ダイヤモンドカットホイールのリペアがディーラーで完結する時代へ。シュテルン品川がHBCシステム製ダイヤモンドカットホイールマシンを導入
2026年9月2日
近年、高級輸入車を中心に急速に採用が増えているダイヤモンドカット仕上げのアルミホイール。その美しい輝きは高級感を演出する一方、縁石への接触などで傷が付いた場合の修理は容易ではない。多くのディーラーでは専門業者へ外注するしか方法がなく、修理期間の長期化やコスト増が課題となっていた。
そんな状況を変えようと、メルセデス・ベンツ正規販売店シュテルン品川(東京都品川区)が、デンマークHBCシステム製ダイヤモンドカットホイールリペアマシンを導入した。HBCシステム日本総代理店である四国工房株式会社による搬入から設置、操作講習まで、その一日に密着した。
デンマーク生まれのHBCシステム
HBCシステムはデンマークの自動車関連リペアのリーディングカンパニーで、アルミホイール、インテリアなどのリペア用機材全般を提供している。ヨーロッパではBMWやメルセデス・ベンツをはじめとするメーカー、ディーラーやリペアショップで採用されているスマートリペアシステムだ。日本ではカーディテイリングのエキスパートである四国工房株式会社が総代理店となり、HBCシステムのサービスを展開している。
HBCシステム最大の特徴は、「交換ではなく修理」という考え方を徹底している点にある。アルミホイールのガリ傷やダイヤモンドカット面の再加工、塗装、ゆがみ修正などを一連のシステムとして提供し、短時間で高品質なリペアを可能としている。欧州では環境負荷低減やコスト削減の観点から「修理して使い続ける」という考え方が定着しており、そのニーズに応えるシステムとして高い評価を受けている。
ダイヤモンドカットホイール専用マシン
ダイヤモンドカットホイールとは、アルミホイール表面をダイヤモンドバイトで極薄く切削し、鏡面のような金属光沢を生み出す加工方法である。
近年ではメルセデス・ベンツをはじめBMW、アウディ、ポルシェなど、多くのプレミアムブランドが採用している。しかし傷が付いた場合は通常の塗装修理では元の質感を再現できない。そのため大型CNC旋盤など専用設備を持つ専門業者へ外注するしかなく、多くの販売店では数日から数週間の納期を要していた。
今回シュテルン品川が導入したのはHBCシステムのダイヤモンドカットホイールリペアマシン「WR-DCM3」。

「WR-DCM3」はレーザー計測によりホイール形状を自動認識し、専用ソフトウェアが最適な切削データを作成。オペレーターは画面の指示に従ってセットするだけで、高精度な切削加工が可能となる。操作はタッチスクリーン方式で、加工中も人が付きっきりになる必要はない。20〜30分程度で施工できるため、高品質と作業効率を両立している。
数あるマシンの中からHBCシステムを選んだ理由
シュテルン品川では以前からダイヤモンドカットホイールの修理需要が増加していた。しかし修理は外部業者へ依頼するしかなく、輸送時間や修理待ち期間が発生し、その分コストも増えていた。

認定中古車ではホイールの状態が車両全体の商品価値を左右するだけに、この課題は以前から大きなテーマだったという。そこで自社での修理体制構築を検討。複数の展示会ではHBCシステムだけでなく、中国メーカー製マシンも比較検討した。
最終的な決め手となったのは、マシンそのものの精度だけではなく、信頼性やアフターサポート、欧州での豊富な導入実績だった。高額な設備だからこそ、安心して長期間運用できることを重視した結果、HBCシステムの導入を決断したのである。
搬入から講習まで丸一日を取材
今回の取材では、四国工房による納品作業のすべてに密着した。大型マシンが慎重に搬入され、設置位置の調整、水平出し、各部のチェックを経て試運転へ。
設置が完了すると、すぐに操作方法のレクチャーが始まった。ソフトウェアの基本操作からホイールの固定方法、レーザー計測、切削位置の設定、安全確認まで、一つひとつ丁寧に説明が行われる。

実機を前にした講習ということもあり、スタッフは真剣な表情で画面を見つめながら操作方法を習得していく。
その後は実際のホイールを使ったリペア作業を実施。傷が付いていたダイヤモンドカット面は、切削が進むにつれて本来の美しい輝きを取り戻していった。

思ったより簡単ですね
レーザー測定が始まると、スタッフがモニターをのぞき込みながら加工工程を確認する。切削が始まると工場内には金属を削る独特の高音が響き、少しずつ傷が消えていく様子に自然と人が集まってくる。加工を終えたホイールを見たスタッフからは、「思ったより簡単ですね」「ここまできれいになるとは思わなかった」という声が上がった。

従来であれば外注先とのやり取りや納期調整が必要だった作業を、自社工場内で完結できるメリットは想像以上に大きい。作業品質だけでなく、リードタイム短縮や輸送リスク低減など、多くのメリットを実感している様子が印象的だった。
まずは認定中古車から活用
シュテルン品川では、まず認定中古車の仕上げ工程でこの設備を活用する予定だ。認定中古車は外観品質が商品価値を大きく左右する。ホイールのわずかな傷が査定や販売価格に影響することも少なくない。ダイヤモンドカットホイールを新品同様の状態まで短時間で修復できれば、車両の商品価値向上だけでなく、納車までの期間短縮にもつながる。さらに将来的には一般ユーザー向けのホイールリペアサービスとして展開することも検討しているという。

ダイヤモンドカットホイールを装着するメルセデス・ベンツオーナーにとって魅力的なサービスになりそうだ。

「ホイールを交換する」のではなく、「修理して価値を取り戻す」。そんな欧州では当たり前になりつつある考え方が、日本の正規ディーラーにも少しずつ広がり始めている。シュテルン品川へのHBCシステム導入は、その象徴的な一歩と言えるのではないだろうか。

関連リンク
シュテルン品川:https://stern-s.co.jp/
HBCシステムジャパン:https://hbc-system.jp/
四国工房:https://shikoku-kobo.co.jp/
編集部より
ダイヤモンドカットホイールは近年、高級輸入車だけでなく国産プレミアムモデルにも急速に普及した。しかし、その美しい輝きの裏側では、”修理できる場所が限られる”という大きな課題を抱えてきた。今回のシュテルン品川の取り組みは、単なる設備導入ではない。自社でダイヤモンドカットホイールのリペアを完結できる環境を整えることは、作業時間やコストの削減だけでなく、中古車の商品価値向上や顧客満足度の向上にも直結する。今回のシュテルン品川の導入は、そのメリットを示す好例と言えるだろう。今後は正規ディーラーだけでなく、板金塗装工場やホイールリペア専門店にも同様の設備導入が広がっていく可能性は十分にあると感じた。ディーラーが自ら修理品質と納期をコントロールする、新しいアフターサービス体制への第一歩と言えるだろう。アウトビルトジャパン(Auto Bild Japan)
Text&Photo:アウトビルトジャパン(Auto Bild Japan)

