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新型フィアット500登場!なんとEVのみ

2020年3月8日

フィアット500 (2020): 価格、EV、変更点、市場ローンチ時期、モデルレンジ、バッテリー、クイックチャージ

マジか…。
ショック…。
新型フィアット500はEVとしてのみ生産され販売される。
そのことは、現時点でという限定条件つきと思いたいが…。

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新しい500は時代に即したインフォテインメントとパートタイム的な自律運転システムをも備えた、完全電気自動車である。ガソリンエンジン仕様はもちろん、プラグインハイブリッドでもなく、あくまでも、しつこいようだが、完全EV仕様のみとなった。
そのことが良いのか、悪いのか、いきなりな現実で、ちょっとまだ判断ができないのが事実である。

13年間の生産の後、2020年に新しい世代のフィアット500が開始される。新しいプラットフォームが用意され、再度言うが完全電気のみで走行する。ちょっとだけ安心できる話題ではあるが、この新しいEバージョンと並行して、従来までの普通のガソリンエンジンを搭載した「クラシック」500の生産も継続される。いうまでもなく、それは、今までと同じ、従来型のチンクエチェントであり、このボディを持ったものでもない。今まで通りの、街にたくさん走っている、あのチンクエチェントのこと、である。

一方、この新しいエレクトリック500の市場投入は2020年夏に予定されており、価格は約30,000ユーロ(約375万円)からとのことだ。この価格は電気自動車としては、やむを得ない価格だとはいえ、従来までのチンクエチェントの価格と比較すると思い切り高価になったのは言うまでもないし、この価格だと一般的な人が気軽に購入するには難しいことも事実である。パンダと並んでフィアットの庶民的な自動車であったはずのチンクエチェントが、いきなり3万ユーロ(約375万円)になるとは誰もが思ってもいなかっただろうし、この価格を聞いて購入リストから真っ先にはずす人も出てくるのではないだろうか。
一部の裕福な層からは、プレミアムな価値のある自動車として購入されるかもしれないが、正直言って大ヒットになるかというと、それはかなり怪しいのではないか、と思ってしまう。

モダンになったと同時に質感も上がったように見受けられるスタイリング。くどいようだが、これで完全EV以外のモデルもあれば……

フロントにフィアットのロゴはもうない

新しい500はもちろん新しいデザイン要素をたくさんもち、一目で新しいモデルと認識されるが、いうまでもなくレトロな要素もたくさんあり、その姿かたちはまごうかたなき500である。たとえば、ヘッドライト部分も最初のフィアット500から受け継いだ丸いライトはさらにリデザインされ、新しい表情となった(ちょっと艶っぽいまなざしである)。またボンネット形状も大幅に変更された。EVモデルだから言うまでもなくラジエーターグリルは必要ないが、注目すべきはフロントグリル部に存在したフィアットのロゴがまったくなくなり、それにとって代わるように、中央に部分にデザインされた「500」のロゴだけがつくようになった。
このことが500はEVだけということを意味し暗示するのか、よくわからないが、フィアットの恰好の良いエンブレムがあっさりと捨て去られてしまったことにも違和感と、寂しさを感じる人も多いのではないだろうか。

ボディの側面を見ると新しい500が従来までのモデルよりもフラットに設計されていることがわかるし、ドアハンドルも本体に埋め込まれるような形となった。これは空力などを考慮したものであるのかもしれない。リヤデザインも従来までよりもすっきりとした印象だし、それを洗練と考えるのであれば間違えではないだろう。そして全体を通してみても、今回の500もチンクエチェント以外のなにものでもないことは明らかな形である。

従来までのモデルよりもはるかに上質で作りのよさそうな内装。中央の10.25インチの大型ディスプレイやその周囲の造形など、かつてのフィアットを知る身としては驚くよりひかない。もはやシフトレバーもセレクターも存在せず、おそらくセンターコンソールのボタンがその役目を果たすのであろう。FIATのロゴをそのまま生かしたシートのエンボス加工はなんともおしゃれだし、ステアリングの色と形も、上質そのものだ。まあ3万ユーロ(約375万円)カーなのだからこれくらい上質な内装でなければ説得力にかけることも事実ではあるが。
従来のチンクエチェントと似たような形状のメーターナセルの中はデジタルのスピードメーターとなっている。

