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M3ストーリー BMW M部門の生み出したアイコンモデルの6世代を写真とともに振り返る

2021年8月20日

BMW M3 そのアイコンスポーツモデルの歴史。

M3はほとんどが直列6気筒であったが、例外もある。初代モデルのE30は4気筒で、E90シリーズでは、V8を搭載したM3も登場した。6世代のBMW M3を順に取り上げる。

36年前の1985年に生まれた最初の量産型「M3」の物語は、今日の多くの伝説的な自動車の物語と似ていて、レースのDNAを持っている。
実際には、BMWはレースシリーズのためのホモロゲーションモデルを作るだけでよかったのだが、このスポーティなドライバーズカーは、事実上、顧客たちがミュンヘンのメーカーの手から奪い取ったものである。
その結果、当初の予定よりも多くの台数が生産されることになったのだった。

スポーツドライバーの本能を呼び覚ますM3

初代の「M3」が、ノーマルの「E30」と比較して、印象的なのは基本的なデザインの変更点だ。
ワイドなホイールアーチは、より幅広いトレッドのためのスペースを生み出し、リアエンドは風の抵抗を改善するために完全に再設計されている。
フロントガラスはよりフラットになり、Cピラーは覆われ、GRP製のトランクリッドは空気の流れを良くするために高い位置に配置されている。
走ってみると、「E30」はすぐにスポーツドライバーの本能をくすぐる。
パイロットにそっとささやくように、「私は軽くて、軽快です。コーナーに放り込んでください」。
そして、その通りになった。
ステアリングの指示に、フロントアクスルがダイレクトに反応するのが素晴らしい。
ボディロールはほとんどなく、リアエンドはゆったりとしていながらしっかりと収まっている。
しかし、当時は珍しくなかった5速トランスミッションのレーシング仕様は、慣れるまでに何度か試してみる必要があった。

初代: 第1世代のBMW M3は、192馬力という比較的スリムな出力でも、まだ何とかなっていたのである。

5速のミッションは、1速が左下にあり、1.2トンの軽さで195馬力を出す。
その後、2.3リッターではなく、2.5リッターの排気量を持つ「スポーツエディション」が600台限定で発売された。

