ポルシェ 911 GT2 RSベースのワンオフモデル「ポルシェ ゾンダーヴンシュ フラッハバウRS」 この特別なポルシェは「ポルシェ 935/78 モビーディック」へのオマージュだ
2026年8月22日
自分だけのポルシェを求める顧客のために、ポルシェは特別注文プログラム「ゾンダーヴンシュ(Sonderwunsch)」を用意している。「フラッハバウRS(Flachbau RS)」は、911 GT2 RSをベースに製作された究極のワンオフモデルだ!
世界に1台だけのオーダーメイドカーを夢見たことはないだろうか?ほかのどこにも存在しない、自分だけのスポーツカーだ。少なくとも200万ユーロ(約3億7,000万円)を支払う覚悟があるなら、ポルシェはその夢を現実にしてくれる。
ポルシェの特別注文部門「ゾンダーヴンシュ(Sonderwunsch)」は、顧客の要望に合わせて1台のポルシェを丸ごと作り上げる。その結果として誕生するのが、唯一無二の特別なクルマだ。今回、シュトゥットガルトのポルシェが発表した「ポルシェ ゾンダーヴンシュ フラッハバウRS(Porsche Sonderwunsch Flachbau RS)」も、そのひとつである。
「フラッハバウ(Flachbau)」という名称は、ポルシェがかつて930型911に設定していた特別仕様に由来する。クラシックな911に見られる、ヘッドライト部分が高く盛り上がったフロントマスクではなく、その名のとおり平らで前方へ低く傾斜した“フラットノーズ”を備えている。

このデザインの原点となったのは、「モビーディック」の愛称で知られる「ポルシェ935」である。ポルシェ初の水冷シリンダーヘッドを採用したレーシングカーであり、同社のモータースポーツ史において画期的な存在だった。
2018年には、ポルシェが911 GT2 RSをベースとした現代版935を77台限定で製作している。
ベースはポルシェ911 GT2 RS
「フラッハバウRS」のボディの下には、基本的に991世代の「911 GT2 RS」が隠されている。パフォーマンスをさらに引き上げるため、この特別仕様車にはモータースポーツチーム「マンタイ(Manthey)」が手がけたすべてのコンポーネントが組み込まれた。専用サスペンションや、リアホイールに装着されたエアロディスクなどがその一例である。
一方、ポルシェの「ゾンダーヴンシュ(Sonderwunsch)」はエンジンには手を加えていない。したがって、「フラッハバウRS」には最高出力700馬力、最大トルク750Nmを発生する3.8リッター水平対向6気筒エンジンが搭載されている。

ボディカラーはマット仕上げの「グランプリホワイト」。さらに、デザインを一新したフロントまわりを中心に、多数のカーボンファイバー製コンポーネントを採用している。ヘッドライトは、フェンダーに設けられたエアインテーク風の開口部に巧みに隠されている。
木製シフトノブを採用、余計な装備はほとんどなし
インテリアもモータースポーツに徹した仕立てだ。インフォテインメントシステム?そんなものは忘れてしまおう!代わりに装着されているのは、2018年に登場した現代版935やカレラGTと同じような木製のオートマチックセレクターレバーである。
車両重量は1,408.4kg。ヴァイザッハパッケージを装着した911 GT2 RSよりも31.6kg軽い。

このクルマは、顧客の要望に基づいてポルシェが全面的に製作したものだ。ゾンダーヴンシュプログラムは3つのカテゴリーに分けられており、フラッハバウRSは「ファクトリー ワンオフ」に分類される。つまり、もっとも高額なカテゴリーである。
このカテゴリーで製作されるオーダーメイドのポルシェは、プロジェクトの複雑さに応じて200万~1,500万ユーロ(約3億7,000万~27億7,500万円)もの費用がかかる。
顧客自身が製作工程に参加できる
その代わり、潤沢な資金を持つ顧客には数多くの特典が用意されている。たとえば、依頼主には工場用IDが発行され、自分のポルシェの製作工程に実際に参加することさえできる。
最初の問い合わせから完成車の引き渡しまで、最長で4年半を要する。そのため、同時進行できるワンオフモデルの製作台数は限られている。ポルシェによれば、現在進行中のプロジェクトは「ひと桁台前半」にとどまるという。

ポルシェは「フラッハバウRS」のオーナーが誰なのかを明らかにしていない。しかし、このクルマはドイツで公道走行が可能であり、リアウイングとヘッドレストにはニュルブルクリンク北コースのレイアウトが刻まれている。
それだけでドイツ人オーナーだと断定することはできない。だが、将来ニュルブルクリンクでフラットバウRSが実際に走る姿を目にできるかもしれない。
ポルシェは、このワンオフモデルの最終的な価格についても秘密にしている。シュトゥットガルトから公表された唯一の情報は、この特別仕様車の製作費が500万ユーロ(約9億2,500万円)を超えていないということだけだ。
結論:
モータースポーツのために徹底的に磨き上げられ、「ポルシェ935」へのオマージュを込めた「ゾンダーヴンシュ フラッハバウRS」。「911 GT2 RS」をベースとするこの特別なワンオフモデルには、ポルシェをサーキット仕様に仕立てるためのすべてが詰め込まれている。
願わくは、オーナーがこの「フラッハバウRS」をガレージに置いたままにせず、ときどき本来の走りを存分に味わってくれることを期待したい。
Text: Maurus Elias Moritz
Photo: Porsche AG

