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初テスト 新型メルセデスCクラス ディーゼルモデルに初試乗 その性能と評価は?

2021年6月25日

新世代Cクラスでは、さらに大型のSクラスに近づいた。我々は、このシュトゥットガルトからの新しいミッドサイズカーをドライブした。全レポート!

これまでは、高級車の革新的な技術が、庶民の生活に浸透するまでに、数年を要していた。
しかし、メルセデスは、新型「Sクラス」が市場に投入されてからわずか数ヵ月後に、第2世代の「MBUX(メルセデスベンツユーザーエキスペリエンス)」システムを含む、新しいオペレーティングコンセプトを採用した、「Cクラス(W206)」をすでに発売している。

これにより、例えばボイスコントロールでは、さまざまなことが可能になっている。
複数のコマンドを使用することで、たとえコマンド間に短い休止時間が必要であっても、音声コントロールがより進化したものになっている。
加えて、新しく、パーソナルプロファイル」システムを、指紋(セントラルスクリーン下のセンサー)、または音声で車に読み込むことができるようになっている。
これは、自分の車だけでなく、新しい「MBUX」を搭載したレンタカーなどでも利用できる機能だ。

また、ステーションワゴンとセダンには、プラグインハイブリッド仕様なども用意されている。

自発的にアピールするメルセデス C300d

今回の「Cクラス」の場合、エンターテインメントシステムについての説明で埋め尽くされそうだ。
しかし、ここからは、多くの人にとって最も重要であると思われるドライビングについて説明する。
試乗車は「300d 4MATIC(オプションのリアアクスルステアリング付)だ。
パワートレインは最新世代のディーゼルで、先代モデルのパワーユニットをベースにしているが、クランクシャフトが変更され、ストロークが若干長くなっている(1,950から1,993立方センチメートルに変更)。
2基のターボチャージャーを搭載しているだけでなく、ディーゼルは独自のレスポンスをも追求している。
また、他の非プラグインエンジンと同様に、全体が48ボルト技術によるマイルドハイブリッドとして設計されている。
9速オートマチックトランスミッションには、スタータージェネレーターが組み込まれており、必要に応じて265馬力のディーゼルに、さらに20馬力の出力を加える。
実際には、絹のように滑らかなエンジンスタートと、あらゆる状況で十分すぎるほどのパワーが得られ、約束された250km/hの最高速度も達成することが十分できる。
また、それほど重要ではないかもしれないが、本当に驚くべきことに、4000rpmを超えると、エンジンはディーゼルらしさをまったく感じさせず、リミッターまで軽快に回転する。
振動や周囲の騒音は問題ないが、これが4気筒の圧縮着火エンジンであることは、はっきりと聞こえる。
燃費表示を見てもそのことがよくわかる。
リッターあたり14.2kmという数値は、ドライビングスタイル、重量、全輪駆動、そしてパフォーマンスを考慮すると素晴らしいものと言える。

エステートは、荷室の広さに加え、後席のヘッドルームも広くなっている。

エアサスペンションは新型Cクラスのオプション設定にない

より高速重視の移動であれば、リッターあたり16km以上も可能だろう。
また、新型「Cクラス」は、新しいシャシーのおかげで、快適性の面でも多くのポイントを獲得している。
コンフォートモードでは、ボディがまるで吸水性のある綿に包まれているかのように感じられ、先代モデルではオプションだったエアサスペンションを彷彿とさせる(プラグインハイブリッド車のリアアクスルにのみエアサスペンションは標準装備)。
非常にソフトな基本設定は、高速道路での高速走行時には少し揺らぎを感じるものの、まったく問題はない。
スポーツ設定にすると、再びしっかりとしたグリップが得られ快適さを失うことなく、よりしっかりと減衰する。
深い段差がある場合にのみ、スプリングの吸収能力が、先代モデルではオプションで用意されていた旧型のエアマチックには及ばないことがわかる。

