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大好きなスズキの(ほぼ)全車種乗ります その4 軽いって大切だ「スズキ ワゴンR ハイブリッドZX」

2026年10月26日

もう30年以上も前のこと、当時28歳だった大林青年(笑))はスズキ自動車株式会社 お客様相談室に以下のような手紙をしたためた。「登場したばかりのワゴンR、とても好きで購入したいのですが、少しだけこうだったらもっといいのになぁ、と思う部分があります。せっかくだからベンチシートだったら、ということとやはり後ろのドアは両側ともあった方が便利なのではないでしょうか?今後そうなる予定はありますか?」

もちろん自動車会社が「はいはい分かりました、いずれ出します」みたいな回答を出すことはなく、「貴重なご意見として伺います。ご意見ありがとうございます。」と記された封書が丁寧に返送されてきた。一介の馬の骨のわがままに「こちとら毎日、オサムに乾いたぞうきん絞るかのようにコスト削減命令出され、苦労してクルマつくってんだ、無理難題いうんじゃねぇ、忙しいんでい」などと無視せず、ちゃんと返信していただけたことにちょっと感銘を受けた。

なぜそんな33年前のことをだらだら書いているのかというと、その頃から僕はワゴンRが好きで気になっていたということと、今回お借りした最新式ワゴンRは、ちゃんとベンチシートで両側にドアがついてたからである。蛇足ながらその頃のワゴンRは(おそらく)オサムのコスト削減命令もあってか、リヤのドアは左側に一枚だけ装備されており、右側にはドアがついていなかったのである。室内外もものすごくシンプルだったが、新しい風を感じる何かがそこには確かにあった。

精悍なイメージのワゴンR。

今回お借りすることになったワゴンRはハイブリッドZXという最上級グレードで2輪駆動が1,736,900円、4輪駆動が1,856,800円という豪華版である。本当は2グレードあるうちのZLという下位グレードにひっそりと残されているシンプルな5MTモデルに乗ってみたかった、というのはわがままな独り言である(すいません)。

さて、それまで乗っていたeビターラから乗り換えて感じたことは、とにかく軽いといううことだった。というのもワゴンRの車重は今回の豪華版ZXでも810㎏にすぎす(ZL2輪駆動ではオートマチックトランスミッションが770㎏、マニュアルミッションでは750㎏)、それまで乗っていたeビターラよりも1トンも軽いのだから当然である。前述の通り今やワゴンRのグレードは今回のマイルドハイブリッドのZXとシンプルなZLという2車種のみで、もはやターボが付くようなモデルは設定されておらず、いずれも可変バルブタイミングのR06D型という自然吸気のエンジン一本である。49馬力のエンジンと聞くとパワー不足をつい連想してしまうが、この軽量さが良い方向に作用し、普通の使用条件は軽快でパワー不足を感じることはほぼない。

エンジンが低くマウントされているため覗き込まなければ見ることができない。

今回は4人の成人をのせてきつい坂を上るという苦行もあったもののあっさりとこなしたし、毎日の使用状況で困ることは一切なかった。ZXに備わる2.6馬力のマイルドハイブリッドシステムの効用についてはマイルドすぎて(笑)よくわからなかったものの、一切容赦なくこき使っても燃費は20km/lを切らなかったから、目立たずとも十分な効能を持っているのではないかと推測される。

乗り心地にもとにかく軽いことは良い方向に影響しドタドタ重い感覚はどこにもないし、さらっと軽快に荒れた道もこなしていく。ハンドリングも自然で良い感じだし、不満点と言えばやや頼りないブレーキフィールだけで、このブレーキの部分だけはもう少し信頼感や安心感を感じさせてくれるタッチや制動力が備わってくれていたら、とは思った。

直線基調のコックピット。
身長170cmのドライバーのシートポジションでこれだけの足元スペースがある。フルフラットにするには前席背もたれを倒す。

結局ワゴンRと暮らした1週間はひたすら便利で、細かいところまで知恵と工夫を使って設定された室内の装備品も含め、自動車って本当にありがたい、と感謝をする日々であった。今や軽自動車の売れ筋はワゴンRよりももっとハイトワゴンでスライドドアのモデルが主流ではあるが、この軽さと便利さがあればこちらで十分と思うことも多い。また、どうしてもワゴンRにスライドドアが欲しい方にはワゴンRスマイルもあるのだが、残念ながら広報車がつい最近終了してしまい(泣)今回はお預けとなってしまったことが悔やまれる。

今や台数的にはスペーシアの3分の一程度の販売台数と聞くワゴンRだが、それでも毎月4000台程度を売り上げるというのだから、やはり定番ならではの人気ポジションはしっかり保っているのだと思う。とにかく歴史ある定番商品ならではの魅力を、心底感じた1週間であった。

荷室は後席を前にスライドすることで容量を作ることができる。背もたれを倒してもフラットにはならない。

最後に、あえて30年前みたいにスズキ自動車にわがままを言えば、もう少し内装色が明るく洒落ていて、顔つきがこんなに怖くなくて、ブレーキだけはもうちょっとだけカチッとしてくれたら嬉しいのですが、くらいだろうか。とにかく軽いこと、それは乗る者の気持ちも明るく、ふんわり軽い気持ちにさせてくれる大切な要素であることを実感した。

Text&Photo:大林晃平