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HWA Evoは伝説的なメルセデス190 E 2.5-16 Evo IIへのオマージュではあるが全くの別物! 500馬力の“ベビーベンツ”が見せた強烈な走り

2026年10月29日

伝説のメルセデス・ベンツ 190 E 2.5-16 Evo IIへのオマージュとして誕生したHWA Evo。しかし、その走りはオリジナルとは大きく異なる。サーキットで実力を試した!

「ついに、また190に乗れるぞ」。高級車ディーラーでYouTubeでも人気のオミド ムアゼン(Omid Mouazzen)は、カメラに向かってそう語り、「HWA Evo」の助手席に収まった。だが、4点式ハーネスを締めた瞬間、これが普通の190ではないことが明らかになる。

「HWA Evo」と、約180万台が生産された“ベビーベンツ”との隔たりには、ただただ驚かされる。それを実感したのはオミドだけではない。「ゴールデンステアリングホイール賞」の審査会で、レーシングドライバーのルカ ルートヴィヒが駆るHWA Evoのプロトタイプ05に同乗し、ラウジッツリンクを駆け抜けた誰もが同じ思いだったはずだ。

そして今日は、伝説の「190 E 2.5-16 Evo II」へのオマージュである「HWA Evo」を、私自身が運転する。イグニッションキー? そんなものはない! センターコンソールのボタンを押してエンジンを始動する。アイドリング時の6気筒は、響きのある低音を奏でるが、耳障りではない。踏み応えのあるクラッチを踏み込み、1速に入れる。シフトストロークの長さには驚かされるが、考えてみれば、これもマニュアルのメルセデスらしい。少々アクセルをあおりすぎながら走り出した。

ゴールデンステアリングホイール賞で世代が顔をそろえた。レーシングドライバーのルカ ルートヴィッヒ(Luca Ludwig)はHWA Evoで同乗走行を担当。父でありDTMのレジェンドでもあるクラウス ルートヴィッヒ(Klaus Ludwig)は審査員として参加した。

オリジナルとの共通点は少ない

まずは「Evo」の感触をつかむため、慎重にペースを上げていく。しかし、最初のいくつかのコーナーを抜けただけで、はっきりした。走行ダイナミクスという点で、このHWAにはオリジナルとの共通点があまりない。

いつも黒である必要はない。「スモークシルバーメタリック」もEvoによく似合う。

「190 E 2.5-16 Evo II」を運転したのは数年前になるが、そのときの落胆は今でもはっきり覚えている。過激なルックスとは裏腹に、標準仕様の「Evo II」の走りは、かなりおとなしい。5000rpm以下では、ほとんど何も起こらない。2.5リッター4気筒エンジン(M102)は、回してやる必要があるのだ。

しかし、回したところで、その加速が息をのむほどかといえば、そうでもない。235馬力と245Nmという数字は、電動車の時代にあっては、もはや驚くようなものではない。

V6ツインターボとトランスアクスルを採用

HWAのアプローチはまったく異なる。アファルターバッハのスペシャリストたちは、4気筒に代えてメルセデスのV6ツインターボを選択した。AMGの各種43モデルなどにも搭載された排気量3リッターの6気筒エンジン(M276)に、HWAは大幅な改良を施し、潤滑方式もドライサンプに変更している。量産エンジンから残るのは、事実上ブロックだけだ。

パワーは190 Evo IIの2倍以上

最高出力500馬力、最大トルク600Nm。「Evo」は、オリジナルの「190 Evo II」の2倍以上のパワーを誇る。ホームストレートでアクセルを全開にする。これはたまげた!「 Evo」は猛烈に加速する。一瞬、古き良きDTMの時代に引き戻されたような気分になる。

当時のレーシングカーは、4バルブ技術によって2.5リッター4気筒から約370馬力を引き出していた。最高回転数は9500rpmだ。ターボを備えた「Evo」は、そこまで高回転型ではなく、DTMマシンの心を奪うような吸気音もない。それでも全負荷時には、響きのある低い唸りが、威嚇するような咆哮へと変わる。

HWA Evoには独自の車台番号が与えられる。そのためHWAは、このクルマをレストモッドではなく、技術的に新規開発されたモデルと位置づけている。

ストレートエンドで220km/hを超えると、エンジン音は風切り音にほとんどかき消される。独自の車台番号を持ち、事実上すべてを造り直したEvoだが、その根幹にあるのは、やはり190だ。そして当時の190は、最高速を追求して設計されたクルマではなかった。

それでも「アファルターバッハパッケージ」を装着すれば、HWAは300km/hという大台さえ突破するという。

Evoの走りはオン・ザ・レールではない

限定100台のそれぞれに、厳選された「メルセデス 190(W201)」がベース車両として使われる。まずはボディ骨格だけになるまで分解し、その後、ボディの大部分をカーボンファイバーで製作する。HWAの全幅は、オリジナルより約20cmも広い。

構成部品の75%を専用開発品に置き換え、ねじり剛性はオリジナルの2倍以上に高められている。開発工程のすべてを手がけるのはHWAだ。パワートレイン、動力性能、シャシー、ブレーキ、エアロダイナミクスなど、あらゆる部分に最新の技術が投入されている。

HWA Evoは、オン・ザ・レール感覚で走るクルマではない。そこがまさに魅力なのだ。ステアリング特性は、もう少し煮詰める余地がある。

長いストレートの先にある高速左コーナーでは、わずかな修正舵が必要になった。HWA Evoを速く走らせるには、ドライバーも仕事をしなければならない。オン・ザ・レール感覚で走るクルマではないのだ。そして、そこがまさに魅力なのである。

次のコーナーの手前で強くブレーキングし、2速へシフトダウン。早めにアクセルを踏み込む。V6は適切な回転域を維持してやる必要があり、そのパワーの出方は、往年の自然吸気エンジンを思わせる。

コーナーを立ち上がると、丹念にデザインされたデジタルコックピットでESCの表示が一瞬点滅する。しかし、パワーが絞られることはない。トラックモードでは、ESCは軽いパワースライドを許容してくれる。最高だ!

周回を重ねるごとに、コツがつかめてくる。ワイドなトレッドのおかげで、このレストモッドは素直に向きを変え、スチール製ブレーキも、速いラップを何周か続けた程度では限界を見せない。

トランスアクスル方式を採用した6速MTの、長く、やや引っかかりのあるシフト操作さえ、今ではすっかり珍しくなった、この素晴らしくアナログなドライビング体験によく似合う。

唯一の不満は、ステアリングの中立付近の感触がやや希薄なことだ。ただし、この点についてはHWAも改善する意向だ。

HWA Evoは完売したのか?

ベース価格は最低でも85万ユーロ(約1億5725万円)と高額だ。購入を真剣に検討している人にとって、まだ注文枠が残っているのは、この価格も理由のひとつかもしれない。

結論:
私はこの日を長い間待っていた。HWAのスペシャリストたちは、CLK GTRやCLK DTMなど、私が大好きなメルセデスのいくつかを手がけてきた。アファルターバッハの彼らは、スポーティでありながら、感情を揺さぶるクルマの造り方を心得ている。

自社ブランド初のモデルで、HWAはまさにそれを実現した。クルマがますます高度化していく時代にあって、Evoは実に素晴らしくアナログな感覚を味わわせてくれる。そして、速さも申し分ない!

Text: Jan Götze
Photo: Christoph Börries / AUTO BILD