1. ホーム
  2. スポーツカー
  3. ポルシェになりたいベントレー 500kg軽量化した「ベントレー コンチネンタル スーパースポーツ」をサーキットに解き放つ!

ポルシェになりたいベントレー 500kg軽量化した「ベントレー コンチネンタル スーパースポーツ」をサーキットに解き放つ!

2026年9月5日

ハイブリッドなし、四輪駆動なし、後席なし、そして500kgの軽量化。「コンチネンタル スーパースポーツ」は、史上もっとも過激なベントレーなのか? サーキットで試した!

「ポルシェ911 GT3 RS」に、ソフトクローズドアと実用的なトランクを備え、長距離旅行にも完璧に対応できるようにしたクルマを想像してほしい。新型「ベントレー コンチネンタル スーパースポーツ(Bentley Continental Supersports)」とは、おおよそそんなクルマである。

つまり、サーキットのためのベントレーなのか? 英国の伝統あるブランドは何十年にもわたってモータースポーツに参戦してきたが、近年のクルー(Crewe)では電動化やパーソナライゼーションといったテーマに重点が置かれていた。ところが2025年11月、まったく予想外のタイミングで新型ベントレー スーパースポーツが発表されたのである。

ベントレーが方向転換?

500台限定の「コンチネンタル スーパースポーツ」を、単に「コンチネンタルGT」のスポーティバージョンだと考えるなら、それは大きな間違いである。このスペシャルモデルは、ベントレーにとって一種の方向転換を意味する可能性がある。「スーパースポーツ」が基本的に「コンチネンタルGT」であることに変わりはないが、ドライビングプレジャーを明確に重視している。カリフォルニアにある伝説的なラグナセカ レースウェイで、その名にふさわしい実力を証明してもらおう。

露出したカーボンファイバー製スポイラーは、最大300kgの追加ダウンフォースを発生させる。ディフューザーも新設計である。

だが、新開発のスポーツシートに腰を下ろす前に、その歴史を振り返っておこう。1925年に登場した初代ベントレー「3リッター スーパースポーツ(3 Litre Super Sports)」は、わずか18台しか製造されなかった。そして、100マイル(約161km/h)を達成した最初のベントレーでもあった。

スーパースポーツの歴史

この象徴的な名称は、2009年に初代「コンチネンタル スーパースポーツ」で復活。続いて2017年には、710馬力という驚異的な出力を誇る第2世代が登場した。しかし、新型スーパースポーツは直系の先代モデルとは異なり、単純にエンジン出力を高めただけではない。そのアプローチは、はるかに過激である。

わずか8週間でプロトタイプを開発

ベントレー社内において、「スーパースポーツ」は一種のゲリラプロジェクトだった。史上もっとも過激なベントレーというアイデアが生まれたのは、2024年夏のことである。CEOのフランク=シュテフェン・ヴァリザー博士(Dr. Frank-Steffen Walliser)の承認を得て、少人数のチームがわずか8週間で走行可能なプロトタイプを製作した。その完成度は非常に高く、「スーパースポーツ」の開発計画は正式に承認された。そして、それから1年半も経たないうちに完成車が一般公開されたのである。

フロントまわりにも大幅な変更が施された。スーパースポーツには、ベントレーの市販車として史上最大のフロントスプリッターが装着されている。

開発における最優先事項は、「可能な限り重量を削減すること」だった。そして、その試みは成功した。新型「スーパースポーツ」は、公道走行可能なベントレーとして85年ぶりに車重2トンを下回ったのである。「コンチネンタルGTスピード」と比較すると、約500kgもの軽量化を実現している。

コンチネンタルGT初の後輪駆動

当然ながら、数点のカーボンファイバー製パーツを追加しただけで、これほどの軽量化を達成できるはずはない。そのため、根本的な変更が必要だった。

まず、ハイブリッドパワートレインが取り外された。さらに四輪駆動システムも廃止され、「スーパースポーツ」は「コンチネンタルGT」として初の後輪駆動モデルとなった。

そのほかの軽量化対策としては、マンタイ(Manthey)との共同開発による22インチ鍛造ホイール(1本あたり5kg軽量)、後席の撤去(オプションでも選択不可)、カーボンファイバー製ルーフなどが挙げられる。

22インチ鍛造ホイールはマンタイとの共同開発品である。重量は1本あたり約11kgで、同等サイズの一般的な22インチホイールより5kg軽い。

小容量の55リットル燃料タンクまで採用したことからも、ベントレーが車重を2000kg未満に抑えるため、どこまで徹底したかがわかる。ただし心配はいらない。75リットルの大型燃料タンクも追加料金なしで選択できる。

インテリアは紛れもなくベントレー

理論的な話はこれくらいにして、全長3.6kmのラグナセカ レースウェイで、「スーパースポーツ」がどのような走りを見せるのか確かめよう。

最初に気づくのは、これほどスポーツ性を追求したモデルでありながら、インテリアには最高級のレザーとカーボンファイバーがふんだんに使われていることだ。すべてがベントレーらしく、熟練の技で完璧に仕上げられている。「スーパースポーツ」のドライバーは、ソフトクローズドアさえ諦める必要がない。

アクラポヴィッチ(Akrapovič)製の専用チタンエキゾーストシステムにより、V8ツインターボはアイドリング時から力強いサウンドを響かせる。センターコンソールのロータリーダイヤルでスポーツモードを選択すると、8速デュアルクラッチトランスミッションが、少なくとも今のところは自動で変速してくれる。

最初の2周は、クルマとコースに慣れるために使った。さらに、2975ユーロ(約52万円)もするピレリ「Pゼロ トロフェオRS」セミスリックタイヤを、慎重に適正温度まで温める必要もある。

