【動画付き】新型BMWアルピナB8グランクーペ公式発表 最速8シリーズ登場
2021年4月2日
アルピナとしては比較的控えめなエクステリアのB8グランクーペは、最高速度324km/hを実現する。アルピナは、621馬力と800Nmを発揮する4.4リッターV8ツインターボをBMW 8シリーズ グランクーペに移植した。これにより、B8はM8コンペティションよりも速くなった。しかし、それだけではない。アルピナのニューモデルの詳細をレポート。
「BMW 8シリーズ グランクーペ(G16)」は、現在販売されているBMWモデルの中で最もエレガントなモデルの一つだ。
今回発表された「アルピナB8」は、全長5.09メートルのクーペで、ベースモデルよりもさらに洗練されているだけでなく、621馬力のパワーは、「BMW M8コンペティション グランクーペ」とほぼ同等となっている。
しかし、スポーティな兄貴分とは異なり、「アルピナB8」は快適性の面でも「BMW M8コンペティション グランクーペ」より、さらにグレードアップされている。
例えば、「BMW M850iグランクーペ」の530馬力では物足りず、「M8コンペティション グランクーペ」ではビジュアル的に少し厚ぼったいと感じたら、ニューBMW「アルピナB8」は完璧な選択となる。
「アルピナB6ツインターボ」の後継車は、真のオールラウンダーだ。
➤ デザイン
➤ エンジン
➤ パフォーマンス
➤ シャシー
➤ 価格と市場投入時期
アルピナB8グランクーペの高貴で控えめなデザイン
「アルピナB8」の外観は、心地よく控えめで、まさにアルピナそのものだ。
フロントエプロンには、「M850i」よりもわずかに大きなエアインテークが設けられ、リアエプロンには提案されたディフューザーが装着されている。
そして典型的なアルピナの特徴は、4本のクロームテールパイプと、オプションのデコレーションストライプだ。
「B8グランクーペ」の最も印象的な変更点は、ロック可能なハブキャップを備えた21インチの「アルピナクラシック」鍛造ホイールに、ピレリ製の専用タイヤを装着したことだ。
そんな全体的なエクステリアデザインは、心地よく抑制されている。
そしてその印象は、インテリアにも引き継がれている。
イルミネーションドアシルトリム、特別にプログラムされたデジタルメーター、ラヴァリーナレザーで、手作業で覆われたステアリングホイールなど、ここでもアルピナの典型的な要素は見逃せない。
また、「B8グランクーペ」には、レザーインストルメントパネルを含む「BMW Individual」の拡張メリノレザーインテリア、さらにマルチファンクションシート、「プロフェッショナル」ナビゲーションシステム、ハーマンカードン(Harman Kardon)製サラウンドサウンドシステム、BMWドライビングアシスタントプロフェッショナルが標準装備されている。
もちろん、さらに多くのカスタマイズオプションが用意されており、顧客の希望に応じて「B8グランクーペ」をグレードアップすることができるようになっている。
612馬力4.4リッターV8ツインターボ搭載アルピナB8グランクーペ
大きなボンネットの下には、「B7」や「XB7」でおなじみの4.4リッターV8ツインターボエンジンが搭載され、「B8グランクーペ」でも621馬力を発揮する。
それ以上に印象的で素晴らしいのは、2000rpmから5000rpmまでの幅広い回転域で発揮される800Nmという最大トルクだ。
さらにスポーティな「BMW M8コンペティション グランクーペ」と比較すると、アルピナは4馬力少ない一方で、トルクは50Nm多くなっている。
最高速度324km/h、0-200 km/h加速11.6秒
「B8」は2,175kgの車両重量にもかかわらず、0から100km/hまで3.4秒(「M8コンペティション グランクーペ」は3.2秒)、200km/hまではわずか11.6秒で到達する。
アルピナでは他のモデルでもそうだが、「B8」にも最高速度制限は設定されておらず324km/hに達することになっている。