メルセデスの全輪操舵(オールホイールステアリング)は購入を推奨
調整可能なサスペンションに加えて、全輪操舵も明らかにお勧めだ。
これにより、ベンツのステアリング比が、よりダイレクトになり、高速走行時(60km/h付近から)には、フロントアクスルと平行に操舵するリアアクスルが方向安定性を確保する。
ステアリングリアアクスルがなければ、このようなダイレクトなレシオは、高速では不快なほどシャープに感じられる。
全体的に、このシステムは人工的な感じがせず、高速コーナーの切り分けをアシストしてくれる。
さらに「Cクラス」の全長は4.75メートルだが、非常に扱いやすい。
ステアリングホイールの回転数は2.1回、回転円はわずか10.6メートルだ。

しかし、この長さを考えると、後部座席がやや窮屈になってしまうのは少々残念だ。
足のためには、スペースは十分にあるが、傾斜したルーフのためにヘッドルームが狭くなっているのだ。
だから、「Eクラス」のほうが、やはりリアシートに座るには適している。
しかし、新型「Cクラス」のステーションワゴンは、そのルーフデザインのおかげで、頭上は少し風通しがよくなっている。
また、プラグインハイブリッド車にも少しだけ乗らせてもらった。
当面はガソリンエンジンとの組み合わせのみだが、近々、ディーゼルのプラグインハイブリッドモデルも登場する予定だ。
トランスミッションに組み込まれた電動モーターだけで129馬力、440Nmを発生し、4気筒で200馬力を発揮する。
アクセルペダルの明確な抵抗は、ガソリンエンジンが救いの手を差し伸べる出力レベルを明確に示している。日常的な運転では、電動モーターだけで十分なパワーを発揮することもよくわかる。

コックピットはSクラスを強く意識したものになっている。そして、センタースクリーンはややドライバー側に傾いている。

プラグインハイブリッドモデルはバッテリーの関係で面倒になし

しかし、プラグインハイブリッドモデルの場合、トランク内の25.4kWhのバッテリーの重量が約200kgもあり、運転しているとそれを実感することになる。
したがって、ダイナミックな走りが好きな人には、マイルドハイブリッド車をお勧めする。
そんな新型「Cクラス」の価格は、すでに、十分高い。
エントリーレベルのエンジン(C180、170馬力)を搭載した小型「Sクラス」のセダンとしての価格は、少なくとも41,138ユーロ(約550万円)からとなる。
気休めになるかどうかはわからないが、本物の「Sクラス」はその2倍以上の価格だ。

結論:
新型「Cクラス」は、「Sクラス」のハンドリング、快適性、リアアクスルステアリングによる卓越した操作性で楽しませてくれる。
これでもミッドレンジなのか?
だがかなり高価な値段については同意しない。

日本への導入も待ち望まれる新型「Cクラス」。今回の評でも記されている通り、ミニ「Sクラス」ともいえるような内容の一台である。相変わらず多種多様なパワートレインア用意されているし、セダンとワゴンという定番のボディ構成で、まずは登場してきた。
今回のテストでは「高価なこと」がマイナス要因として記されているが、ライバルの「BMW 3シリーズ」や「アウディA4」の価格も今や決して安いわけではないし、「Cクラス」の需要というのは、いつの時代にも必ず多くあるため、ある程度の価格上昇はあまり販売に影響を与えないのではないかと思う。
タッチスイッチと音声コントロール多用のダッシュボードや、今回のテストでは高評価であった乗り心地などは実際に乗ってみないと何とも言えない。日本へのパワートレインにどんなスペックのものが選ばれるのかはまだ不明ではあるが、ガソリン(ハイブリッド)と、ディーゼルエンジンは必ず導入されるであろう。プラグインハイブリッドモデルも可能性は高いとも思うが、日本の環境では、プラグインハイブリッドモデルは決して使いやすいとはいえないし、価格もかなり高価にならざるをえないため、販売台数も限られるのではないだろうか。
とにかく今年一番の注目株ともいえる「Cクラス」。導入の暁にはぜひ実際に試乗してレポートしてみたいものである。

Text: Stefan Novitski
加筆: 大林晃平
Photo: Daimler AG