フェラーリが異色のプロジェクトを進行中! 波の上を“飛ぶ”「ハイパーセイル」とは?
2026年10月29日
テスラに続いてフェラーリも飛ぶ!イタリアの跳ね馬が取り組んでいるのは、ここ数年で最も異色といえそうなプロジェクトだ。
「空飛ぶフェラーリ」と聞いて、「ラ フェラーリ」の後継モデルや、登場予定の「テスラ ロードスター」に対抗するぶっ飛んだハイパーカーを思い浮かべたなら、残念ながら見当違いだ。新しいフェラーリに備わるのは、4本のタイヤの代わりにマストと帆、そして大量のカーボンファイバーである。フェラーリは、その歴史で初めて、自社製の外洋レース用ヨットを建造している。その名は「ハイパーセイル(Hypersail)」だ。
全長約30mのこのヨットは、現在、建造の最終段階にある。フェラーリはこのほど船体の完成を発表し、重要な節目を迎えた。最初の水上テストは2027年に予定されている。
なぜヨットが“飛ぶ”のか
最初に聞いたときほど、とんでもない話ではない。ハイパーセイルは、水中に「フォイル」と呼ばれる水中翼を備えている。速度が上がるにつれて水中翼が揚力を生み、船体を水面から持ち上げる。これによって水の抵抗が大幅に減る。ヨットは波をかき分けて進む代わりに、文字どおり波の上を浮くように走るのだ。

こうした仕組みは、ヨットレースのアメリカズカップですでにおなじみだ。ただし、フェラーリはこの技術を、はるかに大きな外洋ヨットに応用しようとしている。フェラーリは、水面上を安定して滑走する単胴船、つまり「空飛ぶモノハル」とまで表現している。
フェラーリの技術を大海原へ
自動車とのつながりは、最初に想像するよりも深い。「フライトコントロール」と呼ばれる制御システムが、速度、波、風を常時監視し、水中翼を自動調整する。その発想は、スポーツカーに使われる現代のシャシー技術や各種制御システムを思わせる。

素材選びも、フェラーリにはなじみ深いものだ。船体の大部分にはカーボンファイバーを使用する。さらに、このヨットはエネルギーを完全に自給自足して航行できるよう設計されている。電力は、船上の太陽電池や風力発電機などでまかなう。従来型の内燃エンジンは搭載しない。
イタリアの跳ね馬が未知の領域へ
フェラーリにとって、ハイパーセイルは単に威信をかけたプロジェクトというだけではない。同社が全面的に自ら開発し、建造する初めての船なのである。これまでフェラーリの関与は、デザインスタディや、ほかのプロジェクトへのエンジン供給にとどまっていた。
結論:
ハイパーセイルが、実際に世界の海で記録を打ち立てるかどうかは、今後のお楽しみだ。しかし、すでに確かなことがひとつある。空を飛ぶというテスラの構想に続き、フェラーリもいよいよ飛び立つ。ただし、その舞台は道路ではなく、水の上だ。
Text: Kim-Sarah Biehl
Photo: Ferrari

