観はほぼ維持されているが、シャシーや技術は根本的に最新のものに見直されている。
レストモッドとは、restoreとmodifyを足した造語。クラシックカーに、現代的なパワートレインや快適な機能を搭載したものと言ってよいだろう。
今や、ポルシェのスペシャリストであるシンガー(Singer)、メルセデスの名門である、メカトロニック(Mechatronik)、そしてオートモビル アモス(Automobili Amos)のような新参者まで、自動車の伝説をリメイクしようとするブランドは数多く存在する。
エミリアGTヴェローチェ レストモッド概要:
● アルファロメオ ジュリアGTをベースにしたレストモッド
● 現行アルファロメオ ジュリアQVのエンジンとトランスミッション搭載
● 最高出力: 510馬力、最大トルク: 600Nm
● ZF製8速オートマチックトランスミッション
● 後輪駆動とリミテッドスリップデフ
● わずか1,250キロの軽量化
● 完全にカスタマイズ可能
● 22台の限定生産シリーズを予定
● 最初の車両は2022年に納入可能
● 価格は約40万ユーロ(約5,200万円)から
イタリアのベンチャー企業が6,000時間を費やしてデザインした、「アルファ ジュリアGTジュニア」をベースにした、フル電動レストアモデル、「トーテム ジュリアGTエレクトリック」のことを、当サイトで紹介したのは、それほど昔のことではない。
一方、「エミリアGTヴェローチェ レストモッド」は、まだ完成しておらず、今のところレンダリング画像しかない。
すべてが順調に進めば、最初の「GTヴェローチェ レストモッド」は、2022年の第2四半期に完成する予定だ。
エミリアGTヴェローチェに搭載される510psの2.9リッター6気筒エンジン
エミリアオートのアプローチは、トーテム アウトモビリとは、まったく異なるものだと、エミリアオートの創業者兼マネージングディレクターである、ラルフ-ヘンドリック シュタインキュラーは説明する。
「私たちは、多くの潜在的なお客様が、クラシックカーに魅力を感じていることに気づきました。しかし、その弱点を処理することに関しては、以前ほど寛容ではありません。そのため、多くの美しい車はコレクションに消え、ほとんど動くことがありません。一方で、多くの人が実際に日々乗れるような、情緒や本質へのこだわり、コンパクトなサイズ、昔のスポーツカーに見られるクラシックなデザインを懐かしんでいます。それが私たちのレストモッドプロジェクトの出発点でした」。
エモーショナルさに欠けるため、電動モーターを搭載することは問題外だった。
その代わりに、車重が1,250kgしかない「GTヴェローチェ」には、V6ツインターボを搭載することになった。それはフェラーリの遺伝子を受け継いだエンジンだ。
つまり、現在販売中の「アルファロメオ ジュリアQV」に搭載されている、2.9リッターV6ツインターボが、新たにモデル化されたボンネットの中に入るということだ。
出力は510馬力、600Nmと、ジュリアGTに搭載されていたエンジンの4倍以上になる。
さらに、「クアドリフォリオ ヴェルデ(QV)」に搭載されているZF製8速オートマチックも、そのままこのクラシックカーに移植される。
しかし、駆動系の移植作業などはまだ始まったばかりだ。
KW製コイルオーバーサスペンションを装着したジュリア・レストモッド
「レストモッド」は、オリジナルの「アルファロメオ ジュリアGT」をベースにしているが、その強大なパワーを安全に道路に伝えるためには、足回り全体を再構築する必要がある。
そのため、シャシーが新開発されたことは驚くに値しない。
フロントにダブルウィッシュボーン、リアにマルチリンクを採用した独立懸架式サスペンションに加え、電子制御式リミテッドスリップデフ、アダプティブパワーステアリングを採用している。
シャシー側では、エミリアはKW社製のコイルオーバーサスペンションが組まれ、ABSとトラクションコントロールも標準装備されているという。
クラシックなアルファのデザインにモダンな要素をプラス
ボディのデザインには、クラシックなプロポーションと形状を維持しながら、現代的な要素を慎重に取り入れなければならないという、デリケートなバランス感覚が求められる。
レンダリング画像によれば、「GTヴェローチェ」ではこれが達成されており、「アルファロメオ ジュリアGT」であることは明らかだ。
ボディは慎重に修正され、幅が広げられただけだが、一部はカーボンで作られている。
その好例が、全幅に大きなスリットが入った、彫刻のようなボンネットだ。
この改造は、2.9リッターの大型V6ツインターボを搭載するために必要なものだった。
ヘッドライトとテールライトには、最新のLED技術が採用されており、センターデュアルエグゾーストとそれにマッチしたディフューザー、そしてクラシックな雰囲気の大径19インチホイールも装備されている。
レカロ製バケットシートを採用したインテリア
現段階では、インテリアの図面は1枚しかない。
ここにも慎重に作業が進められていることが見て取れる。
基本的なレイアウトにはできるだけ手を加えず、「ジュリアQV」から受け継いだ、デザインの計器類は、よく見ないとレストモッドモデルだとわからないほどだ。
その他は、ウッドとレザーで統一されている。
しかし、エミリアは、「GTヴェローチェ」に、オートマチッククライメートコントロール、パワーウィンドウ、最新のインフォテイメントなどの快適装備を搭載し、それらすべてをコックピットに愛情を込めて統合している。
一方で、スポーティさも失われてはならない。
そのため、ドライバーと助手席には早くても、2022年には、レカロ製のバケットシートが採用され、リアシートは省かれる。
また、購入客の要望にも応じるようで、さらに個性的な「GTヴェローチェ」が完成する。
エミリアGTヴェローチェ レストモッドの本体価格は約40万ユーロ(約5,200万円)
ただし、「レストモッド」は、まだコンピューターグラフィックスによるレンダリングに過ぎないため、登場まではしばらく時間がかかる。
最初の走行可能なモデルの完成は、2022年の第2四半期を予定している。
すべてが順調に進めば、予定されている22台の顧客用車両のうち、最初の1台は同年中に納車される可能性がある。
本体価格は、グロスで40万ユーロ(約5,200万円)程度になると予想され、「エミリアGTヴェローチェ」は、43万ユーロ(約5,600万円)から発売される、電気自動車「トーテム ジュリアGTエレクトリック」よりも安くなる。
つまり、購入を考えている人は、内燃機関モデルかEVか、という選択を迫られることになる。
いずれにしろ、どちらも高価なレストモッドのアルファロメオである。実車はちょっと見てみたいものの、購入することは不可能だ。
でももとのデザインが優れ、クルマそのものに魅力があるからこそ成り立つ企画だし、これからもまだまだこの流れは続くだろう。あなたがレストモッドになって戻って来て欲しいと思うの自動車は、どれだろうか?
Text: Jan Götze
加筆: 大林晃平
Photo: Emilia Auto