この速度には、「M8コンペティション」始め、「アウディRS7」、「メルセデスAMG GT 63S」、「ポルシェ パナメーラ ターボS e-ハイブリッド」などのライバルモデルたちも追いつくことはできない。
ドライブトレイン全体が「B7」および「XB7」から引き継がれているため、「B8グランクーペ」にも、ZF社製の定評ある8速スウィッチトロニックオートマチックトランスミッションが搭載されており、パワフルなエンジンとの相性は抜群だ。
また、全輪駆動のxDriveも標準装備されている。
アルピナ製スポーツエグゾーストシステムは、繊細かつパワフルなサウンドを提供する。
● 4.4リッターV8ツインターボ
● 最高出力: 621馬力(457kW)
● 最高トルク: 800Nm@2000〜5000rpm
● 0-100km/h加速: 3.4秒
● 0-200km/h加速: 11.6秒
● 最高速度: 324km/h
アルピナB8では「コンフォート+」モードが必須
アルピナでは、サスペンションのチューニングは、常に注目される要素だ。
B8グランクーペにはまだ乗っていないが、適用された措置は広範囲に及ぶようだ。
アルピナは今回も、快適性とスポーティさの完璧なバランスを目指している。
彼らはそのための努力は惜しまない。
ハイドロマウント付きのタイロッドは、ロールの快適性を向上させるために設計されており、フロントアクスルのより剛性の高いサポートマウントは、よりダイナミックな車線変更などを容易にすることを目的としている。
搭載されているアイバッハ(Eibach)製スプリングは、車両全体の特性を可能な限りバランスのとれたものにするためのもので、アルピナのドライバーに好評な「コンフォート+」モードも、もちろん「B8」には搭載されている。
この観点から見ると、アルピナB8グランクーペは特に上品な印象を受ける。21インチの「クラシック(Classic)」鍛造ホイールは、4ドアクーペによく似合っている。
BMW M8コンペティション グランクーペより安い
「XB7」や「B7」ではスポーティさに欠けるという人のために、アルピナは「B8グランクーペ」というエレガントなモデルを用意し、現在注文を受け付けている。
豊富な標準装備を備え、ドイツでのベース価格は161,200ユーロ(約2,100万円)だ。
これは、530馬力の「BMW M850i xDriveグランクーペ(125,100ユーロ=約1,630万円から)」に比べて、35,000ユーロ(約450万円)以上のプレミアムとなるが、BMWが「M8コンペティション グランクーペ(167,400ユーロ=約2,180万円から)」に設定している価格よりも6,000ユーロ(約80万円)ほど安くなっている。
日本でも2530万円(左ハンドル)、2575万円(右ハンドル)で、現在予約受付中(納車は今秋の予定)だ。
最近はアルピナもSUVに力を入れており、先日は豪華絢爛な高性能SUVたる「XB7」を日本でも発表したり、「XD3」などが大人気でバックオーダーを抱えたりするほどだという。確かに世の中の流れからすれば、今やSUVこそがメイン販売車種なのかもしれないが、それでも私のような昭和世代からみれば、アルピナといえば3か5シリーズベース、あるいは6シリーズベースの自動車のこと、なのである。
そういう観点からすると今回の「B8グランクーペ」は納得のできる方向の一台で、このイメージカラーのグリーンも、明るい茶色のウッドも予定調和な感じのクルマである。ベースになったグランクーペそのものが好きか嫌いか、あるいは興味があるかないかでこの「B8グランクーペ」が欲しいか否かも決まると思うが、性能的にはもうこれ以上を望んではいけませんというほどのレベルだし、価格も超少数生産のハンドメイドによるハイエンドスーパーセダンとして考えれば、ライバルよりもお得(といってよいかどうかは別問題ではあるが)と感じる層もいるだろう。
これからもアルピナは独自の世界を歩み続けて欲しいが、上品な高性能という伝統はいつまでも失わないでいて欲しい。
Text: Jan Götze
加筆: 大林晃平
Photo: ALPINA