【ガソリンヘッドの楽園】ザ クウェイル2026 このモータースポーツ ギャザリングほど、夢のような車やハイパーカーがこれほど多く集まる場所は他にない
2026年8月29日
1065馬力のランボルギーニ、1600馬力のブガッティ – 「ザ クウェイル(The Quail)」のハイパーカー パーティー。カーマニアの楽園。ここでは、カースポッターのメモリーカードが満杯になり、自動車愛好家の銀行口座が空になる – この「モータースポーツ ギャザリング(Motorsports Gathering)」ほど、夢のような車やハイパーカーがこれほど多く集まる場所は他にない。そして、電気自動車の台頭により、こうした車の時代が徐々に終わりを迎えつつあると考える人なら、「ザ クウェイル」での数々の世界初公開を見て、その考えを改めざるを得ないだろう。
1年のうち363日間、ここはカーメル バレーにある数あるゴルフコースの一つに過ぎない – 多少エリート的で、高級で、高価ではあるが、結局のところ、18ホールが設けられた短く刈り込まれた芝生に過ぎない。しかし、毎年8月の第2金曜日になると、ここにはクエイル カントリークラブのガタガタと音を立てるゴルフカートとは一味違う「重鎮」たちが集結する。というのも、その日は「モントレー カーウィーク(Monterey Car Week)」の期間中に開催される「モータースポーツ ギャザリング」の日だからだ。
その2日後、ペブルビーチでは世界最高級のクラシックカーが審査員たちの前に姿を現すが、ここでは、形だけのクラシックカーが数台あるものの、主に高級メーカー、レストモッド業者、チューナーによる新作が主役となる。
ブガッティ、ベントレー、ケーニグセグなど
ブガッティ、ベントレー、ケーニグセグ、ランボルギーニといった欧州の高級ブランドや、ヘネシー、キャデラック、シンガーといった米国の大手メーカー、そして時折登場する数台のエキゾチックカーや新鋭メーカーが、このゴルフ場を一日限りで超富裕層のおもちゃ屋に変える。訪れる人々は、文句一つ言わずに、入場料として2,000米ドル(約3万8千万円)近くを支払っているのだ。

わずか48時間の先行販売でチケットを入手できなかった人は、闇市場で定価の2倍もの金額を支払うことさえある。何しろ、そこには夢の新型車をいち早く目にできるだけでなく、シャンパン、カクテル、牡蠣、葉巻が心ゆくまで楽しめるのだから。
金曜日の過ごし方としては悪くない。たとえ、いつものゴルフのラウンドを休むことになったとしても・・・。
しかし、チケット代など、自動車メーカーがここで提示する金額に比べれば微々たるものだ。「よりパワフルに、より速く、より希少に」がモットーであり、その総和として、価格も天井知らずに高騰している。それでも、ここでは誰も気にしない。むしろ、車が高価であればあるほど、プレミア開催前にすでに売り切れている可能性が高くなるのだ。
数百万もの価値がある一点物
これは特に、最も高価なモデルに当てはまる。というのも、これらは特別な顧客の要望に応じて製作された一点ものの車だからだ。その筆頭が、フランスのブガッティによる3台目の「ソリテール」として、短く刈り込まれた芝生の上でデビューを果たす「ブガッティ デストリエ」である。この車はサーキットレーサー、「ボリデ」をベースとしているが、スピードよりも美しさを重視しており、そのため空力性能を追求した装甲のようなボディを排除することで、はるかにエレガントな佇まいを見せている。
もちろん、そのスピードは依然として驚異的だ。リアには1,600馬力を誇るW16エンジンが轟音を響かせているため、この車も時速400kmの壁を突破する。そして、「ザ クウェイル」では、参加者が皆裕福であるため金銭の話は一切出ないとはいえ、8桁の価格タグを想像するのにさほど想像力を働かせる必要はない。何しろ、「ボリデ」でさえ500万ユーロ(約9億5千万円)近くもしたのだから。

数メートル先にあるポルシェのブースにも、またしても特別な特注車が展示されていた。ポルシェの特別注文部門「ゾンダーヴンシュ(Sonderwunsch)」は、今回もまたコレクターを大喜びさせ、伝えられるところによると少なくとも7桁(数億円)の高額な金額を支払わせて、伝説の「935/78 モビーディック(Moby Dick)」にインスパイアされた「フラットビルドRS」へと「911 GT2 RS」を改造したのだ。
「モントレー カーウィーク」の3台目の唯一無二の1台は、あまりにも希少であるため、大衆の前に姿を現すことさえ躊躇し、フェラーリの本社「カーサ フェラーリ」の前にのみ駐車されている。そこには、1970年代のショーカーのレトロ フューチャリスティックなボディに「CZ26」として収められた「SF90ストラダーレ」が展示されている。