ハイブリッドアシストなしのV8ツインターボ

徐々にペースを上げていく。そして速度が高まるほど、スーパースポーツの驚異的な能力が明らかになっていく。

最高出力666馬力(いや、この数字は偶然ではない)、最大トルク800Nmを発生するスーパースポーツは、ハイブリッドアシストを持たないため、奇妙なことにスペック上は現行コンチネンタルGTシリーズでもっとも非力なモデルである。しかし、実際に運転している限り、そう感じることはまったくない。パワー不足に陥る場面など皆無だ。

それも当然である。V8ツインターボエンジンには、新しいターボチャージャー、改良されたシリンダーヘッド、専用クランクシャフトが採用され、根本から手が加えられている。

666馬力のベントレーが速いこと自体は、驚くべきことではない。だが、全長4.99mのクーペがコーナーを駆け抜ける走りには、本当に驚かされる。

セミスリックタイヤが作動温度に達すると、私は一瞬、言葉を失った。スーパースポーツは、2トンのクルマではあり得ないほどダイレクトにステアリング操作へ反応する。

比較のために述べておくと、私たちは数週間前、アスカリで「ベントレー コンチネンタルGT S」を走らせたばかりだった。そのクルマも嬉しい驚きを与えてくれたが、とりわけタイトコーナーでは、約2.5トンという重量を隠すことができなかった。

その気になれば、後輪駆動を生かして666馬力のスーパースポーツを豪快にドリフトさせることもできる。

しかし、「スーパースポーツ」はまったく別の次元にある。クルーのエンジニアたちが、実際には500kgをはるかに超える重量を削り取ったのではないかと思えるほど俊敏だ。コーナリング中のライン修正も、「スーパースポーツ」は難なく受け入れる。

16mm拡大されたトレッドと、「Pゼロ トロフェオRS」セミスリックタイヤの組み合わせは見事に機能している。唯一の小さな欠点は、ESPの制御がもう少し繊細でもよかったということだが、それも簡単に解除できる。

電子制御の助けを外せば「スーパースポーツ」はドリフトマシンへと変貌する。その能力は、トラヴィス パストラーナ(Travis Pastrana)が動画「Supersports: Full Send」で見事に実証している。

ちょっとした興味深いエピソードもある。後から聞いた話では、開発初期の走行テストにおいて、最大1.3Gの横加速度が発生するとシステムが衝突事故だと判断し、シートベルトプリテンショナーが作動してしまったという。

幸い、ラグナセカでの高速ラップ中にそのようなことは起こらない。それどころか、後輪操舵、電子制御式リミテッドスリップデフ、改良されたデュアルチャンバー式エアサスペンションの連携は、走り込むほどに強い印象を与えてくる。

8速デュアルクラッチトランスミッションもスーパースポーツ用に改良されており、オートマチックモードでは非常に優れた動作を見せる。当然、手動で変速することもできる。その場合、トランスミッションが自動でシフトアップしないことを、デジタルメーターパネル内のシフトライトが知らせてくれる。

アクラポヴィッチが生み出す本物のV8サウンド

触れておくべきポイントが、あと2つある。

まず、標準装備されるカーボンセラミックブレーキだ。フロントには10ピストンキャリパーと、巨大な440mm径ディスクが組み合わされている。その性能には、まったく非の打ちどころがない。高速ラップを何周も重ねた後でも、ペダルフィールは完璧だった。

そして、スーパースポーツのサウンドは驚くほど素晴らしい。専用開発されたチタンエキゾーストシステムは威圧的な音を響かせるが、決して耳障りではない。そして何より、本物のV8サウンドである。ありがたいことに、ベントレーは人工的に音を作り出すアクチュエーターを一切使用していない。

エクステリアとインテリアに採用された印象的なツートーン仕上げは、「ドラゴン デザインテーマ by マリナー」と呼ばれる。その価格は、なんと9万8000ユーロ(約1715万円)だ!

スーパースポーツは、公道走行可能な歴代ベントレーのどのモデルよりも見事にサーキットを攻略する。これはベントレー版「ポルシェ GT3 RS」でありながら、GT3 RSのような制約を持たないクルマである。

このベントレーはドライバーズカーだ

これほど心を動かされた一方で、今後ベントレーがサーキット走行会の常連になる可能性は低いことも明らかだ。しかし、「スーパースポーツ」の価値はそれだけではない。これはクルーが生み出した「究極のドライバーズカー」なのである。

長距離移動、カントリーロード、そして今やサーキットまで、事実上あらゆる場面に対応できる。約42万ユーロ(約7770万円)というベース価格を考えれば、それくらいできて当然だと主張することもできるだろう。

限定500台は記録的な速さで完売し、そのうちかなりの台数をベントレーの新規顧客が購入したという。

そうそう、スーパースポーツの正確な車重はどれくらいなのか? ベントレーの研究開発担当取締役、マティアス ラーベ博士(Dr. Matthias Rabe)は笑顔でこう答えた。

「1999kgです」

完璧な着地である。しかも、ソフトクローズドアまで備えている!

結論:
ベントレーのようなブランドが、ハイブリッドと四輪駆動を捨てるという、これほど過激なアプローチに挑戦したことは称賛に値する。特に電動化が進み、パワートレインがますます複雑化している現在においては、なおさらである。「スーパースポーツ」を実際に走らせた私は、その出来栄えに完全に納得した。もしひとつだけ批判するとすれば、好みが分かれるデザイン、特にツートーン塗装だろう。しかし、それはあくまで趣味の問題である。

Text: Jan Götze
Photo: Bentley Motors