以下、全6世代の「BMW M3」の詳細を、フォトギャラリーとともにご紹介する。

6気筒神話: 直列6気筒のルールには2つの例外があった。初代「E30」モデルは4本のシリンダーに頼っていたし、「E90」シリーズではV8モデルが登場した。
最初の量産型「M3」の物語は、今日の多くの伝説的な自動車の物語と似ている。実際には、BMWはレースシリーズのためのホモロゲーションモデルを作るだけでよかったのだが、顧客たちは事実上、このスポーティなドライバーズカーをミュンヘンの会社の手から奪い取ったのである。そしてアイコンモデルの「M3」は誕生したのだった。
ノーマルの「E30」と比較した基本デザインの変更点は印象的で、ワイドなホイールアーチでトラックのスペースを確保し、リアエンドは風の抵抗を改善するために完全に再設計されている。ウィンドシールドはフラットになり、Cピラーは覆われ、GRP製のリアリッドは空気の流れを良くするために高い位置に配置されている。
ステアリングの指示にフロントアクスルがダイレクトに反応し、ボディロールがほとんどなく、リアエンドがゆったりとしながらもしっかりと収まっているのが素晴らしい。当時としては珍しくなかった5速トランスミッションのレーシング構成は、慣れるまでに数回のトライが必要だった。
我々の試乗したモデルは、1.2トンのライトウェイトボディから195馬力を発揮する。2.3リッターではなく、2.5リッターの「スポーツエボリューション」のスペシャルモデルは、600台限定で発売された。魅了的なエンジンその1である。
「E30」の後継モデルである「E36」は、評判が悪かった。その評価は完全に不当である。なぜなら、非難されたのは主に「318i」と「320i」だったからだ。トップモデルはもっと完成したスポーツモデルだった。「E36」は、世間から認知されていない「M3」の中では、もしかしたら最も洗練されたモデルだったかもしれない。なぜなら「M3 E36」は、近代化への移行の先駆けとなったクルマだからである。ヘッドライトをパネルの後ろに配した丸みを帯びたボディは飛躍的であり、当初は286馬力、後に321馬力まで高められた、3リッター直列6気筒と可変カムシャフト制御は、革新的なシステムであった。
カッコいいエンジンその2: 写真のような(現代のようなつまらないカバーがされていない)エンジンルームの様子が懐かしい。クルマ少年たちが感動し、憧れた、カッコいいエンジンの姿とはこういうものだった。
路上では、「M3 E36」は、音響的にも、パワーデリバリーの面でも、比較的敬虔である。
その一世代後の「E46」は、時代に合わせたモダンクラシックな走りを実現した。シャシーは相変わらずしっかりしていつぃ、マニュアルトランスミッションは幻想的なほどキビキビしていた。
「E46」は、ボアを最小限に拡大したとはいえ、3.2リッターをベースにしていた。パワー面では、2本のオーバーヘッドカムシャフトを備えた自然吸気エンジンが343馬力にパワーアップした。エンジンが徐々にカバーされはじめていることに注意。
0-100加速5.2秒、最後の俊足「M3」であり、高回転型の直列6気筒は、8,000回転までのツーリングを快調にこなし、4本のパイプシステムを介して、「E30」とほぼ同様の美しい鈴のようなサウンドを奏でる。
その次の世代、「E90」で「M3」のトーンは激変し、技術的には現代の「M5」の5リッターV10と密接な関係にある、4本のオーバーヘッドカムシャフトを持つ4リッター自然吸気V8を採用した。
ショートストロークでありながら420馬力を発揮し、「M3」の特性を覆している。もはや軽量化と俊敏性はないが、それはエンジンの問題ではなかった。直列6気筒と比べても、その差はそれほど大きくなかった。もはやエンジンの大半がカバーされている。
加えて、ルーフはカーボンファイバー製、ボンネットはアルミ製であった。とはいえ、技術や装備が増えたことで、重量は約1.7トンにまで増加した。
しかし、先代モデルとの共通点は、高回転型のコンセプトだ。フルパワーは8300rpmで初めて発揮される。ビジュアル的には、ワイドなホイールアーチと、V8の上にシーツをかぶせて下に伸ばしたようなパワードームが印象的だ。
そのまた1世代後、「BMW M3」はついに直6に戻ったが、ターボモデルとなり、自然吸気エンジンのコンセプトは放棄せざるを得なかった。V8が達成したパフォーマンスの次元を超えるためには、ターボに頼る以外に他に方法がなかったのである。
その結果、比較的調和のとれたツインターボチャージングを採用した「S55」エンジンが誕生し、最高出力は431馬力に達した。
ドライビングダイナミクスの面でも、「M3」は大きく前進した。先代モデルよりも軽量で、剛性が大幅に向上した「F80」は、権威あるハンドリングを実現している。新しいリミテッドスリップディファレンシャルをリアアクスルに採用し、トラクションを最適化した。
また、スロットルレスポンス、ステアリング特性、ダンパーの設定を3段階で調整できるようにもなり、リアのセルフステアリングやフロントアクスルのエイペックスイーターなど、コーナリングの才能は素晴らしいものがある。
そして新世代(G80)は? さらなる進化を遂げた510馬力ものパワーを持ち、初期テストでは、すでにその走りが実証されている。しかし、まずは歴史的に豊かな祖先たちの尊敬を、これから徐々に得られるように発展していかなければならない。

「BMW M3」もこうしてみると、かなりの変遷をたどったということがわかる。
簡単にいえば、モデルが変わるたびに高性能になり、タイアの扁平率があがり、装備も豪華になって、電子デバイスの力で、だれもが高性能を発揮できるようになった。それはどの車でも同じじゃないか、と言われればそれまでではあるが、「M3」の場合は特に高性能な自動車であるために、パワーや速さに磨きがかかる度合いは一般的な車よりもさらに強い。
ボディももちろん大きくなっているし、内装やエンジンのお化粧なども年々進化しているといえよう。それを進化ととるべきか、スポーツカーとしたら堕落ととらえるかはその人次第ではあるが、この先「M3」がどんな発展を遂げるか、それが一番興味のある部分だ。
さてこの中からあなたなら、どの世代のM3を選ぶだろうか?

Text: Alexander Bernt
加筆: 大林晃平
Photo: Lena Willgalis / AUTO BILD