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ターボ ターボ ターボ! ターボ軍団 魅惑のターボモデル6台勢ぞろい ターボを語ろう!

2021年4月4日

ターボ車テスト: GT2 RS、シビック タイプR、TT RS、M550d、720S、そして488GTB

ターボへの憧れ。ターボのついた計3210馬力の爆竹花火が6台! 現在ターボは大量に出回っているが、本物のターボ車はどんどん少なくなってきている。今回は、6台の高性能モデルを用意して、ターボの魅力に迫る。

ターボチャージャーは、当然のことながら豊富なトルクをもたらしたが、一方で、今日のターボの氾濫は、ある意味では恵みであり呪いでもある。

オリジナルのターボキャラクターはもうめったに見つからない

ターボラグ?
そんなもの忘却の彼方に消えて久しい。
鳴き声や鼻息の荒さ?
臨床的に規制されている各種のバイパスによって抑制されている。
かつては谷あり山ありだった性能曲線も、定規で描いたようなものになってしまった。
つまり、今のターボに欠けているのは「個性」なのだ。
緻密に、繊細に、軽快に制御すればするほど、かつての魅力は失われていくのだ。
しかし、それでも一部の例外は残っている。
デザインにこだわり、燃焼室で繰り広げられるスペクタクルに参加し、そのワイルドさにもかかわらず、現代の秩序に溶け込んでいるターボがあるのだ。
今回、我々のドライビング比較テストでは、エキゾチックな車と日常的なアスリートが競演しているが、すべてターボを使用している。

アウディTTRS、BMW M550d、フェラーリ488GTB、ホンダシビックタイプR、マクラーレン720S、ポルシェGT2RSでターボの魅力と喜びを分かち合う。

【アウディTT RS】

それは、20年前に自動車のアバンギャルド(前衛)の縮図として生まれたデザイナーズトイ(玩具)であり、今日ではそのアバンギャルドの背後にある伝統を何よりも体現しているモデル、それが「アウディTT RS」だ。
というのも、この5気筒エンジンがなければ、アウディは70年代後半の無機質な理性のイメージから抜け出すことができなかったかもしれないからだ。それを、ラリーフラッグを振ったり、ケトルドラムやトランペットを鳴らしたりして吹き飛ばしてきたのが「TT RS」なのだ。
そして、そこから生まれたハイエンドダイナミクスを支える心臓の鼓動を、今も一人で刻んでいる。そのサウンドとは? 2台の真空管アンプで演奏されるブルースロックのオデッセイだ。
そのステージは? ハルデックス(Haldex)クワトロシステムを使った、ちょっとトゲのある演出だ。彼のショー? まさに狂気の沙汰だ。「TT RS」の登場によって、「BMW M2コンペティション」はツインターボに変更しなければならなかった。しかし、「TT RS」のせいで、「BMW M2コンペティション」は、少なくとも直進方向では、その後も二番手の役割を果たし続けることになる。
2.5リッター直列5気筒ターボはトルクを480Nmにまで押し上げる。
2,000rpm以下ではほとんど何も起こらず、それ以上の回転数では48ボルトの電気システムを一切使わずに、ターボチャージャーが連続的に力を発揮する。
そしてデュアルクラッチさえも凌ぐほどの、しっかりと嚙み合ったギアシフトを提供する。

【BMW M550d】

BMWのディーゼルセダンを過小評価してはいけない。「BMW M550d」は、田舎の純真な姿で、偽善的にディーゼルライフの陽気なメロディーを奏でているように見えるかもしれないが、その背後には強烈なパフォーマンスを備えたターボ付きパワーユニットが搭載されている。
4ドア、400馬力、3基のターボチャージャー(!)を持っていることに驚きを禁じえない。そう、これは環境とか燃費のためのターボディーゼルエンジンではなく、高性能を追求した故の結果なのである。
これこれ。BMWのスピードメーターとタコメーターはこれでなくちゃいけません。(笑)

