このクルマなんぼ? トラブルフリーエブリデイクラシック VWゴルフ1カブリオ 果たしてその値段は?
2021年6月7日
VWゴルフ1カブリオがトラブルの少ない、日常的なクラシックカーである理由とは。
VWゴルフ1カブリオは、夏のシーズンに向けて、メンテナンスの少ないファンカーとして適している。以下に、「ストロベリーバスケット(ゴルフ カブリオの愛称)」を購入する際のポイントをリストアップする。
コンバーチブルがまだヒップなクルマだった80年代、星降る夜空の下で、手頃なスターだったのが「ストロベリーバスケット」だ。
初代「VWゴルフ カブリオ」は言うまでもなくゴルフ1のことであり、1993年まで、オスナブリュックのオープンカー専門メーカーであるカルマン社によって、ほとんど変わらずに生産されていた。
最後のモデルには右ハンドル用のエアバッグが搭載されていたが、これは厳しくなる一方の安全規制に対応するために後付けされたものである。
それ以外の部分はデビュー当時そのままだった。
結局、「VWゴルフ1カブリオ」は1993年まで生産された。
その約15年間の生産期間中、マイナーチェンジやメジャーチェンジが何度も行われたが、「ゴルフ カブリオ」の外観にはほとんど影響を与えなかった。
最大の違いは1988年のモデルチェンジで、オープントップのオスナブリュックにプラスチックのバンパーが装着され、よりモダンな印象になったことだ。
また、パワートレインも世代によって異なっていた。
あまりにもスリムな1600ccの4気筒(70/72ps)を皮切りに、最終的には1.8リッター4気筒のみとなり、90、95、98馬力とさまざまな出力レベルが用意された。
この燃料噴射式エンジンは、1990年代に同じ排気量で112馬力と107馬力、後には16バルブエンジンとして129馬力を発揮した「ゴルフGTI」から最終的に派生したものである。
少なくとも「VWゴルフ1」のファンは、マニュアルシフトにするか、オートマチックトランスミッションにするかを選ぶことができたのである。
ゴルフ1カブリオのロールバーは、安全のための装備だった
ある人にとっては絶対的なドリームカーであり、またある人にとっては、1979年に技術的に枯渇していた「VWビートル カブリオ」に代わって登場した、ロールバーが特徴的な4人乗りのエントリーモデル「ゴルフ カブリオ」を嘲笑する声もあった。
確かに、「ゴルフ カブリオ」に「ストロベリーバスケット」というニックネームを与えたロールバーは、決して美しいものとは言えなかった。
これは1980年代の新しい安全基準を満たすための唯一の手頃な方法だったのだ。
直接のライバルである「オペル カデット」や「フォード エスコート」も、「ゴルフ1カブリオ」に倣って、天気の良い日には、ぴったりとしたキャップの下に隠れていた黒いハンドルを見せていた。
ロールバーは、安全性を高めるだけでなく、実はもうひとつの利点があったのだ。
サイドウィンドウを下ろすと、適切な体力があれば、ロールバーをつかみ、ドアを閉めたまま車内に飛び込むことができるのだ。
ゴルフ1カブリオの特別仕様車は特に人気が高い
1980年代後半に行われた大規模なモデルチェンジまでは、快適性や利便性の装備はなんとかなるレベルだった。
しかし、アメリカ、南ヨーロッパ、オーストラリアなどの市場で高まる顧客の要求に応えるため、装備を徐々に増やしていった。
「ベルエア」、「アカプルコ2」、「クラシックライン」、「エティエンヌ アイグナー」などの特別仕様車には、ヒーター付きレザーシート、電動ファブリックルーフ、パワーウィンドウなどが装備されていた。
奇妙なことに、これらはフロントにしか装備されておらず、少ししか下げられないリアウィンドウは手動でクランクさせなければならなかったのだ。
「スポーツライン」モデルでは、布製の高級スポーツシートにパワーシートの高さ調節機能が付いていた。
また、ルーフのデザインも数種類あった。
これは、後の生産年に部分的に電動式のルーフを備えたモデルがあったことを指しているのではなく、製造年によってルーフのリンクが異なっていたのである。
