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1960年代に生まれた伝説のスポーツカー もっともセクシーで魅力的なモデル×3台

2021年4月3日

我々独自の基準で選んだ3台のもっともセクシーなスポーツカー いずれも60年代に生まれたイタリア製スポーツカーだ

60年代生まれの魅了的なスポーツカー3台そろい踏み。超高速で、超セクシー。3台ともイタリア製で、一般の人には手が届かない。合計1,072馬力対決。

スーパーファースト&スーパーセクシー
この3台ともすべて憧れのクルマだ。
デイトナの愛称で親しまれている「フェラーリ365GTB/4」、「ランボルギーニ ミウラP400S」、そして「イソ グリフォ」。
1960年代、まだ世の中には世界規模の気候問題や宗教対立や飢餓の問題もなく、富裕層やスターがフランスのリヴィエラ(海岸)、ニースやサントロペでドルチェヴィータ(甘い生活=イタリアでは本能のままに自由に遊び暮らすこと)に浸っていた時代、この3台はそういう風景にぴったりマッチしたエレガントでセクシーなスポーツカーでもあった。
しかし、今回は、地中海への旅は見送り、カリフォルニアのロングビーチの港でもなく、写真家のレンズの前で夕刻の光を浴びて美しく輝くようなドイツの北部で、3台の夢の車を競わせることになった。

スターたちの対決
これらの車は彼らが現役だった時代に、大金持ちでない人たちにとって、どれほど手の届かない存在であったかは、車両の資料を見れば明らかだ。
この赤い「フェラーリ」の最初のオーナーは、グラムロック歌手のマーク ボラン(「ゲットイットオン」、「コズミックダンサー」)であり、緑の「ミウラ」はカタール首長家のガレージに停められていたこともあるという。

それでは早速、ランボルギーニが現代のスーパーカーを発明し、その超フラットなデザインが、フェラーリの重厚なフロントエンジンのGTを、またたく間に古臭いクルマにしてしまったあの時代にタイムトリップしてみよう。
これらの車を運転することは極上の喜びであり、車に極めて高い再販価値を求める人にとっては、優れた価値が保証されている3台だ。
言うまでもなく、「ミウラ」、「デイトナ」、「グリフォ」は見た目が美しいだけでなく、熟年になった今でも、最速スポーツカーの部類に入る。
今回はこれらのスーパーカーが今日、どのようにドライブし、どのように感じるかを明らかにしてみよう。
そして最終的には、3台のうち誰が一番速いのかだけでなく、プライベートジェットの待つ空港ターミナルへの移動にもっともふさわしい1台を見つけ出す。

ミウラ、デイトナ、グリフォは、我々の目を楽しませてくれるだけでなく、熟年世代となっても、最速の部類に属するスーパースポーツだ。

【フェラーリ365GTB/4デイトナ】

グランツーリスモスポーツカーの中の恐竜
60年代末、「デイトナ」はグランツーリスモスポーツカーであり、そのデザインは、当時、ピニンファリーナのチーフデザイナーであった、レオナルド フィオラヴァンティが手掛けたものである。
そのフェラーリのV12はV12で、名器中の名器だ。
また、跳ね馬のフロントエンジンGTとして、特に機能性とドライバビリティに優れている。
V12が動き出し、回転数が6,000rpmに近づくと、世界はデイトナの前にひれ伏す。

