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【ひねもすのたりワゴン生活】コットンテントの誘惑 その9

2021年8月22日

アウトドアと無縁のゲストが続々とやってきた

空前のブームで、各地のキャンプ場はカラフルなテントで埋め尽くされています。そのほとんどは軽くて強靭な最新素材ですが、コットンの魅力に惹かれる人々も…。私もそのひとりで、十代の半ばに出会って50年近く…今も、この少し手間のかかるパートナーをクルマに積み込んで、至福のひとときを過ごしています。

 しかし、しばらくすると、明らかに毛色の違う人々が姿を見せ始めた。立ち居振る舞いや会話から、六本木に“遊びに”来た人々であることは明白だった。
 たまたまミッドタウンにやって来て、たまたま目に入ったのが、テントやタープ、さまざまなブース、賑やかなステージ……。
 “なんだろう?このお祭り騒ぎ”と、興味をそそられた面々だ。若いカップルや女性のグループなど、アウトドア“っぽくない人々”が続々とやってきたのである。近所のマンションから散歩で通りかかった家族連れもいた。
 そして、立ち並ぶシステマチックな最新式のテントに目を見張り、キャンプグッズの便利さやそこに込められたさまざまな工夫に驚きの声をあげた。ステージのライブに立ち止まる若者もいれば、野外のバーで供されるカクテルやビールを片手にBBQを頬張るカップルもいた。さまざまなワークショップは大賑わいで笑い声が続いた。
 初日の昼過ぎには、予想をはるかに超える賑わいとなり、場内はすれ違うのも大変なほどの混雑となった。切れ間なく訪れるゲストへの対応にスタッフも嬉しい悲鳴を上げる。私もトイレに行くことさえままならない状態で、気がつけば声が枯れ始めていた。

1年目の経験をもとに、2014年にはさらに凝ったセッティングに…

 我がブースは、入口ゲートから進むと最初のスペース。オアシスをセットした脇に、ウッドと帆布のクラシックなディレクターチェアをふたつ置いた。テントの中には、カーペットのような柄付きのシートを敷き、コットをふたつ。籐製のドレッサーや、釣竿を立てかけるロッドスタンド、ライティングデスクとチェアを配した。初年は、テントのみの展示だったけれど、その手ごたえから翌年にはタープを添え、テーブルとチェア、大型のキッチンやウォータージャグ、クーラー、オーブンなどでダイニングスペースを作った。鍋は、ウイリアムズソノマのホーロー鍋や、銅製のいわゆる赤鍋を並べ、西麻布のシェフからもらった巨大な鉄のフライパンを立てかける。籐で編んだバスケットも並べた。

帆布と木のフレームのディレクターチェアから、より寛げる大型のものに変更…チェックのクラシックなウールのラグを合わせた
籐のドレッサーは長期の滞在にもってこいだ
こんな空間を六本木のビル風が吹き抜けていく

 テーブルクロスを敷いた卓上には4人分のディナーセットとカトラリー、グラス、スパイス&ソルトなど…。そして、脇にもうひとつテーブルを置き、和洋酒を数種類とグラス、小皿などを配してミニバーの雰囲気を作った。
 軽量&コンパクトを良しとするアウトドアグッズとは正反対の世界だ (笑)。でも、ある意味、フォトジェニックな雰囲気を漂わせたのには目論見があって、アウトドアに興味がないゲストに足を留めてもらうための一策でもあったのである。とはいっても、創作ということではなくて、これまで実際に使ってきた道具ばかり。私のキャンプの世界観を生み出してくれたパートナーたちで、その組み合わせや見せ方にちょっと演出を加えたということだ。

テントの脇にダイニングスパース。疲れた来場者はここで寛いだ
ミニバーも好評。夜にランタンの光に照らされると、たまらない雰囲気になる
いろいろな体験型コンテンツが好評だった
子どもたちを喜ばせるこんなおもてなしもあって、家族連れが年々増えていった

【筆者の紹介】
三浦 修
BXやXMのワゴンを乗り継いで、現在はEクラスのワゴンをパートナーに、晴耕雨読なぐうたら生活。月刊誌編集長を経て、編集執筆や企画で糊口をしのぐ典型的活字中毒者。

【ひねもすのたりワゴン生活】
旅、キャンプ、釣り、果樹園…相棒のステーションワゴンとのんびり暮らすあれやこれやを綴ったエッセイ。