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ランボルギーニ ミウラ SV 初披露から50年

2021年4月22日

50年前の1971年3月、ジュネーブモーターショーのカロッツェリア・ベルトーネの展示スペースにて、大成功を収めたP400プロジェクトの最終進化形、ミウラSVが初披露されました。同モーターショーでは、後のローンチに向けたコンセプトカーとして、カウンタックLP500も発表されました。「ヴェローチェ(超高速)」を意味するVを冠したミウラSVは、当初はSシリーズに付随するモデルとして構想されていましたが、SV のあまりの反響に、結果的にはSシリーズの後継となりました。

こうしてランボルギーニのプロダクションの中で、最も高い人気を誇る ミウラSVは、その時代の「スーパーカー」というコンセプトを最高の形で表現した1台として、ミウラの各モデルの中でも最高峰と認められています。当時のランボルギーニのチーフエンジニアでミウラとミウラSの生みの親であるGiampaolo Dallara(ジャンパオロ・ダラーラ) とPaolo Stanzani(パオロ・スタンツァーニ)は、ミウラ の生産を始めてからの5 年間の経験がSVに活かされていると語っています。

SVのエンジンは、最高出力を385hp/7850rpmに高め、トルクの配分を改良(40.7kgm/5750rpm )したことにより運転性能が向上しました。ウェーバー製のトリプルバレルキャブレター「40IDL3C 」のセッティングも新しく変更されました。エンジンとギアボックスで独立した潤滑システムが導入されたのは、SV生産開始後でしたが、外見上は分からないこの変更は、技術的には極めて重要な改良となりました。

実際のところ、ミウラSVは他のミウラ(P400とP400S)とは技術面でもスタイル面でも大きく異なっています。4リッターの12気筒エンジンをリアミッドに横置きするというレイアウトは変わらず、SVでは戦略的に補強された剛性の高いシャシー、アンカーポイントとアームが改良されたリアサスペンションシステム、130ミリ近いワイドトラックを採用しました。フロントとリアのタイヤサイズも変更し、リアは7インチから9ンチに、255幅のタイヤが装着されました。デザインはよりスポーティに変わり、魅力的なゴールド仕上げのリアがオーナーから最も選ばれました。

技術的変更に伴いエクステリアにも変更が必要となり、ミウラのオリジナルプロジェクトを担当したMarcello Gandini(マルチェロ・ガンディー二 )が手掛けました。SVのエクステリアの特徴は、拡大されたリアフェンダー、デザインを一新したテールライト、新設されたラジエーター用エアインテークが印象的なフロントボンネットが挙げられます。

しかしながら最も重要な変更は、ヘッドライト周りの有名な「アイラッシュ まつげ 」がなくなったことでしょう。この変更は技術的な理由ではなく、アイラッシュの組み立てと完璧な仕上げが非常に高度で時間を要する作業であると理解していたFerruccio Lamborghini(フェルッチオ・ランボルギーニ)が、ミウラの生産時間を短縮するために決定しました。しかし、彼は自身のミウラSVにはヘッドライト周りのアイラッシュを残し、それがこの仕様を採用した唯一のSV となりました。

SVのインテリアは、レザーを多く採用し、クロームメッキを随所に施すことで、従来よりも高級感のあるモダンな仕上がりになっています。

ミウラSVの公式な最高速度は290km/hを超え、スタンディングスタートから1kmまでを24秒未満で走行します。これは当時としては記録的な性能を誇っていました。

150台が生産されたミウラSVは1973年初めに生産を終了しましたが、2 年後の1975年にWalter Wolfウォルター・ウルフ のために最後の1台が特別に製造されています(現在はサンタアガタ・ボロネーゼにあるランボルギーニミュージアム「MUDETEC」所蔵)。

ミウラSVの生産終了で、スピードとしなやかなラインが一世を風靡した時代も終わりを迎えました。それは、内なる情熱と優れた技術的才能に恵まれた一握りの若者たちが、多くの人にとって、そして今もなお、最高に美しいと称えるクルマを生み出した時代でした。

ランボルギーニ・ポロストリコ
2015年に設立されたポロストリコは、サンタアガタ・ボロネーゼを本拠地とするアウトモビリ・ランボルギーニの伝統の保護を担当する部門です。2001年までに生産されたランボルギーニ全車のレストアと認定は同部門の活動の一部にすぎません。これに加え、すべてのクラシック・ランボルギーニの保全を支援すべく、ヴィンテージ・ランボルギーニのスペアパーツの復元に取り組み、毎年 200点近くを新しく復活させているほか、アーカイブ資料の保護と管理も行っています。

Text&Photo:ランボルギーニ・ジャパン