初期の頃は、PVC製のルーフが車の後部に高く伸びて、後方の視界を遮っていたが、これは「VWビートル」とほぼ同じだった。
初期の頃は、「VWビートル」と同じように塩ビ製のルーフが後方に伸びて視界を遮っていた。
しかし、手動でもエンジンの力でも、折りたたまれたルーフは、安全上の理由から、開いたフックをターポリンカバーでいちいち覆わなければならなかった。
VWゴルフ1カブリオの購入で重要なのは、最大限のオリジナリティ
1993年に「ゴルフ3カブリオ」という個性的ではない後継車が登場したものの、「VWゴルフ1カブリオ」は、今日ではクラシックカーとして長く愛されている。
そしてこのモデルは今でも数多く市場に出回っている。
そんな中でも、価値が上がる可能性があるのは、走行距離が15万kmを大幅に下回り、適切な装備を備えた、非常によく整備された車両だけだ。
最後期モデルの「VWゴルフ1カブリオ クラシックライン」は、特に人気の高いカラーコンビネーションであるダークグリーンにベージュのルーフ、それに対応するレザーシートを装備しており、ダークブルーやダークレッドの同じ車両と同様に人気がある。
電動ルーフは絶対に必要というわけでもないと思う。
布製のルーフを手動で開けるよりも速くはないし、結局ターポリンカバーを手でかぶせなければならないからだ。
しかし、最大限のオリジナリティはとても重要だ。
ロールバーにローラーブラインドとして後付けされたウィンドディフレクターはかなり有効なものであり、それは当時オプションでも入手可能だった。
名車「ゴルフ カブリオ」の価格上昇中
1.8リッター、98馬力の4気筒燃料噴射式エンジンは、オープントップのゴルフを170km/hまでしか加速させられないが、このエンジンは事実上あまり壊れないと考えられており、「ゴルフ カブリオ」全体と同様、修理も容易である。
そしてその75馬力の4気筒は、幅広いトルクにより、運転していて気持ちがいい。
ベースとなっているのは、フロアパンが強化された純正の「ゴルフ1」だが、このモデルも、特に錆びやすいクルマとは考えられていない。
さらに塩ビ・ファブリック製のルーフも、シートカバーと同様に鞍替えが可能でパーツもあるため心配はあまりない。
1991年、1992年に製造された10万キロ前後の車両は、良好な状態であればすぐに1万5千から2万ユーロ(約200~268万円)になり、その傾向はますます強まっている。
「ヤングライン」、「ファッションライン」、「スポーツライン」など、装備の充実していないスペシャルモデルはかなり安い。
しかし、無事故で5万キロを超えていない最高の状態の初代モデルなら、驚くべきことに3万ユーロ(約400万円)以上するものもある。
この「ゴルフ1」のカブリオは、一時期、南仏で大人気だったという。確かにちょっとおしゃれで実用性もあり、気楽に毎日乗れるようなサンダルとかエスパドリーユのような存在だったのだろう。そして南仏に似合うドイツ車というのがミスマッチで素敵である。
日本でもこの「ゴルフ カブリオ」は結構な数が輸入され、高感度でお洒落な人間を中心に、なかなかの売れ行きを示していた。当時の価格は決して安くはなかったが、それがかえって良い方向に作用し、オープンカーという存在が希少だったこともあり、ちょっとリッチで洒落た自動車という貴重なポジションを獲得することができたのであろう。
そういう私も「ゴルフ カブリオ」の、バンパーが同色に塗られた最終モデルの購入を真面目に考えていた時期あったのだが、高価格とオープンカーという点がハードルになったことと、ワインレッドにするか深いグリーンにするかと、うだうだと迷っていたら完売してしまっていた、という思い出がある。
今、街で見ると、なんとも小柄でかわいい「フォルクスワーゲン ゴルフ カブリオ」。見かけるたびにあのころのことをちょっと思い出させる、そんな存在である。
Text: Stefan Grundhoff
加筆: 大林晃平
Photo: Roman Raetzke / AUTO BILD