フロリダの海辺のリゾート地の名前が付いているが、「フェラーリ365GTB/4デイトナ」は、ボッティチェリの描いた天使のようにイタリア的であると同時に、キプロス沖でビーチに立つ裸のヴィーナスからショーを奪い取るほどの美しさを備えている。
1967年にデイトナビーチで開催された「アメリカ24時間レース」で、「フェラーリP4プロトタイプ」が3連覇を達成したことで、ミッドエンジンを持たないフェラーリ最後のスーパースポーツカーには、「デイトナ」という愛称が付けられたが、実際には「365GTB/4」が正式にそう呼ばれることはなかった。
膨大な長さのボンネットに秘められた352馬力のパワーは、アウトストラーダ(高速道路)に入るとすぐに力強さを感じさせる。そしてデイトナは、公式の最高出力である270馬力に近づくと、予想通りの挙動を見せることになる。「フェラーリ365」に似合うのは、長いストレートと大きなコーナーだ。
右ハンドル! この右ハンドルの「デイトナ」は、かつてグラムロッカーのマーク ボランが所有していたが、彼は左の助手席に座らなければならなかった。なぜなら、彼は運転免許証を持っていなかったからだ。(笑)
当時の「メルセデスSクラス」が唸りを上げる6気筒エンジンでギリギリ到達できる速度域で、「デイトナ」のドライバーは5つあるギアのうち4つ目しか使っていない。そして、まるでリヴィエラの海岸道路を走っているかのような気分になる。
「フェラーリ365」は、1960年代の夢のGTだった。今でもそのエンジンは、テクノロジーを愛する人々を虜にしている。V12エンジンは、パワフルで音が良く、残忍でありながら官能的であり、まるで欲望の塊のようだ。
「フェラーリ365」に似合うのは、長いストレートと大きなコーナーだ。タイトなワインディングロードでは、むしろ違和感がある。ステアリングもペダルも、ドライバーのすべてを要求する。

【ランボルギーニ ミウラP400S】

一方、「ミウラ」は野獣だ。
公道上のレーシングカーを作りたかった設計者が、世界初の本当の意味でのスーパーカーを世に送り出した。
ひざまずいて見ると美しいが、刺々しくもある。
しかし、そんなことはどうでもいい。
なぜなら、走り出せば、素晴らしい走りをするからだ。

ランボルギーニの「ミウラ」は、クルマ好きな人なら誰もが憧れる車である。なぜなら、60年代のスーパーカーは、息を呑むような美しさを持っているからだ。
「ミウラ」は、当時のあらゆる慣習を打ち破っただけでなく、魅惑的なほど美しいボディを手に入れた。
「ミウラ」のドライバーは、タイトさと手に負えないシフターに苦労し、驚くほどのエンジンサウンドが頭を叩くが、最も夢のある車の一つを運転しているという確信がある。
さらに「ミウラ」の魔法は、車内で320と書かれたスピードメーターや太い「10」と書かれたタコメーターを見ているときにも続く。ステアリングとブレーキは正確に作動し、硬いギアシフトだけが厄介だ。そのリンケージはクランクシャフトハウジングの真ん中を通っている。
「ミウラ」は、60年代に新しいスーパーカーの世界を切り開いた。シートの後ろにV12を搭載した「ミウウ」は、当時も今も、他の追随を許さない存在だ。
1965年にはシートの後ろに12気筒の横置きエンジンが新設された。エンジン、トランスミッション、ディファレンシャルはブロックを共有しているため、「350GT」のアップグレードされたV12がスリムなリアエンドに収まっている。
「ミウラ」は200km/h以上であらゆる方向の安定性を無視する。それだけフロントアクスルが軽くなるのだ。「ミウラ」を運転したい人は、太った財布だけでなく、鋼鉄の神経も必要となる。
しかし、ワインディングロードでは、バランスのとれたモノコックシャシーを持つ「ミウラ」は、ライバルを容赦なく凌駕し、長い間ニュートラルな状態を保った後、リアエンドを使ってゆるやかに振り切る。

【イソ グリフォGL350】

「イソ グリフォ」は、この3台の中では日常的に使える車であり、その8気筒のエンジンの使いやすさは驚異的でもある。
形や色、排気量だけでなく、シャシーにももっと工夫を凝らしていたら、往年のコルベットを超える存在となっていただろう。

