ペダルと油圧を切り離す!オモビオの新型ブレーキは何がすごい?
2026年10月21日
小さく、軽く、しかも異常時にも4輪を制御する。オモビオが新世代の「分散型ブレーキシステム」を発表した。中国の大手自動車メーカーから量産受注を獲得し、2027年末の生産開始を予定している。
2基の小型アクチュエーターが協調して作動する分散型ブレーキシステム。小型・軽量化と搭載レイアウトの自由度向上を両立する。
ブレーキペダルを踏めば、クルマが減速する。その当たり前の動作を支える仕組みが、電動化や自動運転の進化とともに変わりつつある。旧コンチネンタルの自動車部門から独立したAUMOVIO(オモビオ)が発表した新型ブレーキも、その一例だ。
新開発の「分散型ブレーキシステム」は、先進的なワンボックス型ブレーキと電子式車両姿勢制御装置(ESC)を組み合わせた電動油圧式システム。ペダル操作を電気信号で伝える「ブレーキ バイ ワイヤ」を採用し、異常時のバックアップ作動まで電子制御で対応する。
2基が常時働き、異常時にも4輪を制御
最大の特徴は、2基のブレーキアクチュエーターの使い方にある。従来の高度自動運転車向けシステムでは、通常時は1基が作動し、もう1基はバックアップ用として待機していた。
対して新システムでは、2基を常時稼働させ、必要に応じて協調して制動力を発生させる。緊急時にはそれぞれが独立して機能する設計だ。オモビオによれば、この仕組みにより従来型を上回る制動性能と、小型化、軽量化、エネルギー効率の向上を両立するという。

さらに注目したいのが、異常時の制御範囲だ。バックアップ作動時に2輪または3輪だけを制動するシステムもあるなか、新システムは引き続き4輪すべてを制御できる。電気系統の障害時にも高い安全性が求められる自動運転車に適しており、同社はレベル5まで対応可能としている。
搭載場所の自由度が増し、大容量バッテリーにも有利
これを支えるのが、複数の電源供給ポイントと冗長化された電気ネットワークを備える、最新の電気・電子アーキテクチャだ。
ペダルとブレーキシステムを機械的・油圧的につなぐバックアップ機構が不要となるため、電子式ペダルを除くほぼすべての関連部品を、車両前方のスペースに柔軟に配置できる。小型化したアクチュエーターと合わせて搭載スペースを有効活用でき、EVでは航続距離を伸ばす大容量バッテリーの搭載にもつながる。
対象はEVやハイブリッド車に限らない。必要な電源やネットワークの冗長性を備えていれば、最新のエンジン車にも採用できる。
右ハンドルと左ハンドルで共通化
高速かつ高精度にブレーキ圧を生成できることも利点だ。非制動時のブレーキの隙間を広く設定でき、不要な摩擦の低減に貢献する。

また、右ハンドル車と左ハンドル車、エンジン車とEVで、同一の電子式ペダル用ブレーキソリューションを使用できる。仕様の種類を減らし、開発、生産、物流コストを抑えられる点もメーカーには魅力となる。
止まる性能を磨きながら、車両設計の自由度も広げる。新型ブレーキは、次世代のクルマづくりを足元から変える技術となりそうだ。
Text:アウトビルトジャパン(Auto Bild Japan)
Photo:AUMOVIO

