50年代のアイコンオープンモデル比較テスト アルファロメオジュリエッタ対ポルシェ356A対MGA 勝者は?
2021年4月17日
イタリア製スパイダー対ドイツ製コンバーチブル対イギリス製ロードスター 3台のアイコンオープンモデル直接対決
50年代のスポーツマンがクラシックテストに登場。エアのクラシック。今から60年以上前、アルファロメオ ジュリエッタ、ポルシェ356、MGAがドライバーたちの心を奪い合っていた。それは2桁の馬力があれば、爽快な走行性能と十分なプレステージ性が得られた時代だ。それらのクルマは理屈抜きに美しかった! そして今は?
50年代後半、「アルファロメオ ジュリエッタ スパイダー」、「ポルシェ356AスーパーコンバーチブルD」、「MGAロードスター」は、普通の収入を得る人にとっては別の星の車だった。
4つのシートがないということは、実用性を無視して車を購入するということを意味している。
では、この3台のクラシックカーの特徴は何なのか、それを購入することのできた人々にとっての魅力は何だったのか。
「VWビートル1200スタンダード」が、30馬力で100km/hまで勇ましく加速し、轟音を立てながら通り過ぎると、人々はその場に凍り付いているようにも見えたものだった。
ちなみにアウトバーンだけでなく、ドイツのカントリーロードでも合法的に、100km/hが導入されたのは1972年以降のことである。
4人乗りでないということは実用性を無視して購入することを示している。
家族はいないが、高給の仕事がある人などだ。
そして、髪をスカーフで隠し、目を角の尖ったサングラスで隠した若い女性のために、助手席を用意していたのだった。
3台のアイコンオープントップの物語をフォトギャラリーとともにお届けする。キュートでエレガント、そして味わい深いレトロな世界をエンジョイしてほしい。
【アルファロメオ ジュリエット スパイダー】
【ポルシェ356Aスーパー コンバーチブル】
【MGAロードスター】
今回の冷静に評価した比較テストでは、最もバランスのとれた「ポルシェ356コンバーチブル」に軍配が上がった。
もちろん、現在の基準では、ポルシェもまた、動力性能が低く、狭い室内を備えたタイプであり、ドライバーは細いステアリングホイールに腰を落ち着け、ライバルたちと同様に乗り降りの練習をしなければならない。
しかし、「356」の走行特性、相対的に良好なブレーキ、パワフルなエンジンは、運転・操作の快適性やしっかりした作り込みと同様にメリットがある。
しかし、その法外な現在の市場価格は、今回のスコアには入っていない。
「アルファロメオ」は、技術的に魅力的で調和のとれたエンジンを搭載した優雅なスパイダーである。
最も弱い性能を補って余りあるハンドリングの良さは、日曜日の国内旅行では、アルファを蔑ろにする理由にはならないだろう。
言ってみればこれは典型的なイタリアンなのだ。
比較的安価な「MGA」は、特に当時400マルク(約2万6千円)ほどのオプション価格のスポークホイールを装着しており、英国のロードスターを絵に描いたような存在だ。
この腰の入ったスイング、アイドリングストップでもレース場のような音がするパワフルなエンジン、これは気取ったところのない生きる喜びだ。
一方、何よりも手に負えないほど不恰好で使いにくいソフトトップは、英国の自動車史に残るものだが、明らかに減点対象である。
したがって、「アルファロメオ ジュリエッタ」と「MGA」は、同ポイントで2位に甘んじることとなった。
The score | Alfa Romeo | Porsche | MG |
楽しい要素 | |||
気質 | 6 | 10 | 8 |
サウンド | 8 | 8 | 10 |
ハンドリング | 8 | 10 | 6 |
中間点 | 22 | 28 | 24 |
抱擁要因 | |||
シート | 7 | 10 | 9 |
サスペンション | 7 | 10 | 6 |
スペース / 変動性 | 10 | 9 | 6 |
中間結果 | 24 | 29 | 21 |
羨望要因 | |||
クオリティ | 7 | 10 | 8 |
デザイン | 10 | 8 | 10 |
イメージ | 8 | 10 | 8 |
中間結果 | 25 | 28 | 26 |
総合結果 | 71 | 85 | 71 |
結論:
これらの3台の美しいモデルをハンドリングすることは、1950年代に戻る夢のような旅だった。
それは私たちが今日欠けているものを示している: 本質的に非常に個人的な概念を持つ非常に異なる車という意味で。
当時の価格優位性を考えると、なぜ「MGA」が人の車だったのかが明らかになる。今日でも、「MGA」はそのお金に見合うだけの楽しさを提供してくれる。
「ポルシェ356コンバーチブル」は、3台中、最もバランスの取れた車だ。
「356」の運転特性、優れたブレーキ、強力なエンジンは、その頑丈な造りと同じくらい有利なポイントとなる。
ただし、その高い市場価格は考慮に入れてはいないが・・・。
「アルファロメオ ジュリエッタ」と「MGA」も正当な評価を得て、2位を分け合っている。
しかしこのような比較テストを、今回の車たちに当てはめることには何の意味もない。それぞれ全く異なる3台であるし、これらのクルマを本当に愛し購入するような人には順位など何の意味も持たないだろうから。
あの時に本当に欲しくて買えなかった夢のような車、それは思い出と同じように人によってそれぞれ異なるし、その頃に好きだった事実に理由などいらないだろう。
だから性能がどうのうこうの、とか、幌扱いにくいとか、格好が悪い、などという評価は昔好きだった女の子に再会したような、冷静な感覚を麻痺しているような人たちには何の関係もない。
「356」が好き、「アルファロメオ」に恋焦がれていた、「MGA」が忘れられない、そんな理由だけで十分ではないだろうか。だが、それでも今回冷静に考えてみれば、一番毎日の実用に使え、今乗ってみてもその完成度に、たいしたものだと思えるのは356であるということも事実ではある。今の911と比べても魅力は劣らないどころか、純粋に自動車を運転するという感覚はおそらく60年前のクルマのほうが上だろう。
もう500馬力だ、600馬力だというパワーや絶対的な速度を競うのではなく、人の気持ちに寄り添うように心地よい性能と大きさの自動車。そんな一台がもう一度生まれてこないだろうか。今回の3台を見て改めてそんな気持ちを抱いた。
Text: Michael Harnischfeger
加筆: 大林晃平
Photo: W. Groeger-Meier