初テスト イタリアンキュートコンパクト 新型フィアット500に初試乗&レポート
2021年4月6日
400ボルト電流で、新型フィアット500は完璧なシティランナバウトになる。その歴史的な経緯にもかかわらず、新型フィアット チンクエチェントは、将来的には電動で街を駆け抜けたいと考えている。私たちはそれに同行した。そして、その道のりで新型チンクをテストした。
まさにこの車はレトロデザインの代表格だ。
以前、「チンクエチェント」のモデルラインナップには、とても美しく古風な、丸みを帯びた形で、キャッキャと鳴る2気筒エンジンを備えたモデルもあった。
そして今は?
LEDライトが点滅し、ドアのロックは電動で解除され、リアエプロンの下からはエキゾーストパイプが顔をのぞかすことさえない。
そして、EVだからハミングもしない。
バッテリーパックを搭載していても、「500」は室内の広さを保っている。
ベースプライス27,560ユーロ(約360万円)で販売されている新型「500」は、完全にユニークなモデルであり続けている。
バッテリーをトランクではなくフロアに搭載していて、そのため、荷物のためのスペースを失うことも、乗客のスペースを奪うこともない。
バッテリーパックは平らに積み上げられ、助手席の下のスペースに装着されている。
とはいえ、膝のスペースが非常に狭いので、たまにしか大人はリアに乗らないほうがいいだろう。
フロントのスペースについては、より良い状況だ。
短くて非常に硬いシートクッションにもすぐに慣れることができるが、残念ながら、横方向のサポートはあまりない。
ドライバー用のシャープなディスプレイには、エクストラワイドなタッチスクリーンが装備されている。
そこには、ナビゲーション、エンターテインメント、ドライビングアシストなど、すべてが最新の状態で表示される。
エアコンの操作ボタンは固定式で、操作性も向上している。
残念なのは、センターコンソールにある2つのプラスチック製コントロール(ボリュームとドライブモード)の感触が悪いことだ。
標準的な加速性能では、フィアットは「ゴルフ1.5TSI」を上回っている。
新型「フィアット500」では、レバーでギアを選択するのではなく、スイッチで走行方向を決定する。
Dボタンを押せば、すぐに走り出すことができ、とてもシンプルだ。
それはスムーズに操作でき、きれいにドリフトでき、なかなかの迫力を持って前に進むことができる。
「シェルパ(弱ったバッテリーを最大限に活用し、最高速度を80km/hに抑える)」と、「レンジ(最高の航続距離を実現するために、より効率的なドライビングチューニングを行う)」モードでは、「500」は標準モードに比べてかなり走行距離を伸ばすことができる。
サスペンションの応答性はやや鈍いものの、大きな凹凸を容易に減衰させることができ、「フィアット500」は元気に走り回ることができる。
150km/hまでの速度は、小型電気自動車のキャラクターにぴったりだ。
新しい「チンクエチェント」は8.6秒で0から100km/hに到達する。
このタイムを比較すると、「VWゴルフ1.5 TSI」より、やや速い。
「フィアット チンクエチェント」は118馬力と220Nmのトルクを有効に使っているといえよう。
しかし、新型「500」は決して軽量ではない。
1.4トンという重量があり、バッテリーパックだけで600kg近くになる。
340kgという控えめな積載量はその副作用である。
大人4人が乗ったら?
そうなると、荷物を積むスペースがなくなってしまう。
500は、我々のテストでは、公約の航続距離を達成できなかった。
フィアットが約束していた最大航続距離は321km。
さてテストの結果は?
外気温5度の涼しいというよりやや寒い環境で行った消費テストでは、新型「フィアット500」の100kmあたりの平均電力消費量は22kWhだった。
使用可能なバッテリー容量が37kWhで、室内の暖房を強めた場合には、200km程度の電気走行にしかならない。
これはかなり厳しい数値といえる。
しかし急速充電システムを使えば、35分で80%の容量を充電できるという。
高速道路では、2つのことに気づいた。
新型「500」の走行音は静かで、最高速度は変動する。
時折、150km/hから140km/hに自動的に制限され落ちることがあるが、これは電力を節約するためだろう。
まあ、フィアットの母国の「ラ ドルチェ ビータ(la dolce vita)=甘い生活,気ままな自由な生活」の典型的な例として、多少の癖(ズレ?)は許容範囲だ。
結論:
高速充電だが、航続距離はまだまだ十分とはいえない。
電気自動車の「500」は、依然、都市とその周辺地域での使用に限られる。
素晴らしいのは、新しい「チンクエチェント」には、優れたドライビングアシスタンス機能を搭載することができることだ。
AUTO BILDテストスコア: 3+
新しいチンクエチェントがEVだけと聞いた時の気持ちは複雑だった。まあそういう時代なのだという気持ちと、えーそりゃないじゃん、という正直な思いを抱いたものである。そしてその度合いは、内燃機関なくなっちゃのかぁ、というがっかり度合いの方がやはり圧倒的に大きかった。
その理由は今度のチンクエチェントがかなり格好よく、これにツインエアが乗ったならちょっと欲しい、というほど魅力的なほどスマートだったからだ。
ツインエアでなくともハイブリッドモデルだっていいし、とにかくEVでなかったら、という気持ちは今でも強く思っている。なんで「チンクエチェント」のEVをそれほど否定しているかというと、まずは価格だ。いくら何でも本来は庶民の足でもあるはずの「チンクエチェント」だからこそ、この価格はないだろうと思うと同時に、せめてこの半分くらいだったらというのが正直なところである。イタリアの庶民だってきっと同じような感想を抱いているはずだ。
もう一つはやはりこの航続距離の短さである。もちろん長いことだけがEV性能ではないが、それでも今回のテストで実証された距離はなんとも心もとない。シティカーと割り切ればいいのかもしれないが、それにしては全体的な完成度も性能も十分すぎるようにも思われる。だから、もうそんな願いなどしても無駄な状況かもしれないが、普通のハイブリッドモデルがこのボディに載ったならば、という思いはまだまだ消えないのである。
Text: Jan Horn, Mirko Menke
加筆: 大林晃平
Photo: Toni Bader / AUTO BILD