【フェラーリ488GTB】

本来ならば、我々のフェラーリとの関係は、絶縁状態にあってもおかしくない。なぜならば、彼らは史上最高の自然吸気エンジンを埋没させてしまったからだ。
しかしご存じだろうか? このターボエンジンは原理的にはフルスロットルは1回で十分だし、まるで「488」には4.5リッターNAエンジンが生きているかのようだ。これほどまでに、純粋なスピードと耐久性を兼ね備えたターボは他にない。そして、これほどまでに簡単で軽やかに飛び出すターボも他にはない。
紙吹雪砲のような火山の噴火。エンドルフィンシャワーのようなアドレナリンキック。透き通っていて、なにも抑えられたり、カットされたりしていない、とても遊び心のある方法を備えた、絶対的に真面目な作品だ。特に、エキセントリックな感情の連鎖のすべてのリンクが、実にシームレスにかみ合っている。
ステアリングは最もシャープなもののひとつであり、トランスミッションはレヴバンドをコンマ数秒で切り刻む。
リアでは、行進するボディが、以前よりも消音されているが、それでも非常にピチピチとした音を出し、ハンドリングはシャープで、限界に達してもとても粘りがある。
その上で、ツインターボが煌めきを放ち、どのギアでもリアアクスルがぎりぎりで消化できるトルクだけが出るように、正確にその爆発を演出している。

【ホンダ シビック タイプR】

「シビック タイプR」もトラクションの問題で苦労することはない。しかも、唯一、フロントアクスルに荷重をかけているにもかかわらずだ。横方向の力だけでなく、縦方向の力もすべて備えている。
このようなマルチタスクがハンドリングに大きな影響を与えることは、他の多くのモデルがすでに学んでいることだ。しかし、320馬力と400Nmの出力にもかかわらず、常にすべてをコントロールできているのは、このクルマだけだ。
噛み付くようなキャリパー、引き締まったシャシー、緻密なベアリング、高いグリップ。完璧だ。
もちろん、2リッターVTECが息を呑むようなパフォーマンスを発揮する最大の理由であることは言うまでもない。可変バルブタイミングは、低い位置で最大限の処理能力を発生させ、ターボを素早く立ち上げる。
「シビック」のターボエンジンはトップエンドですぐに崩れ落ちてしまうようなこともない。原理的には、すべてはトルクとスピードの調和を中心に回っている。
だが実際には4気筒エンジンは旧来のターボ方式に近いものがある。2,500rpmまでは何も起こらないが、その後、突然、頭角を現す。ブースト圧が上がり、カチッと音がして、400Nmのトルクが前に出てきて、わずか2回のギアシフトにもかかわらず、5.6秒で時速100マイル(約160km/h)に到達する。
「シビック タイプR」のギアチェンジは、モータースポーツを楽しむための6つの要素で構成されている。正確なガイダンス、正確なディテント、スムーズでありながら正確な操作性、そして「NSX R」の時代から絶対的なカルト的人気を誇るシフトボール(写真)がその頂点に立つ。
最大1.4バールの圧縮空気がシリンダーに入る。まさに誠実なクラフトマンシップ(職人技)だ!

【マクラーレン720S】

ガルウィングドアを持ち上げて、右足を入れ、次に左足を入れて、狭くて窮屈なコンパートメントに飛び込むと、にっこり笑ってしまう。
Mサイズのレーシングシートは、ドライバーのお尻を自動的に挟み込んでくれる。
「720S」の略語は、言うまでもなく720馬力を意味しているが、それが1,283kgちょうどのドライビングマシンに搭載されている。他のほとんどのスーパースポーツカーは、より重く、より軽快ではない。そして軽快さもない。後輪しか駆動しないにもかかわらず、0-100km/h加速タイム2.9秒と0-300km/h加速タイム21.4秒という驚異的な性能を発揮し、レースに精通した英国人の取り組みの巧みさを見せつけている。
ツインターボV8は、完璧なサウンドを生み出す理想的な基盤ではない。特に、オプションのスポーツエグゾーストがないと、発進時にやや強めの音が出てしまう。
しかしそのV8ツインターボは、サウンド面での不足を補って余りある魅力を備えていて、ターボを使っていることを感じさせないパワーの出方を持っており、アイドリングストップ直後は非常にパワフルな推進力を発揮し、回転数が上がるにつれて均一に増加していく。その結果、非常に調和のとれたパワーデリバリーとなり、自然吸気エンジンのようにスロットルコマンドが稲妻のように素早く実行される。
これは、F1で大きな役割を果たしている高度なトラクションコントロールがあってこそ可能なことであり、F1での経験が見事に生かされていると言える。「720S」では、このトラクションコントロールを発展させ、新機能である連続可変式ドリフトコントロールを制御できるようにしている。
7速デュアルクラッチトランスミッションは、ロッカースイッチによってスムーズかつ簡単にシフトアップする。高効率、完璧なブレンドの品位のあるブリティッシュスポーツモデル。非常にテクニカルで、熱狂的でこそないものの、マクラーレンには非常にエモーショナルな瞬間が備わっている。