さらに、2台の「唯一無二」のモデルも登場するが、これらは単なる1台限りの存在にとどまらず、いずれ量産化されることを目指している。キャデラックは、800馬力を超えるパワーを誇るコンセプトカー、「V-One」を通じて、アメリカ発の公道走行可能なハイパーカーが、「AMG One」や「アストンマーティン ヴァルキリー」にどのように対抗しうるかを示している。
一方、マクラーレンは「6GT」を通じて、過去を振り返りつつ未来を見据えている。創業者のブルース マクラーレンが当時抱いていた、自社製ロードスポーツカーという実現しなかったビジョンに触発され、同社は新鮮で魅力的なデザインのクーペを通じて、数年ぶりの新モデルへの展望を示している。しかし、過去を振り返っているのはインスピレーションだけでなく、技術面でも同様だ。電動マグネットローターの代わりに、堅実なV8ガソリンエンジンが搭載されている。そして、シフト操作は – 今は亡き「F1」以来初めて – 再びマニュアルとなった。
シンガーらによるレストモッドのトレンドは依然として続いている
これと相まって、「ザ クウェイル」を巡って勢いを増し続けているトレンドがある。未来が不透明に見えるため、多くのカーマニアが再び過去を振り返り、いわゆる「レストモッド」としてかつての夢を蘇らせているのだ。
その先駆者はシンガー(Singer)であり、ルイ ヴィトンとの提携により、ついにラグジュアリー界のトップクラスに躍り出た。しかし、ガンサー ワークス(Gunther Werks)のような追随者も、とっくに現れている。空冷ポルシェ、フォード ブロンコ、VWの「ブルイ」、さらにはフォードの伝説的な「ドッグボーン」エスコートでさえ、現代の技術とハイパーカー並みの価格帯を誇って、今や街を走っている。
そのため、最新のスーパースポーツカーに囲まれていても、もはや異色の存在とは見なされなくなっている。これらを補完するように、プライベートジェットやヘリコプター、そして特にセキュリティを重視する億万長者向けには、豪華な装甲車も並んでいる。

もちろん、この高級なグリーンにはお馴染みの顔ぶれや常連客も集まっている。地元を代表するヘネシーは、航空機からインスピレーションを得た新型「ブラックバード」でファンを魅了している。このモデルは800馬力を誇り、価格は250万ドル(約4億1,250万円)で、生産台数はわずか71台に限定される予定だ。ケーニグセグは、2000年代にレギュレーションの壁に阻まれたレースカーを、20年を経て1,600馬力を誇る公道走行可能な「CCGT1」へと生まれ変わらせた。
そして、V12エンジンを搭載した「ヴァンキッシュ」が十分に洗練されているかのように思える中、アストンマーティンは同じプラットフォームをベースに「ヴァレン」を投入し、850馬力へと控えめにパワーアップさせることで、フロントエンジン搭載の量産スポーツカーとしては最強のモデルに仕上げた。完全に新しく、かなりクールなカーボン製ボディ、より強力なエンジン、そして150台限定という希少性は、当然ながらただで手に入るものではない。「ヴァンキッシュ」の約40万ユーロ(約7,600万円)という価格とは異なり、アストンマーティンはこのモデルに約180万ユーロ(約3億4,200万円)を要求している。
それでもなお、注目をさらわれてしまう。というのも、ゴルフ場の向かい側には、同じプラットフォームをベースに、はるかに手頃な価格で、さらに150馬力高い出力を誇る、非常によく似たコンセプトカーが展示されているからだ: ブラバスは「ボド」を持ち込み、カリフォルニアの天候に合わせて、このクーペの横にオープンカーも並べている。
スパイカーが「ザ クエイル」でカムバックを祝う
そして、ブティックメーカーの間でもう一つ、注目すべきカムバックがある。スパイカーが復活し、「プレリアターXXVクーペ(Preliator XXV Coupé)」で再び勝負を挑もうとしている。強制的な休止前と全く同様に、見事なバロック調のデザインと、ローズ色に輝くゴールドをふんだんに施したこのクーペは、今回もアウディ製V8エンジンを搭載しており、800馬力と最高速度350km/hを誇るこの復活モデルを、文字通り“Flying Dutchman”へと変貌させている。

ただ残念なことに、この眩いばかりの目玉車両の前では、珍しく姿を見せたアウディにはほとんど注目が集まらなくなってしまった。彼らは「ザ クウェイル」で、「アウディ ヌヴォラーリ」の米国デビューを盛大に演出しているのだ。
ちなみに、隣のBMWブースに展示されているアルピナのコンセプトカーも同様で、バイエルンのメーカーはこのモデルを通じて、ブランド再始動への期待を米国の人々にも抱かせようとしている。
1,065馬力のランボルギーニ レヴエルトSV
そうそう、それからランボルギーニによる、もはや恒例とも言えるワールドプレミアもある。これは「ザ クウェイル」にとって、主催者であるペニンシュラ グループの巨大なベルボーイ – イベントを見守る、数メートルもの高さの「見せかけだけの存在」 – と同じくらい欠かせないものだ。イタリアのメーカーは再びSVモデルを投入し、「レヴエルト」を「スーパー ヴェローチェ」へと昇華させた。
「レヴエルト SV」は、主に空力性能を向上させるためにさらに磨き上げられたデザインを採用し、乾燥重量を1,772kgまで削減。パワートレインの出力も5%引き上げられた。
6.5リッターV型12気筒エンジンとバッテリー駆動の電動ブースターを組み合わせ、システム最高出力1,065馬力、最大トルク1,425Nmを発生する。その性能は、ランボルギーニが55年前に初めて採用した「スーパー ヴェローチェ」の名にまさしくふさわしい。0-100km/h加速は2.4秒、最高速度は345km/hに達し、レヴエルトは文字どおり”super fast.”である。

しかし、たとえこのSVが史上最強かつ最速のランボルギーニだとしても、超富裕層の「おもちゃ屋」においては、せいぜい脇役に過ぎない。価格が60万ユーロ(約1億1,400万円)弱というだけで、もはや「特価品」と見なされてしまうだけでなく、創業年にちなんで1963台に限定生産されているため、この地域の基準からすれば、これはまさに「量産モデル」に他ならないのだ。
Text and photo: Thomas Geiger