幌の生地にも「FIAT」のロゴがちりばめられている。(最初の500台のみの特別装備)。リアにも従来までのエンブレムがないことに注意。

500にも様々なエレクトロニックデバイス搭載

EVフィアット500には3つの運転モードが備わる。「通常」モードでは、通常の燃焼エンジンのように運転することができるが、「ワンペダルモード」では(日産eパワーのように)、アクセルペダルだけで車をほぼ完全にコントロールすることができ、ブレーキが必要なのは、車を完全に停止させる時だけである。 「シェルパ」モードは、エネルギー(つまり電気)を最大限の有効に使用し、航続距離を延ばすために、車の最高速度を80km/hまでに制限し、アクセルペダルの応答も加速を制限した緩やかなものとなる。さらにエアコンやシートヒーターなどの電気消費が多いものも自動的にオフになってしまうが、その部分だけは自分でONに復帰させることもできるという。(車に乗って寒いのも、暑いのもさすがに嫌だし、やせ我慢などしてしまっては安全にかかわることだから)
また新しいフィアット500は時代に即してアダプティブクルーズコントロールを(やっと)備えたし、他にもこのシステムは、車線維持アシスタント、標識を認識するスピードアシスタント、ミラー内部の死角アシスタント、疲労警告などを備えているし、360度カメラシステムも装備された。まあこういった装備は、今日では他のクルマにも搭載されているのでチンクエチェントだけの特別な装備ではないが、今までのチンクエチェントはまったくの丸腰だったことを考えれば、かなり進歩した装備内容となっている。

この500「ラプリマ」は、コンバーチブル(従来までの500C)のみで37,900ユーロ(約473万円)。この最初の500台はファーストエディションのみの特別仕様である。

市場投入時には、「ラプリマ」と呼ばれ、コンバーチブルとしてのみ提供されるファーストエディションがある。このスペシャル500には、グレーメタリック、オーシャングリーン、スカイブルーの3色設定された。また、ウィンドー上のクロムインサートとクロムトリムも特別装備となる。

国ごとに最初の500台の車両には、シリアル番号とデリバリーされる国を示すステッカーが装備され、フィアットモノグラムの付いた特別な生地の屋根が目を引く。ブレーキアシスタント、車線逸脱警告システム、リバースカメラ、速度制御システム、ハイビームアシスタントなどのアシスタントも標準装備されているフィアット500「ラプリマ」は現在オンラインで予約ができ、価格は37,900ユーロ(約473万円)。チンクエチェントが500万円の時代かと考えると、複雑な気持ちになる。そしていつの日か、このEVのみの500に、ハイブリッド、あるいは普通の内燃機関のエンジン仕様が追加され、2万ユーロ(250万円)以下で販売されることはないのであろうか。
ボディのデザイン(特にフロントのボンネット部分の長さなど)を見る限り、ツインエアのエンジンであれば楽勝で乗せられるような気がするのだが…。

アプリで遠隔操作も可能

e-プラットフォームのFiat 500は、新しいUconnect 5インフォテインメントシステムを搭載したブランドの最初のモデルとなる。Apple CarPlayとAndroid Auto対応で10.25インチのワイドスクリーンを介して操作することができる。
リアルタイムデータを利用し、たとえば、渋滞や天気をナビゲーションシステムに含めたり、近くの充電ステーションを表示したりできます。最大8台のデバイスにWi-Fiホットスポットを設定するために使用することもでき、Amazon Alexaに基づいた音声認識も可能となった。
さらに一部の機能とデータはスマートフォンからリモートアクセスもできる。このアプリを使用することで、バッテリーの充電状態を確認したり、自分の車両位置を見つけたり、タイヤの空気圧なども確認したりできる。またスマートフォンで車のロックを操作したり、ライトやエアコンを乗る前作動させたりすることもできる。まあいずれもこの手の(EV)クルマでは普通のことであり、特記する事項かと言われれば、それほどでもない感じはするが。

航続距離320 km

くどいようだが新しい500はEVバージョンのみだ。発表データでは出力118馬力、0~100km/hまでが9秒で、最高速度150km/hをマークするという。またEVで一番気になる航続距離はWLTPによるとバッテリーは42kwhの性能を持ち、320キロとのこと。最大85kWの急速充電システムが標準で搭載されているため、35分で80パーセントまでの充電が可能とのことである。

Text: Katharina Berndt
Photo: FCA Fiat Chrysler Automobiles