1. ホーム
  2. ニュース
  3. メルセデス・ベンツが事故後の救助を早める新技術「レスキュー インテリジェンス」を公開 2027年から順次導入へ

メルセデス・ベンツが事故後の救助を早める新技術「レスキュー インテリジェンス」を公開 2027年から順次導入へ

2026年11月8日

重大な交通事故では、一秒を争う。メルセデス・ベンツが公開した「レスキュー インテリジェンス」は、乗員の人数やシートベルトの着用状況など、救助に欠かせない情報を、救助隊が現場に到着する前に車両から伝える新システムだ。

現代のクルマはますます安全になっている。高度な運転支援システムが事故を未然に防ぎ、万が一衝突した場合には、強固なボディ構造と数多くのエアバッグが乗員を守る。

それでも事故が起き、けが人が出たらどうなるのか。負傷者の状態に応じた処置を、できる限り早く受けられるようにすることが重要だ。そこで出番となるのが、メルセデス・ベンツの新技術である。

メルセデス車が救助隊に情報を送る

新システムの名は「メルセデス・ベンツ レスキュー インテリジェンス」。重大な事故が起きると、車両が重要な情報を、現場へ向かう消防や救急の隊員に直接送るという仕組みだ。

これにより救助隊は、現場に向かう途中で、車内に何人いるのか、どのエアバッグが展開したのか、乗員はシートベルトを着用していたのかを把握できるようになる。

事故が発生すると、乗員の人数やシートベルトの着用状況、展開したエアバッグなどの情報が救助機関に自動で送られる。

電気自動車(EV)では、このシステムがとりわけ威力を発揮しそうだ。車両側で取得できるデータに応じて、高電圧バッテリーの温度や高電圧システムの状態も伝えられる。救助隊は現場に潜む危険を早い段階で見極め、必要な救助機材を選べる。重傷者の救助では、そこで短縮できるわずかな時間が生死を分けることもある。

新型CLAを2台使った異例の衝突試験

この新技術は、異例の衝突試験で公開された。メルセデス・ベンツは、新型CLAを2台用意し、それぞれ時速56kmで走行させて衝突させた。ハイブリッド仕様の「CLA シューティングブレーク」が、電気自動車の「CLA」の運転席側に突っ込むというものだ。

両車とも重量は2トンを超える。側面から衝突された電気自動車のCLAには、とりわけ厳しい条件だ。側面衝突では、衝撃エネルギーを吸収するために使えるスペースが大幅に限られるからだ。

試験の結果、両車の乗員保護空間は保たれた。メルセデス・ベンツによると、使用した8体の衝突試験用ダミーすべてで、計測された負荷は人体への影響を評価する基準値を下回った。電気自動車のCLAの高電圧バッテリーにも損傷はなかった。

ハイブリッド仕様のCLA シューティングブレークが時速56kmで電気自動車のCLAの運転席側に衝突。EV側の高電圧バッテリーに損傷はなかった。

メルセデス・ベンツはこの試験で、レスキュー インテリジェンスの作動も初めて披露した。衝突時に乗員を守ることに加え、その後の救助活動まで支援するのが狙いだ。

2027年から市販モデルに順次導入予定

実際の救助現場で使われるまでには、もう少し時間がかかる。レスキュー インテリジェンスは、2027年から市販モデルに順次導入される予定だ。最初に搭載される車種やデータの送信方法、緊急通報を受ける指令センターに必要な設備については、まだ明らかにされていない。

救助隊が到着前に事故現場の状況を把握できれば、現場でより迅速かつ的確に動ける。事故が起きたその先まで考えると、レスキュー インテリジェンスは車両安全技術の重要な一翼を担うことになりそうだ。

Text:Sebastian Friemel
Photo:Mercedes-Benz AG