「イソ グリフォ」は、イタリアの力強いスタイリングとアメリカのV8パワーという2つの世界の良いところを組み合わせたモデルだ。排気量5.4リッター、カムシャフト1本のシボレー製量産エンジンを搭載し、最高出力350馬力を発揮した。
「イソ グリフォ」は、そこそこのパンチ力を備えてはいるが、エンジンの「回転ドラマ」はなく、排気量の奥深くからパワーを引き出している。3600rpmでも、489Nmのトルクを穏やかにクランクシャフトに叩きつける。
「イソ グリフォ」では、ハンブルクからローマまで、ごく自然に無理なく旅することができる。気まぐれなテクノロジーは、エキゾチックな魅力を邪魔しない。ドライバーは長距離用の革製アームチェアに気軽に座り、8気筒エンジンの咆哮を聞きながら、上質なウッドパネルの向こうにある長いフロントエンドを眺める。
ショートトラベルのギアシフトとステアリングがパワーを要求するのに、オーダーメイドのスーツを着た「イソ グリフォ」は、「フェラーリ365」のようにかさばることも、「ランボルギーニ ミウラ」のように未完成であることもほとんど感じさせない。
シェビーのアミV8エンジン: 「イソ グリフォ」のボンネットの中のアメリカの大量生産エンジンは、確実に働くが、その喉の渇きは信じがたいほどで燃費は惨憺たるものだ。
イタリア製のテーラーメイドスーツに身を包んだアミ族のパワー、「フェラーリ デイトナ」に引けを取らないシャシー、そして日常的な使用に適した素晴らしい性能。
リアパノラミックウィンドウを備えたエレガントなデザインは、ベルトーネの若きジョルジェット ジュジアーロによるものだ。冷凍倉庫やマイクロカー作りを中心としていた、イソとしては、高いレベルの作り込みがなされていた。
ポイントの分類 フェラーリ365 イソ グリフォ ランボルギーニ ミウラ
楽しい要素
気質 9 7 10
サウンド 9 8 9
ハンドリング 7 8 9
中間スコア 25 23 28
抱擁の要素
シート 6 8 5
サスペンション 4 6 2
スペース/可変性 4 5 2
中間スコア 14 19 9
羨望要因
クオリティ 7 7 4
デザイン 9 8 10
イメージ 10 7 10
中間スコア 26 22 24
最終結果 65 64 61

結論:
点数だけの結果では「フェラーリ」と「イソ グリフォ」が首位争い!?
しかし結局、「365GTB/4」がグリフォを破り、栄冠を獲得したのは、そのV12がレースの歴史を物語っているからだと思う。
完璧なバランスを持つランボが、生産終了間際になってようやく市販車並みの完成度に達したというのは、「フェラーリ」にとっても「イソ グリフォ」にとっても、幸運だったと言える。
だが、このトリオはどれを乗っても文句なく素晴らしい。
見るだけでも、エンジン音を聴くだけでも、むろん乗って走らせることができるのは究極の喜びだ。
たとえ所有することができなくとも。
そういう意味では、やはりどれも間違いなく、「夢の車」、ドリームカーなのである。

夕陽を背に受けながら走る3台のドリームカー。

さて1960年代に生まれた夢の3台の中から、あなたなら何をチョイスするだろうか?
私の親しい師匠でありボスは、「ミウラ」を選ぶという。確かにスーパーカーの王道であり、ガンディーニの作った美術品のような一台である。そんな「ミウラ」を愛した人の中にはフランク シナトラもいたことは有名である。スターの中のスターであり、なんともドンらしいチョイスではないか。
私個人ならば「ミウラ」ももちろん捨てがたいが、「デイトナ」を選ぶと思う。フィオラヴァンティの名作にして、優雅なラインを描くフェラーリ。自分に似合うか、似合わないかはまったく別問題として、ただ置いてあるだけでも(動かなくとも)格好いいのは、これかもしれないからだ。
3台の中からあえて「イソ グリフォ」を選ぶ漢(オトコ)。それはどんな硬派で一本筋の通った人物なのかちょっと想像もつかないが、おそらく1,000万人の中に数人くらいいる頑固者の中には、ジュジアーロ本人も入っていることは間違いないだろう。

お金に糸目をつけないなら、3台のスーパーカーのうちどれを選ぶべきか? それは、イメージを重視するか、デザインを重視するか、ハンドリングか、あるいは耐久性かによる。

Text: Lukas Hambrecht
加筆: 大林晃平
Photo: R. Rätzke