【ポルシェ911GT2 RS】

このポルシェの最高速度は約340km/hが上限となっている。しかし、この車の場合、これは二つの意味で重要ではない。まず、この車の巨大なダウンフォースによって、これ以上の速度を出すことはできないだろうということと、そのような最高速度が要求されるようなレーストラックは存在しない。その使命は、最速のラップタイムを出すこと。そして、その使命をあらゆる手段で果たす。その速さはかなりのものである。
その独自の地位を築いているのは、ツインターボボクサーエンジンである。ドライバーが意識を失わずに700馬力、750Nmを発揮できるのは、おそらくこのエンジンだけだろう。
フェラーリの爽快感や、マクラーレンの強力的な推進力のほうが、最終的には圧倒的かもしれない。しかし、その内部の力を真に理解させることに成功しているのは、ポルシェだけだ。
それは、ニュートン単位での調整を可能にするペダルトラベルの長さなど、細かな部分から始まっている。ブーストがかかっているにもかかわらず、素晴らしくグリップ感のある有機的なパワーデリバリーを実現している。そして最後には、全輪駆動車らしく限りなくパワフルなトラクションを発揮する。
論理的帰結: 1.55バールの2つのコンプレッサーが生み出す爆発的なパワーがあれば、いつでもどこでも仕事ができる。
推進力は逸脱した形で始まり、直線的な激しさで展開する。負荷変動時には、ブースト圧の大部分が残っているため、ボクサーエンジンは速やかに推進力を取り戻し、トップで大きなターボショーが光り輝くフィナーレを迎える。
「GT2」は最高で7,200rpmまで回転を上げることが許されており、最後の1段までしっかりと踏み込んでくる。最大ブースト圧=保持圧という計算になり、特に最大回転時には、思わず息が止まりそうになる。

ターボという響きはもはや一般的になり、街を走る多くの自動車のエンジンルームには高速で回転するタービンが備わっていることが普通になった。その昔、「セドリック/グロリア」のターボが日本初で、「スカイライン2000GTターボ」が西部警察に配属された時の姿をはっきりと覚えている身としては、驚くほど身近になったメカニズムといえる。
そういう我が家のクルマも気が付くと全車ターボがついていて、そんなことを全く気にせず、最初からそういうもんだと思って毎日乗っていた。現在のターボは燃費や環境対策のためのターボであることがほとんどだが、今回のレポートに登場する6台はそういうターボではなく、ハイパフォーマンスを得るための、言ってみれば昔ながらのターボ車だ。
とはいってもターボラグとか、ドッカンターボとか、そういう自動車ではないところが技術の進化といえるが、ターボというシステムは使いようにとっては様々な性格に利用できるということが面白い。そういえば、ターボ車は高速道路を走ってきてすぐにエンジンを切ると焼き付くと言われ、しばらくターボタイマーという(怪しい)品まで売っていたことを思い出す。今はその問題もすっかり解決したのだろうか。
今回の6台はどれもターボエンジンのハイパフォーマンスを感じさせてくれる頼もしいエンジンばかりだが、個人的には(ちょっと古いかもしれないが)BMWの「550d」がなんとも興味深い。ディーゼルエンジンに3つものターボチャージャーを組み合わせ、それを普通の5シリーズに載せるという常人では考えつかないような展開。やはりドイツ人というのは、メカオタクであり、高性能の世界がいつまでも大好きなのだとつくづく感じた。

Text: Manuel Iglisch
加筆: 大林晃平
Photo: Ronald Sassen / AUTO BILD